あけましておめでとうございます、2009年初めのハワイ島日和です。今年もよろしくお願いします。
さて、ハワイではトレッキングをすることの多い私ですが、ハワイのいいところは、山歩きをしても、クマなどの猛獣に会う心配がない、ということです。ヘビもいないので、密林を歩いていてもヘビに噛まれる怖れもありません。動物に襲われる心配のないハワイですが、動物を見かけることはしばしばあります。
牛
今年は丑年ということで、まずは牛について。ハワイ島には、パーカー牧場という全米でも最大級の牧場があります。パーカー牧場は、その規模だけでなく、歴史も古い牧場です。200年ほど前、カメハメハ大王への贈り物であった牛が野生化し、ハワイ島で作物に大きな被害を与えていました。その牛たちを飼育したものが、パーカー牧場のルーツだそう。ハワイ語ではカウボーイのことを「パニオロ」と呼びますが、これはその当時、メキシコ(スペイン語圏)からカウボーイが招かれたため、スペイン人の意味の「エスパニョール」が「パニオロ」と変化したと言われています。
パーカー牧場は大変に広く、ハワイ島のワイメア付近の土地は、ほとんどがパーカー牧場と言ってもいいほどです。ハイウエイの両脇が牧場というこの辺りでは、たくさんの牛を見かけますが、もちろん柵の向こうです。ところが、たまに脱柵した牛が、山の中をうろついていることもあるそう。トレッキングをしていて、そんな牛に出会ったらちょっと怖いな、と思っていましたが、ワイコロア付近をトレッキングしていて、牛に会ってしまいました。トレッキング路が牧場の中だったので、しかたないといえばしかたないのですが、道の真中に立っている牛には、ちょっとびっくり。イヤだなあ、どいてくれないかなあ、と遠くから見ていましたが、牛の方も人間が来ることはイヤだったようで、草地へと逃げていってくれました。
ハワイアン・ホーク(イオ)
年の初めということで、次ぎにご紹介するのは、初夢で見ると縁起が良いと言われる鷹です。・・まあ、鳥類も動物のうち、ということで。イオは、ハワイ固有種の鷹です。しかもハワイ島にしか生息していないと言われています。ボルケーノやヒロ、ハマクア・コースト周辺で、イオは見ることができるそう。しかし、イオを見たい、と空を探しても、なかなか見ることができません。ドライブをしていて、車中からちらっと見えたり、今まさに飛んでいくシルエットを見送ったり、と影ばかり追っていました。
野生ではないイオは、ヒロのパナエヴァ動物園で見たことがあります。違法に飼われていて、飛ぶことができなくなり、動物園で飼育されることになったそうです。ケージの中でひとりぼっちのイオは、なんだか悲しそうでした。野生のイオが見たいなあ、とヒロの友人に話したら「今日も家の上をぐるぐる飛んでいたよ」と言われました。イオに会うのには、探し回るよりも、のんびり待っていた方がいいのかもしれません。
そんな私に、やっとイオに会うチャンスがやってきました。トレッキングの途中、猛禽類と思われる鋭い鳴き声が。周囲に響き渡る声の主を探してみると、木の上にイオが留まっていました。驚かせないようにそっと近づくと、イオも私に気がついたようです。イオには全体的に褐色のものと、腹側の羽毛が白いものの二種類あるそうですが、このイオは白い方です。イオは、私の方を、首を右に傾げたり左に傾げたりしながら、見ています。この仕草は、猛禽類が獲物などとの距離を測るときにするようです。獲物の気分になった私は少しドキドキしました。
マングース
今年は、ヘビのような強敵にも負けないぞ、ということで、最後はマングースについてです。ハワイの島々は似ているようで、島ごとに特色があります。そして生息している動物も微妙に違います。例えば、ハワイ島で夜になると大きな声で鳴いているコキ・カエルという外来種のカエルは、カウアイ島にはいませんが、マウイやオアフにはいます。そして、ハワイ島にはかなり多く生息しているよう。ハワイ島で、夜なのに鳥のような高い声で「コーキー、コーキー」と鳴く声がしたら、それはコキ・カエルです。
同じく、オアフ、マウイ、そしてハワイ島にはいるけれど、カウアイにはいないという動物がマングースです。西洋人が船でハワイにやって来るようになると、船に付いてネズミもやってきました。ネズミによる深刻な被害が出たので、あるネズミ対策案が出されました。それは、ネズミの天敵を島に放すというもの。その天敵というのが、マングースだったのです。しかし、ネズミの多くは夜行性で、昼間に動き回るマングースはネズミなんて捕りません。その代わりに、ネネなどのハワイの鳥たちやその卵をおいしく頂いて、瞬く間に増えてしまいました。ハワイにおける、マングースの害は計り知れません。
ハワイ島をドライブやトレッキングをしていると、マングースの姿をよく見かけますが、たいていの場合、あっという間に、草むらへと逃げ込んでしまいます。鳥が大好きな私は「にっくきマングースめ!」と、拳をふるわせてマングースを見送りますが、よく考えてみるとマングースが悪いわけではなく、持ち込んだ人間が愚かだったのですね。新春にあたり、何事もよく考えて行動しないといけないな、と思うのでした。
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