ハワイ島の名産品は数々ありますが、その中でも特筆するべきは、コナ・コーヒーでしょう。なんと言っても、ホワイトハウスの公式晩餐会で出されるコーヒーは、必ずコナ・コーヒーなのだそうですから。香りが高く、柔らかく、まろやかなコナ・コーヒーを、ほとんどの人は「おいしい」と感じることと思います。しかし、生産量が極めて少ないので、コナ・コーヒーの大部分はアメリカ国内で消費され、海外に輸出されるのはほんの少しなのだそうです。最近、日本でもコナ・コーヒーがコーヒー店に並ぶようになりましたが、ちょっと手が出難いお値段だったりします。ハワイ島で本場のコナ・コーヒーをたくさん飲みたいなあ、という訳でコーヒー農園めぐりをすることにしました。
実は、100%コナ・コーヒーの製品は、ハワイでも他の銘柄のコーヒーに比べ、かなりいいお値段。というのも、コナ・コーヒーは、必ず手でコーヒーの実を摘んでいるからです。一本の木に生るコーヒーの実は、完熟するのに時差があります。熟した実だけを集めるには、人の手で摘むしかないのですね。ハワイでも機械でコーヒーの実を摘んでいる農園もあり、コナ・コーヒーより安価で手に入ります。しかし、もし人の手ではなく、機械で摘んでしまったら、コナ・コーヒーとは呼ばないのだそうです。また、コナ・コーヒーを名乗れるのは、ハワイ島の西、カイルア・コナの山手に広がる、南北に22マイル、東西に2マイルの限られた場所で育ったコーヒー豆だけ。コナ・コーヒーは希少価値が高く、手間のかかったコーヒーであることがわかります。特別なお客さまに出すにふさわしいコーヒー、というわけですね。
青い空と濃い緑が続く道を、コーヒー農園をさがしてドライブ |
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キャプテンクックから海へ少し下った辺りにある、ベイビュー・ファームはその名の通り、ホナウナウの海を見下ろす場所にビジター・センターがあります。近くにはプウホヌア・オ・ホナウナウ国立歴史公園やペインテッド・チャーチもあるので観光の途中に寄るのもいいですね。コーヒー農園には珍しく、コーヒー以外のお土産も売っています。コーヒー農園では、試飲をさせてもらえるところもあるのですが、このビジターセンターもその一つ。絶景を眺めながら頂くコーヒーは、またおいしい。コナ・コーヒー農園は、ハワイ島の西、ホルアロアからホナウナウの辺りまでの狭い地域に密集しているので、今回はこのビジター・センターから、ハイウエイを北上しながらコーヒー農園をめぐります。コナは、ハワイ島では雨が少ない地域として知られていますが、コナよりも高台にあるこれらの地域は、夕方になると雨が降ることが多い場所です。雨が降るため緑も濃く、ドライブする道にも、木々の影が落ちています。直販しているコーヒー農園の多くは、ハイウエイ沿いにあるので、ドライブを楽しみながら、コナ・コーヒー農園めぐりというのもいいものです。春は、ジャガランダの紫の花をよく見かけるのも、この道沿いです。
ドライブをしていると、日系の名前が目に付くのも、この辺りです。マナゴ・ホテルやレストラン・テシマ、オオシマ・ストアなど日本人の名前のついた看板を見かけます。日系移民がハワイでサトウキビ農業に従事したことは、よく知られていますが、コナ・コーヒーも日系の人々と関わりが深いものの一つです。コーヒー栽培は、大変手間のかかる作業なので、多くの人手を必要としました。そこで賃金の安い日系移民が、多くの農家で働くこととなったのです。日系人の丁寧な作業が、コーヒーをこの地に根付かせる礎となりました。20世紀初頭にコーヒー価格が暴落したことで、多くの農園の経営が日系移民にリースされ、質の高いコーヒーを生産する小さな農園が増えたことも、コナ・コーヒーの現在の価値を築いたのかもしれません。
ケアウホウの近くにあるスガイ・コーヒーもそんな農園の一つです。トロピカルな植物が植えられたエントランスを通って、オフィスへ向かうとスタッフの方が笑顔で出迎えてくれました。スガイ・コーヒーでは、細かくコーヒーの等級が分けられていました。コーヒーの等級付けは、農園によって少し違いますが、最高級なのはピーベリーと呼ばれる豆です。通常、コーヒーの実の中には、二粒のコーヒー豆が入っていますが、まれに一粒だけ入っていることがあります。これがピーベリーです。スガイ・コーヒーでも、もちろんピーベリーを販売しています。ピーベリーは、希少価値が更に高いコーヒーなので、農園で直接買うのが手に入れる一番いい方法かもしれません。スタッフの方から焙煎前の豆を見せて頂きながら、コーヒーの話をお聞きました。
ホルアロアへと向かう、曲がりくねった道の途中に、ホルアロア・コナ・コーヒーがあります。ここは、コナ・コーヒーの中でも珍しいオーガニックのコーヒー園です。ここでも、スタッフの方が、親切にコーヒーの説明をしてくださいました。コナ・コーヒー農家は600軒ほどあるのだそうですが、そのうちオーガニック農家は1%ほどなのだそうです。ホルアロア・コナ・コーヒーでは敷き藁を用いたり、ガチョウを飼ったりする、オーガニック農法を行っています。農園には、直火で焙煎する珍しい機械もあり、香ばしいコーヒーを販売していました。
コーヒー農園めぐりをしていて、農園はそれぞれに特色があることが分かってきました。農園のある地域には、特定の農園のコナ・コーヒーを出すカフェもあります。また、多くの農園では試飲をさせてもらえるので、好きなコーヒーの味に出会うこともできそうです。日本でコーヒーを飲んでいる時に、コナの明るい光や、親切な農園のスタッフを思い出すのも、コーヒー農園めぐりのいいところです。
【今回ご紹介したコーヒー園】
BAY VIEW FARM
P. O. Box 680, Honaunau
TEL: (808)328-9658
フリーツアー: 9:00〜17:00(無休)
http://www.bayviewfarmcoffees.com/
SUGAI COFFEE
79-7098 Mamalahoa Highway,
TEL: (808)322-7717
http://www.sugaikonacoffee.com/
HOLUALOA KONA COFFEE
77-6261 Mamalahoa Hwy, Holualoa
TEL: (808)322-9937
フリーツアー: 8:00〜16:00(月〜金)
http://www.konalea.com/ |