秋も深まってきました。柿やぶどうなど、秋のフルーツもおいしい季節です。ハワイに滞在するときは、フルーツを食べることが楽しみ、という方も多いでしょう。今回はハワイ島で見かける「おいしい実が生る植物」をご紹介します。
パパイア
ハワイ島の東にあるプナ地区をドライブしていると、パパイアが大きな葉を広げて、ハイウエイ沿いにずらりと並んでいる風景を目にします。プナ地区はパパイア栽培が盛んな地域なのです。プナ地区の気候が、パパイアの生育に適していたため、ハワイ産のパパイアのほとんどをプナ地区で生産していた時代もあったそうです。しかし、パパイアは特有のウィルスに弱く、プナ地区でもウィルスが蔓延して、多くのパパイア畑がなくなりました。そのため現在は、ウィルスに強い、遺伝子組み換えしたパパイアを栽培している農家がほとんどとなっています。
ところで、パパイアが生っているところを見たことがありますか?マンゴー、パパイアと、オレンジ色の果肉のハワイを代表する果物は、似ている印象を受けますが、実の付きかた全く違います。マンゴーが木にぶら下がるように生るのに対して、パパイアは幹(実際は茎)に付いて生ります。その様子はなんとも奇妙です。パパイア畑にまで行かなくても、ハワイの街中でもパパイアをよく見かけます。木に熟したパパイアの実をメジロやカーディナルが食べている姿も見ます。それどころか、道端にパパイアが転がっているところも。日本で買うと高いのだけどなあ、などと思いながら、道の真ん中に転がっているパパイアを端の方に寄せるのでした。
マカダミア
ハワイのお土産の定番というと、やはりマカダミア・ナッツ。マカダミア・ナッツ入りのチョコレートを見るだけで、すぐに「ハワイ土産」と、誰もが思うほどに、今やマカダミア・ナッツとハワイは密接な関係。実はオーストラリアが原産のマカダミアが、こんなにもハワイのイメージが強いのは、このマカダミア・ナッツ入りのチョコレートがハワイで発明されたことに一因があるのかもしれません。マカダミアは、ハワイの気候や土壌が生育に適していたため、ハワイの主要な農産物となりました。また、砂糖産業の衰退とともに、サトウキビ畑がマカダミア農場へと転換されることが多かったようです。
ハワイ島にもたくさんのマカダミア・ナッツ農園があります。ヒロからボルケーノへと向かう途中にある、マウナ・ロア・マカダミア・ナッツの工場は、ハワイ島観光ツアーでも立ち寄ることが多いので、行かれた方も多いでしょう。工場では、マカダミア・ナッツが製品化される様子をガラス越しに見学できるほか、もちろん製品を買うこともできます。工場には小さなハワイアン・ガーデンが併設されていて、そこでマカダミアの木を見ることもできました。マカダミアは栗に似た白い花が咲き、2cmほどの丸い実がぶら下がるように生ります。ガーデンでふと地面を見ると、マカダミアの木から落ちた丸い実が転がっています。手ごろな石で固い殻を割ると、中からは白い見慣れたナッツが現れました。
コーヒー
ハワイ島を代表する農産物といえば、やはりコーヒー。なかでもコナ・コーヒーは、有名です。ハワイ島日和でも、コナ・コーヒー農園についてご紹介したことがありますが、ビジターが直接コーヒーを買うことができるコーヒー農園もあり、農園内を巡るツアーが開催されているところもあります。日本ではなかなか見かけない、コーヒーの木を見るチャンスですね。コーヒーの木は放っておくと、かなり大きくなるようですが、農園のコーヒーは人間の背丈を超えるくらいの高さに剪定されています。手摘みのコナ・コーヒー農園に比べ、機械摘みの農園では木々が整然と並んでいるのが印象的です。
春になると、コーヒーの木は、白く可憐な花を次々と咲かせます。花の咲いたコーヒーの枝を見ると、既に緑の実が生っているものもありました。コーヒーは、いっせいに花を咲かせるのではないため、実が熟する時も一つの枝でも時差があります。熟した実だけを手で摘み取る作業は、大変な労働でしょう。コナ・コーヒーが高価であるのもうなずけます。秋にコーヒー園を訪れると、赤く熟したコーヒーの実を見ることが出来ます。緑や赤、深紅の実が枝に並んで生る様子は、まるで宝石を連ねた首飾りのようです。 |