前回のハワイ島日和で、ハワイ島の最南端、サウス・ポイントについてご紹介しましたが、そのサウス・ポイントの近くには、なんと緑の砂のビーチがあります。緑の砂! どんなビーチなのか、行ってみたくなりませんか?
ところで、ハワイ島というと、黒砂のビーチがあることで有名です。緑の砂のビーチへ行く前に、ちょっと黒砂のビーチへ寄り道してみましょう。以前にもご紹介したプナルウ・ビーチ・パークは、黒砂で有名なビーチ。ハイウエイからのアクセスもよく、ハワイ島一周などの観光ルートでも必ず立ち寄るポイントのようです。広い駐車場からビーチへ降りると、名前の通り真っ黒な砂浜が広がっています。この砂は、溶岩が砕けてできたものだそうですが、まるで墨のように黒い砂は、触ると手が黒くなりそう。もちろん、手が黒くなることはないのですが、海も黒砂が溶け出したように、暗い色をしています。よーく、辺りを見回すと、砂と海の色に隠れて、たくさんの海がめも見つけることができます。
次はいよいよ緑の砂のビーチです。緑の砂のビーチは、パパコレア・ビーチ、又はマハナ・ビーチという名前で呼ばれていますが、グリーンサンド・ビーチという通称で呼ばれることの方が一般的です。グリーンサンド・ビーチは、サウス・ポイントへ向かうのと同じ道をドライブします。前回もお話しましたが、この道はレンタカー会社によっては事故の時、保険が効かないので注意してください。さて、もう少しでサウス・ポイント、というところで東へ曲がると、グリーンサンド・ビーチへのトレイルの入り口に着きます。以前はこの辺りに駐車すると、駐車料金を取られたらしいのですが、私が行った時はそういったことはありませんでした。広場に車を停めて、グリーンサンド・ビーチへと出発です。
グリーンサンド・ビーチへ向かうトレイルは、海岸線沿いの野原をひたすら歩く、ちょっと単調な道です。起伏もなく、歩きやすい道ですが、その代わり景色の変化も少ない。日を遮るものがないので、日差しが厳しいのですが、風が強いので思ったほど暑くはありません。でも、帽子や飲料水は、絶対必要です。トレイルには、四輪駆動車が通ったらしい轍が迷路のように残っていて、どの道を行けばいいか、ちょっと迷ってしまいますが、どの道を通っても、大きくトレイルを反れることは、なさそうです。
道沿いには、イリマがたくさん咲いていました。イリマはオアフ島のレイの花にもなっている、小さなオレンジ色の花です。地面を這うように育つものと、潅木になるものがありますが、ここで見られるのは、地面に広がるタイプのイリマです。イリマの間を、ちょこちょこ歩いているのは、渡り鳥のコレア。日本では、ムナグロという名前で知られている鳥です。ハワイにいるコレアは、夏季にはアラスカまで渡って営巣し、またハワイに帰ってきます。ハワイにいるときは、群れを作らず、一羽でいることが多く、他のコレアが縄張りに入ってくるのを嫌うようです。私も、カンフーアクションのようなポーズで、威嚇しているコレアを見たことがあります。他にも、アケケケ(日本名はキョウジョシギ)を見かけました。アケケケは、コレアとは違い、群れでいることが好きな鳥のようです。単調に思えたトレイルですが、周囲に注意して歩くと、なかなか楽しいですね。
小一時間も歩いた頃、やっとグリーンサンド・ビーチに到着しました。モス・グリーンの砂浜が崖下に見えます。グリーンサンド・ビーチは、馬蹄型の湾になっている崖の下にあるので、ビーチに行くには、かなり急な斜面を下らなくてはなりません。崖の上からビーチを覗くと、その高さと斜面の急さに腰がひけてしまいます。一番いいのは、誰かが下りていくのを観察して、ルートを真似るという、ちょっとずるい方法です。それができない場合は、(私が下りたように)途中から、お尻でずるずると砂の斜面をすべり下りるという方法もありますよ。
「ようこそ、マハナ・ビーチへ、砂を持って帰ったり、崖に落書きしたりしないでね」というプレートが、ビーチに付けられていました。珍しい緑の砂を、お土産にしたくなる人がいるのかもしれませんね。グリーンサンド・ビーチの砂は、カンラン石が砕けてできたもので、砂を近くで見ると、キラキラと輝いていてなかなかキレイです。ターコイズ・ブルーの海もとてもキレイなのですが、潮の流れが強く、遊泳には向かない場所なのだそうです。崖下のわずかな日陰で休憩をとりながら、のんびりグリーンサンド・ビーチを眺めました。
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