大きな空港があるカフルイは、マウイ島の玄関と言える町です。2つの島を合わせたような形のマウイ島の、つなぎ目のような場所にあり、商業施設も多いので、朝から夜まで人が行きかうマウイ島の中心地になっています。ホノルルのような大都会ではありませんが、自然探索という目的からはちょっと縁遠い感じです。そんなカフルイにも、ハワイの希少な自然を見ることができる場所があります。 |
マウイ島を訪れる多くの人は、カフルイ空港を利用するでしょう。カフルイ空港周辺は、大きなショッピングセンターがいくつもあり、交通量がとても多い場所です。空港から市街地に入る時に、車の波に飲まれてしまい、行きたい方向に行けなかったこともあります。そんなカフルイ空港のすぐ近くに、カナハ池州立自然保護区(Kanaha Pond State Wildlife Sanctuary)はあります。保護区の面積は58ヘクタール、新宿御苑と同じくらいの広さです。しかし、保護区と接するハイウエイを車で走ったことがあっても、木や草が生い茂る荒地にしか見えないこの場所を、印象強く覚えている人はあまりいないでしょう。保護区はフェンスで囲まれ、そのほとんどは立ち入ることができませんが、ごく一部が開放されています。そこには、池に突き出すように東屋があり、広いカナハ池を見渡してバードウオッチを楽しむことができます。 |
カナハ池州立自然保護区で見ることができる鳥は、主に水鳥です。広い保護区の中で、入ることができる場所は、ほんの少しなのですが、それでも私はこの場所で、アエオ(クロエリセイタカシギ)やアラエ・ケオケオ(アメリカオオバン)などのハワイ固有種の鳥を見たことがあります。他にも渡り鳥のウリリ(メリケンキアシシギ)や、アマサギ、ゴイサギなどをかなり近くで見ることができました。アエオもアラエ・ケオケオも、絶滅が心配される希少種です。乱獲や、マングースなどの外来種により捕食されたり、生息地である湿地が開発されたりして、生息数を減らしています。カナハ池はこれらの鳥たちの、貴重な営巣地にもなっているようです。東屋のすぐ近くで営巣している鳥もいるので、観察するときは驚かさないよう、気をつけなくてはいけません。私はマウイを発つ日、空港へ行く道中に、よくカナハ池に立ち寄ります。マウイの楽しかった思い出の締めくくりに、アエオが優雅に湿地を歩く姿を眺めるのは、なかなか贅沢な時間です。 |
マウイ・ヌイ・ボタニカル・ガーデン(Maui Nui Botanical Gardens)は、カフルイからワイルクへ向かうハイウエイを少し外れたところにあります。近くには大きなショッピングセンターがあり、イアオ渓谷へ向かう道のすぐ近くなのに、このガーデンもカナハ池のように、あまり知られていないようです。マウイ・ヌイはプルメリアやハイビスカスなどの、観光的なハワイをイメージする植物ではなく、ハワイ固有植物やポリネシア人がハワイ諸島へ持ち込んだ植物を展示しているので、花にあふれた美しい庭園をイメージしていると、期待外れかもしれませんが、ハワイの文化や固有植物に興味がある方には、とても楽しい場所だと思います。もしフラをしている方なら、歌に出てくる植物を見つけることができ、ハワイアンキルトをされている方なら、モチーフになったハワイの植物を見るチャンスです。 |
オアフ島のレイの花イリマや、ハワイ州の木ククイ、ハワイアンのソウルフードでもあるタロ、悲恋の伝説を持つナウパカなど、園内を少し歩いただけで様々な植物を見ることができます。実はこれらの植物は、ハワイの様々な場所でも見つけられるのですが、初めて見る植物などは、つい見過ごしてしまいがちです。植物園でプレートを頼りに、植物の名前を覚えると、ハワイ旅行がより楽しくなると思います。また、希少なハワイ固有の植物も、マウイ・ヌイには数多く展示されています。ハワイ原生の赤いハイビスカスのコキオ・ウラや、ハワイ王朝と西洋との交易によって伐採されてしまったイリアヒ(ビャクダン)、低木にキャベツが付いたかのような、とても珍しいアルラという植物もあります。現在アルラは、カウアイ島のナ・パリ・コーストに、ごく少数自生しているだけだそう。私が見たマウイ・ヌイのアルラは、とてもよく育ち花をたくさんつけていました。夢中になって、植物を見ていると、暑さで熱中症気味になっていることもしばしばです。マウイ・ヌイへ行かれる方は、飲料水や帽子を忘れずに持っていって下さいね。 |
カナハ池とマウイ・ヌイ・ボタニカル・ガーデンは、私がマウイを訪れる時に、必ず立ち寄る場所です。ショッピングだけでなく、カフルイで鳥や植物を見るのはいかがでしょう。 |
|
|