ヒロで友人の家を出ようとしたら、雨が降っていました。「カニレフアだね」そう言うと、ヒロ生まれの友人は、とても嬉しそうでした。ヒロに降る雨を『カニレフア』といいます。私にとって、ヒロのイメージは、このカニレフアにぬれるダウンタウン。椰子の木に囲まれた、オールド・ヒロの美しい建物が静かな雨にぬれているのを見ると、観光の気ぜわしさから逃れて、落ち着いた気分になります。
ココナッツ・アイランドから見たダウンタウン。この日はちょっと曇り空 |
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そうは言っても、ヒロはいつも雨が降っているわけではありません。からりと晴れた日には、海から昇る朝陽に自然と早起きしてしまいます。こんな朝は、ヒロ湾に浮かぶ、ココナッツ・アイランドへお散歩。ハワイ語でモクオラ(癒しの島)と呼ばれるこの島は、マウイ(ハワイ神話の半神半人)が海から釣りあげたという伝説があります。ココナッツ・アイランドという名前のとおりに、椰子の木がたくさん生えた島からは、湾を挟んでヒロのダウンタウンが見えます。ダウンタウンの後ろに、なかなか姿を見せてくれないマウナケアが見えた日は、早起きしてよかったなあと思います。
ファーマーズ・マーケット。アンセリウムは種類も多く、安価です |
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ココナッツ・アイランドに近いSUISANには、既にたくさんの魚が上がっています。SUISANは、ヒロのフィッシュ・マーケットです。氷からカジキマグロの鼻がつきだしていたり、トロピカルな魚たちが並んでいたりする光景は、日本の魚市場とはちょっと違うかもしれません。もうひとつのヒロ名物のマーケットは、水曜と土曜の朝に開催されるファーマーズ・マーケット。野菜やくだもの、といった『ファーマー』なお店に加え、魚屋さんも出店しています。他にも様々なクラフトショップ、花屋さんもあり「生鮮食品はいらないけど」と思っても、ついつい財布の紐がゆるんでしまいます。パンやお弁当も売っているので、ここでお昼ご飯を仕入れて、ココナッツ・アイランドでピクニックというのも、いいですね。
ファーマーズ・マーケットが開かれるダウンタウンは、ヒロ湾の北西に面しています。ノスタルジック・ヒロと呼ばれるのは、このダウンタウンの雰囲気でしょう。2階建てくらいの低層の建物が並ぶ街並みは、どこかなつかしい感じ。ダウンタウンを散策しながら、パステル・カラーのかわいらしい建物や、スペイン風の瀟洒なビルディングを眺めるのも、ヒロの楽しみのひとつです。今では郵便局にもなっている、フェデラル・ビルは私の好きな建物。ワイルク川側から、椰子の木越しに見る角度が気に入っています。ダウンタウンには、おしゃれなショップやレストランもありますが、ヒロで生活する人向けのお店が多いような気がします。日系人の多いヒロでは、少し昔の日本のようなお店をみかけることも。下駄がディスプレイされたショウウインドウや、アンティックな床屋さんをみつけると、なんだかタイム・スリップした気分になります。
午後の暑い時間は、ビーチへ行きます。ヒロの東端にあるリチャードソン・オーシャンパークは、地元の人たちで賑っています。ハワイ島のビーチというと、西側にあるゴージャスなリゾート・ビーチを思い浮かべてしまいますが、ヒロのビーチはもっと身近な感じ。ビーチでは、波が来るたびに子供たちが歓声をあげています。風船がたくさん付いたピクニックテーブルでは、ママと小さな子供たちがパーティを開いているよう。黒砂のビーチなので、透明感はいまひとつですが、シュノーケルをするとたくさんの魚を見ることができました。泳いで、ちょっと疲れて、なにか甘いものが欲しくなったら、イツズへシェイブ・アイスを食べに行きます。イツズは、釣具屋さんなのですが、シェイブ・アイスがおいしいことで有名です。あまり大きくない、食べ切りサイズなのも、私がこのお店が好きな理由のひとつかも。地元の子供たちに混じって、お店の外でシェイブ・アイスを食べていると、子供の頃、プール帰りにアイスを食べた事を、ふと思い出しました。
ハワイ島の東側にあるヒロでは、夜が更けるのも早いようです。朝は賑っていたSUISANも、ひっそりとイルミネーションを光らせています。ダウンタウンではパレス・シアターの『PALACE』のネオン・サインが、静かに輝いています。暗いヒロの夜に浮かぶネオン・サインを見ると、なんだか寂しいような、ほっとするような気持ちになるのです。
※ タイトルの「ホロホロ」とは、ハワイ語でお散歩の意味です。ブラブラお散歩、という感じでしょうか。ヒロを歩くのは、「ホロホロ」という言葉が似合う気がします。
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