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ハワイには、国立公園がいくつかありますが、ハワイ島は一番その数が多い島です。コナの南、プウホヌア・オ・ホナウナウは、国立歴史公園の一つ。ガイドブックなどで、あまり紹介されていませんが、ハワイの文化を知る上で、とてもいい場所です。
プウホヌアは、ハワイ語で「避難」や「保護」という意味、歴史公園でいただいたパンフレットには「逃れの場」「聖域」という意味も紹介されています。つまりプウホヌア・オ・ホナウナウとは「ホナウナウの避難所」という意味です。古代ハワイには、様々なカプ(禁忌)があり、それを破るということは、死刑を意味しました。そこで、カプを破った人々は、プウホヌア・オ・ホナウナウのような場所に逃げ込みました。ここで祈祷を受けてカプを清めれば、死刑にならずに済むのです。また、古代のハワイでは、しばしば首長間の戦争があり、もし敗れた場合は兵士でなくても、死刑になってしまいます。このような戦争に負けた人々も、この避難場所に逃げ込めば助かったのでした。しかし、プウホヌア・オ・ホナウナウの周辺には、彼らを捕えようとする人々がおり、中に逃げ込むのもなかなか大変なことだったようです。
コナから30kmほど南下、ハイウェイから離れた海岸沿いに、プウホヌア・オ・ホナウナウ国立歴史公園はあります。駐車場の入口で入場料を払い、ビジター・センターで地図をもらって、いよいよ歴史公園の見学です。歴史公園に入ると、そこはヤシの木に囲まれた、美しいビーチが広がっていました。白砂の上には、石で基礎を作った上に立てられた小屋が幾つかならんでいます。大きな三角の屋根の下には、カヌーがしまわれており、海へ漕ぎ出すための小さな入り江もあります。実はこの場所は、首長の領地だった所に、古代ハワイの生活を復元したものなのですが、ここを見学していると、古代ハワイの生活が目に見えるような気がします。パンダナスの木の近くには、碁盤のような小石を使うゲーム盤のレプリカがあります。奥にある池は、首長のための魚を入れた養魚池を模したものです。海を臨んでティキ像が立ち、この地を守っています。おそらく、古代のハワイはこんな感じだったのでしょう。
この復元された場所のすぐ向こうに、巨大な石の壁がそびえています。これは1550年ごろ作られたものだそうです。プウホヌアはこの壁の向こう、海に面した場所だそうです。プウホヌアに逃げ込む人々は、この壁や隣りの首長の土地に阻まれて、海からしかたどり着くことはできなかったようです。目の前には環礁に囲まれた、青い海が広がっていますが、この海を命からがら泳いできた人々がいたのですね。壁の向こうは、復元された場所とは違い、黒い溶岩台地が続いているようにしか見えませんが、こちら側が本当の「逃れの地」。ヘイアウの遺跡もあり、重要な場所であったことがわかります。
さて、入り江には海ガメが遊びにきていました。この公園内の海で遊ぶことは禁じられていると思うのですが、海ガメも泳ぐ綺麗な海を見ていると、だんだん海に入りたくなってしまいます。公園を出て、少し北に行ったところには、なかなか有名なシュノーケル・ポイントもあるのです。公園の散策はこれくらいにして、そのシュノーケル・ポイントに行きましょう。ここからは、歩いてすぐです。シュノーケル・ポイントは、その名もツー・ステップ。海沿いの岩棚から深く海に落ち込んでいる場所ですが、一部、自然の階段ができているので、アクセスしやすくなっています。しかし、間近に見ると、かなり海は荒れている様子。親切なおじさんが「あそこから下りればいいよ、ワン・ツー・ステップさ」と、教えてくれるのですが、すっかり弱腰になってしまいました。その時、地元の少年が、岩棚を走っていってダイビングしました。ノー・ステップです!ここは、上級者向けのシュノーケル・ポイントですが、たくさん魚を見ることができるようです。このツー・ステップでもひるんでいる私は、プウホヌアまで泳ぐことは、とうていできなかったでしょう。 |
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