ハワイ島で一番の観光スポットといえば、やはり世界遺産にもなっているボルケーノ国立公園(HAWAII VOLCANOES NATIONAL PARK)でしょう。その国立公園の中で、一番の見所といえば、ハレマウマウ・クレーターに違いありません。今回は、ハレマウマウ・クレーターを中心にボルケーノ国立公園についてご紹介します。
ボルケーノ国立公園は、キラウエア火山を中心にマウナ・ロアをも含む、たいへん広い地域です。でも一般には、キラウエア・イキ・クレーターと、ハレマウマウ・クレーターを含むキラウエア・カルデラの周辺が、ボルケーノ国立公園と呼ばれているようです。公園内に入るには、車一台につき$10の入園料がかかりますが、入園料のレシートで、再入園(一週間有効)できます。公園内には、キラウエア・ビジター・センターとジャガー・ミュージアムの2つの案内所があり、公園の案内や火山の状況などの情報を得ることができます。ミュージアム・ショップでお土産を買ったり、トイレ休憩に利用するのにも便利です。
現在、ハレマウマウの南側へは立ち入り禁止になっています |
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2008年春、およそ40年ぶりにハレマウマウは大爆発しました。それ以来、ボルケーノ国立公園内の一部の道路とトレイルは、閉鎖されています。しかし、以前はキラウエア・カルデラ縁を、車でも周回することができました。初めてボルケーノを訪れたとき、始めに立ち寄ったのはキラウエア・イキ展望台でした。その時に見た、キラウエア・イキ・クレーターの大きさに感心し、写真をたくさん撮ったことを覚えています。しかし「イキ」がハワイ語で「小さな」という意味だということを、ハレマウマウ・クレーターを目にしたときに、改めて実感しました。道路を囲むような木々が突然途切れ、巨大なカルデラのすぐ前に出たときの気持ちは、感動というより驚愕という言葉がぴったりだったかもしれません。ハレマウマウ・クレーターのすぐ近くにあるハレマウマウ展望台には何台もの大型観光バスが停まっていましたが、そのバスがおもちゃに見えるほどに、カルデラは大きかったのでした。
ハレマウマウ・トレイルは、キラウエア・カルデラを横断するトレイルです。ハレマウマウ展望台から、このトレイルを数百m歩くと、もうハレマウマウ・クレーターのすぐ縁。たくさんのレイが、ハレマウマウに住むという、火の女神ペレへ捧げられています。ジャガー・ミュージアムやボルケーノ・ハウスから見るハレマウマウも、その全景を望むことができて、素晴らしいのですが、ここから見渡すハレマウマウは圧巻でした。眼下に広がるクレーターは、静かな迫力があります。トレイルのそこここからも、うっすらと煙が立ち上っています。遠くから眺めたときと違い、なぜかドキドキしてくるのは、足元にいくつもの深く長い亀裂が入っているからかもしれません。「今は爆発しませんように」と、やや足早にトレイルを戻りました。
そのハレマウマウ展望台へは、現在は行くことができません。その代わり今は、ハレマウマウ・クレーターが大きな噴煙を空へと吹き上げる姿を見ることができます。青空に白い噴煙がたなびく様子も雄大なのですが、暗くなると火口が赤く見えるそう。そこで日が暮れる頃、ハレマウマウを見にジャガー・ミュージアムへとやってきました。
ところで、ボルケーノ国立公園は標高1200mほどの高地にあります。ハワイというと常夏でどこも暑いイメージがありますが、国立公園はだいたいいつも涼しく、半そででは寒いくらいです。そして日が暮れると、冬のような寒さになります。このために、ハワイというのに防寒具を持ってきました。それでもガタガタと震えるほどに寒い!いつの間にか、たくさんの人が展望台に集まっていますが、寒さに耐えかねて、時折ジャガー・ミュージアムへ入って暖をとる人もいます。さてこの日は、地元の子供たちが遠足に来ていました。こんなに寒いのに、子供たちはとても元気。薄暗くなりかけた展望台のあちらこちらに座って、夕飯らしいお弁当を食べています。
やがて、ハレマウマウの火口が赤く光りだしました。赤い光は、同じ強さではなく、沈んだり明るくなったりを繰り返しています。それは地下で溶岩がうごめいている様子が見えるかのよう。折しも、東の空からは満月が昇っています。幻想的な景色ですが、今日は子供たちの歓声で展望台はとても賑やか。「まるでキャンプファイアみたいね」と、私の隣でハレマウマウを見ていた女性が言いましたが、この雰囲気にぴったりなコメントです。子供たちは、やがてハワイの州歌『ハワイ・ポノイ』を歌って帰っていきました。最後に「マハロ、ペレ!」「アイ・ラブ・ユー、ペレ!」と叫ぶ子供もいて、展望台に集まった人たちも思わず笑顔に。寒い中、ハレマウマウを見ていた人たちの心にも、温かい灯が点ったような気がしました。
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