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ハワイ島日和

ボルケーノを体感しよう! その2

NOPU
見学エリアから見える風景は期待に反したものでしたが・・

 ハワイ島を訪れる人の多くは「ドロドロ流れる溶岩がみたい」と、思っていらっしゃるのではないでしょうか。ところがこのドロドロ溶岩、なかなか簡単に見ることはできません。相手は、自然とハワイの火の女神ペレ、火山活動が活発ではなかったり、溶岩の流れる方向が不都合だったりすれば、見ることができないのも仕方ないのです。それでも「見たい!」というのが人情というもの。私もハワイ島旅行が決まると、ハワイ火山観測所のホームページ(注)を見て「溶岩は今どうなっているか?」を確かめるのが日課になっています。そのかい(?)もあってか、今回のハワイ旅行の直前に「溶岩がそろそろ海に流れ落ちそう」との情報がホームページに載りました。やったー! 溶岩が見られるかも! と、ハワイ島に降り立った私は、喜び勇んでカラパナ地区へと向かったのでした。

突然、小山から溶岩が流れてきました。確認に行く警備員さん

 カラパナは、1990年に溶岩に飲み込まれ消失した町です。22年前に、州の管理で溶岩を見ることができる見学エリアが設けられ、個人でも溶岩見物ができるようになりました。(その時の様子は、以前「ボルケーノを体感しよう!」でご紹介しています。)観光客の楽しみは、溶岩が海に流れ落ち、大きな白煙をあげる、通称「オーシャン・エントリー」とよばれる場所をみること。でも、海への流れは昨年末で止まってしまい、カラパナの見学エリアは海ではなく、溶岩の流れに向かって設けられていました。午後2時過ぎにカラパナに行ってみると、駐車場は閑散としているし「そろそろ海に」という情報とは裏腹に、見学エリアからは周囲の真っ黒な溶岩をただ眺めるだけです。10人足らずの見学者に、警備にあたっている方々がくわしく溶岩の説明をしてくれますが、やっぱり期待に反する状況に見学者のトーンは下がり気味。タクシーをチャーターしてきた女性グループは「夜になったら、溶岩が少しは赤く見えるの?」などと質問していましたが、さっさと引き上げてしまいました。「あの辺りを流れているよ」と言われても、見える風景はただ真っ黒な溶岩です。まだ溶岩は流れてこないのかなあ。

 私も引き上げようかな、と思ったそのときです。警備員さんが「あ、あれを見て!」と指をさしました。見ると100mほど先の小さな丘から溶岩がドロリと、まさに流れ落ちてくるところでした。にわかに活気づく見学者たち! 見る間に、溶岩はドロドロと斜面をこちらに向かって流れ落ちてきます。警備員の一人が状況を確かめるためか、立ち入り禁止用に張られた黄色いテープを越えて溶岩へ近づいて行きました。黄色いテープと溶岩との距離は100mほどです。「夜になったら、もっと真っ赤にみえますか!?」「もちろんだよ!」気のせいか警備員さんもウキウキしているようです。よし! また夜に来るぞ! と、とりあえずカラパナを後にしました。


夕方にはこんな光景に

 夕方5時過ぎ、再びカラパナを訪れると、見学エリアはびっくりするような光景になっていました。小山からは溶岩が、いく筋にも分かれて流れ落ち、さながら小さな滝のようになっています。写真や映像でしか見たことがなかったポタポタと落ちる溶岩も、ほんの100m先で見えます。その隣では、赤く燃える溶岩が川のように流れています。思った以上に流れるスピードが速いようです。溶岩が木や藪を燃やす、パチパチという音も聞こえ、煙が溶岩の周囲にただよっているのも見えます。見学者もみな興奮気味です。暗くなるにしたがって、溶岩は赤く光るように見えてきました。刻々と様子を変える溶岩の流れは、いつまで見ていても飽きないのですが辺りはすっかり真っ暗。ハワイ島滞在中に、もう一回見に来るぞ! と、再びとりあえずカラパナを後にしました。


ドロドロ溶岩に興奮する見学者たち

 その3日後、みたびカラパナへとやって来ました。3日前とは違って駐車場は車であふれかえっています。警備員さんたちも交通整理に大忙し。観光客だけではなく、地元の人も大勢いるようです。カラパナに流れる溶岩が、見学エリアからよく見えるようになった、というニュースは、現地の新聞などで報道され、あっという間に広がったのでしょう。アツアツ溶岩は、立ち入り禁止の黄色いテープから、ほんの20mのところまで迫っています。でも、3日前の滝のように流れる溶岩は、もう見られなくなっていました。時折、溶岩の黒い表面を破って、赤いドロドロが流れ出します。赤い溶岩は飴のようにねっとりと顔を出しますが、すぐに表面が黒くなってしまいます。そのため、見学者は右側でドロドロが流れたら右に、左で流れたら左に、と文字通り右往左往しています。暗くなって、見学者が更に増えたようです。私が夜7時過ぎに展望台を後にするころには、駐車場はいっぱいになり、少し離れた2つ目の駐車場も大方埋まってしまっていたようです。

3日後、溶岩は見学エリアのすぐ近くまで流れてきていました


夜になると溶岩は赤く輝いて見えます

 その後、溶岩はとうとう海に届いたそうです。「オーシャン・エントリー」の再開です。この原稿を書いている現在は、溶岩が道路のアスファルトを燃やし、有毒ガスが発生したため、見学エリアは閉鎖されてしまったそうです。でも、そのうちに再開されることでしょう。これからハワイ島に行かれる方は、ドロドロ溶岩を見るチャンスが大いにありますね。

(注)ハワイ火山観測所の公式サイトはこちらです。

USGS Hawaiian Volcano Observatory (HVO)


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