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ハワイ島日和

マウナ・ロアに登ろう!

NOPU
裾野の広いマウナ・ロア

ハワイ島には、富士山より高い山が2つもあります。2つの山のうち、北側にあるマウナ・ケアには、日本の「すばる」を含む天文台群があることでも有名ですね。夕陽や星空を見るツアーが催行されているので、マウナ・ケアに登ったことがある、という方も多いでしょう。それに比べて、南側にあるマウナ・ロアは、マウナ・ケアほど注目されていないようです。マウナ・ロアは、ハワイ語で「長い山」という意味があります。麓から見上げるマウナ・ロアは、名前の通り長くなだらかに稜線が伸びており、それほど高い山という感じがしません。しかし、実際には標高が4169mもあるのです。しかも、マウナ・ロアは活火山。最近では1984年に噴火し、その時に流れ出た溶岩は、ヒロの町のすぐ近くまでせまった、ということです。

森を抜けるマウナ・ロアへ登る道

 さて、マウナ・ロアには、サドル・ロードから登る道と、ボルケーノ国立公園の近くから登る道があります。私がよく行くのは、ボルケーノ側の道。ゲートの外になるのですが、この辺りもボルケーノ国立公園です。レンジャーが見回りや施設整備に来る姿も見かけます。この道は、季節によっては乾燥による山火事を防ぐために、閉められることもあるそうです。また、火事だけでなく、見通しが悪く、細い山道なので、ドライブには特に注意が必要です。道の周辺には、キプカと呼ばれる森があります。キプカとは、溶岩が流れたときに、燃え残った森のことです。道はキプカの間を抜けるように登っていきます。

「ハワイ島日和:キプカを渡る!」参照

茂みから飛び出してきたフランコリン

 キプカには、大きなコアやオヒアの木が生え、マウンテン・ナウパカの茂みも見かけます。マウンテン・ナウパカは、ビーチに育つナウパカの亜種ですが、葉の形も実の色も全く違います。でも、花はビーチ・ナウパカと同じ半分にちぎれたような形です。木々が大きく育っているため、道は鬱蒼として、少し薄暗い感じもします。車を走らせていると、茂みからミヤマハッカンやフランコリンなどのキジたちが、よく道路に飛び出してきます。キジたちも車に驚いているようですが、ドライバーもびっくり。キジたちは何故か車と同じ進行方向に逃げるので、ノロノロとキジの後を追いかけるはめになったりもします。

オヒアレフアにやってきたアパパネ

 森の中では、固有種の鳥たちも見かけます。オヒアの木の上で、尾を振り上げたポーズでさえずっているのは、エレパイオ。エレパイオは、虫を食べる種類の鳥です。オヒアやコアの木で虫を探しているのでしょう。更に道を登っていくと、アパパネが飛び交う姿も見ることができます。アパパネは主に花のミツを吸う鳥です。アパパネは、羽の色と同じ赤いオヒア・レフアのミツが大好き。道沿いの開けた場所で、オヒア・レフアの花を見ていると、よくアパパネがやってきます。運がよければ、アパパネよりも更に生態数が少なくなったイイヴィも見ることができるかもしれません。

噴煙をあげるハレマウマウを見下ろす

 道の行き止まりが、マウナ・ロア展望台。ここは、小さな駐車場と簡易トイレがあるピクニックエリアです。ボルケーノ国立公園周辺は、いつも肌寒く、長袖の上着が必要なほどなのですが、ここまで来ると更に寒く感じます。朝早くなどは、寒さにガタガタ震えるほどです。でも、晴れている日に、ここから見える眺めは、寒さも吹き飛ぶ絶景です。眼下には、キラウエア火山の巨大なクレーター、ハレマウマウも見えます。ハレマウマウは、一昨年に爆発を起こして噴煙をあげましたが、クレーターから空高く昇った噴煙の影も、大地にくっきりと見えます。遠くで煙をあげているのは、プウ・オオ・クレーター。海に向かって煙を吐き出す、ハワイ島の煙突のようにも見えます。更にその向こうに見えるのは、海に流れ込む溶岩、オーシャン・エントリーの煙でしょうか。

マウナ・ロア・トレイルを散策

 ピクニック・エリアから先は、トレッキング路になります。トレイルは、マウナ・ロアの山頂へと続いていますが、山頂までは20マイルもある山登り上級者向けのコースです。私には、とうてい登ることはできませんが、トレイルの周辺を少し探索してみました。明るく開けたトレイルを、ジグザグに曲がりながら、登っていきます。所々に高い木もありますが、森林限界を超えるのか、周囲の植物のほとんどは膝丈ほどの高さです。オヘロ・ベリーやクカイ・ネネなどが露にぬれています。日が昇り暖かくなってきました。岩の上に腰かけて、のんびり下界を眺めていると、すぐ近くでアパパネの羽音も聞こえます。なんとも安穏とした気分になって、ハワイ島の朝はマウナ・ロアに限るねー、などと思うのでした。

 


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