前号に続いて、番外編のマウイ島日和です。マウイ島を地図で見ると、2つの島がつながったような形をしていることが分かります。東側にある大きな方の島には、ハレアカラ山や「ヘブンリー」と呼ばれる美しい町ハナ、前号でご紹介したアップカントリーの町々があります。そして小さな方の島の西海岸は、西マウイと呼ばれマウイ島リゾートの中心地になっています。
さて、西マウイの北外れにある潮吹き岩を見に行きました。この辺りまで来ると、ハイウエイを走る車も少なく、人家も見当たりません。潮吹き岩までは、海へ向かって2、30分ほど歩かなくてはいけません。そのトレイルの入り口は、この辺鄙な場所でも、何故かたくさん車が停まっている空き地があるので、すぐに分かります。起伏のあるトレイルを汗だくになりながら歩いていくと、激しい波の音が聞こえてきました。波が打ち寄せる度に、大きな岩の横から潮が噴き出しています。波に当たって遊んでいる人もいますが、ちょっと危ないですね。この先にも潮吹き岩があるのですが、トレイルの目印も分かり難く、この辺りで引き返す人が多いようです。トレイルは暑く、足場も悪いので、行かれる方は注意してください。
潮吹き岩から西マウイを海岸線に沿って南へと下って行きましょう。冬には大波が打ち寄せ、サーファーが集まって来るホノルア・ベイも、夏の間は鏡のように静か。シュノーケルを楽しむ人たちで、賑わっています。更に南へ進むと、海沿いに大きなホテルが見え、次第にリゾート地らしくなってきました。カパルアは、ゴルフ場に囲まれたリゾート地区です。ゴルフ場の脇を抜けて海へ向かうと、マカルアプナ・ポイントという岬に出ました。海へ溶岩が流れ落ちて出来たこの岬では、「ドラゴンの歯」と呼ばれる不思議な形の岩を見ることができます。岬を縁取るように並ぶギザギザの岩は、まさに竜の歯のよう。この不思議な形をした岩も溶岩なのだそうですが、白っぽい色も、その形も、ハワイの他の地域で見る溶岩とは違います。
ハワイと言えばビーチはやっぱり外せませんね。西マウイは泳ぐのにも、のんびりするのにも、いいビーチがたくさんあります。ホテルやコンドミニアムが集まるカアナパリ地区は、どこまでも続くきれいなビーチが魅力。私がいつも行くのは、カアナパリの北にあるカヘキリ・ビーチパークです。目の前に、モロカイ島とラナイ島の両方を見ることができるこのビーチは、シュノーケルするのにも、ビーチでお昼寝するのにもいい場所です。トイレやシャワーなどの施設も整っているし、ピクニックエリアもあるので、お弁当を買ってきてランチというのもいいですね。地元の人も多いこのビーチでは、犬を連れた人もよく見かけます。夕方のカヘキリ・ビーチで、海に向かって投げられたボールを取りに泳ぐ犬を、ぼんやり眺めているのは、ちょっとシアワセな時間です。
カヘキリ・ビーチパークで、のんびり海を見ていると、汽笛が聞こえてきました。カヘキリ・ビーチパークのすぐ近くにさとうきび列車の駅があるのです。さとうきび運搬のために敷かれた鉄道は、かつてハワイの他の島々でも運行されていました。ハワイ島の東海岸などでは、さとうきびだけではなく、地元の人や観光客の足としても活躍していたそうです。さとうきび産業の衰退や、道路が整備され、人々の移動が車に変わったことなどで、鉄道のほとんどは廃線となってしまいました。その鉄道が、マウイでは、カアナパリとラハイナの間を観光列車として走っています。おもちゃのようにかわいい汽車は、小さな子供たちに大人気です。観光用とはいえ、本物の汽車ですから鉄道ファンにも見逃せませんね。ラハイナ駅では、汽車を客車から切り離して、ターンテーブルで方向転換する様子も見ることができます。
マウイで一番賑わっている町は、やっぱりラハイナでしょうか。ラハイナ、その名前の意味は「残酷な太陽」。名前の通り、真昼にラハイナを歩いていると、暑くて暑くて大変です。ラハイナは夕方に散歩するのがいいような気がします。ラハイナのフロント・ストリートは、レストランやお土産屋さんが並ぶ賑やかな通りです。一見、雑多な観光地に見える通りも、その建物をよく見ると、20世紀始めの年号や、日系の名前が書いてあったりします。かつてはハワイの首都でもあったラハイナは、捕鯨の寄港地としても栄えていました。今も、町のそこここに港町だった名残があり、古い建物も多く残っています。西マウイには、ロマンチックな夕暮れを楽しめる場所がたくさんありますが、ラハイナ図書館の前から眺める、夕暮れのラハイナの町もなかなかいいですよ。
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