ハワイ島の北西、地図で見る左斜め上の地域は、コハラ地区と呼ばれています。ハワイ諸島の中では、一番新しい島であるハワイ島ですが、ハワイ島の中でコハラ地区は土地が出来てから一番古い場所、ということです。コハラ山脈に沿って、海に突き出た半島が、ノース・コハラ地区。この地域を観光する人は、あまり多くないようですが、史跡も多くドライブにもなかなかいい所です。
今回、ノース・コハラのドライブの出発点はワイメア。ワイメアはノース・コハラ地区の東側の入口にあり、ハイウエイが集まりジャンクションの様になっています。コナからヒロへと向かう時は、ちょうどワイメアは中間点になるので、休憩を兼ねて昼食を取る人も多いようです。春先には、桜やジャカランダが咲き、桜祭りも開催されます。ワイメアは、全米でも最大規模の牧場の一つで、その歴史の古さでも全米有数と言われる、パーカーランチの拠点でもあり「パニオロ(ハワイ語で、カウ・ボーイのこと)・タウン」というイメージが強い場所です。
ドライブをしたのは4月下旬。ジャカランダの花が咲く季節の終わりでもあったので、「キレイなジャカランダを見たい」と、ワイメアの街中を少し探し回っていると、牧場の柵の近くに馬が何頭か集まっているのを見つけました。見ると一頭は今年生まれた仔馬のよう。かわいいのでもっと近くで見ようと、私が柵の近くへ寄って行くと、仔馬も柵のすぐそばにやってきました。しきりに顔を掻いていたので、私に顔を掻いてほしいのかもしれません。仔馬のママに怒られると怖いので、急いで仔馬の痒そうな場所を掻いてあげましたが、ママ馬も他の馬たちもしらんふりです。かわいい仔馬に後ろ髪をひかれながらも、ノース・コハラへのドライブに出発です。
ワイメアからコハラ山脈の尾根伝いに走る250号線を北へ向かいます。この尾根道は、たいへん景色のいいところです。車を停めて辺りの景色を眺めると、背後にはマウナケア、眼下にはコハラの海と広い牧場が見えます。こうして、のんびりと景色を眺めていても、あまり車が通らないのもこの辺りのいいところです。
250号線がコハラの海沿いを走る270号線と交わるところがハヴィの街です。この日は土曜日。ハヴィの広場では、小さなファーマーズ・マーケットが開かれていました。大きなバニヤン樹の周囲に出店されているのは、農産物よりも不用品を売るバサーという感じのお店が多いよう。ホームメイドのお菓子を売っているお店もあり、地元の人も観光客ものんびり見て回っています。ハヴィは、歩いても端から端まで5分もかからないような、小さな街です。近年、お洒落なお店も増えてきたようで、古い建物がギャラリーに改造されているところもあります。ここで、アイスクリームを食べながら一休み。ハヴィにある小さなカフェでは、トロピカル・ドリームのアイスクリームを買うことができます。トロピカル・ドリーム社は、ハワイ島産の果物を使ったアイスクリームやシャーベットを作っていて、有名なレストランにも卸しているとのことです。ハヴィは、ワイメアに比べると、かなり暑いのでアイスクリームが大変おいしく感じられます。
ハヴィから270号線を東へ向かって進むと、カパアウです。ハヴィよりも更に小さな街のカパアウには、カメハメハ大王像が立っています。ハワイに3つあるカメハメハ大王像のうち2つがハワイ島にあるのですが、一つはヒロに、そしてもう一つがカパアウにあるのです。カメハメハ大王はノース・コハラが生誕地なので、この地に大王像があるのですね。カパアウのカメハメハ大王像は、ハイウエイ沿いの分かりやすい場所にあるのですが、カパアウは小さい街なので、街に通りかかったことを気づかずに行き過ぎてしまう人もいるようです。カパアウもハヴィと同じく、近年アーティスト・タウンのようになってきています。小さな古書店があり、古いハワイの本を探すのもカパアウの楽しみです。
270号線の行き止まりはポロル渓谷です。数年前の地震で渓谷へのトレイルが一時閉ざされていましたが、今は渓谷まで降りられるようです。何度も降りてみようと、思うのですが、谷から昇ってくる人たちが、みなさん「大変だった」「辛い」という顔をしてらっしゃるので、いつも止めてしまいます。今回も、登ってきた方に「どのくらいの時間で登って来られますか」と訊ねたところ「途中までしか行っていないのだけど、あまりに大変そうなので帰ってきたの」と息を弾ませておっしゃいます。今回は水をあまり持っていないから今度にしようかな。大変そうなトレッキングを止める理由は、何故かいつでもあるものです。
この後、270号線を戻って幾つかの史跡を訪ねたのですが、その話はまた次の機会に。コハラは晴天率も高く、車も少なめなので、気持ちよくドライブができる地域だと思います。ワイコロアなどのリゾート地からも近いので、初めてハワイ島をドライブする方が、足慣らしにするのにもいいかもしれません。
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