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はじめてカウアイを訪れた時、ハワイのごはんはマズイ、と思った。やはりここもアメリカなんだなぁと思った（私にとって、食はアジアにあり、なのです）。でも考えてみればそんなはずがない。アジアから移住してきた多くの人が暮らしている場所で、食事がまずしいわけはない。その大きな勘違いは、ガイドブックに載っているような高くてたいしておいしくもないお店をばかりを回って食事をしていた、私の旅の態度から来ていたのだとあとになって分かったのですが。
ピジン語（ハワイに入ってきてロコ達の間で独自に進化した英語）などと同じように、言葉も文化も植物も、さまざまな土地から入ってきたものがこの土地で独自に進歩変化していって、現在のハワイを作っている。食も、そう。人種が入り交じっていると言われる。ハワイは虹の州と言われるが、いろいろな色から構成されている虹のように、ハワイにはいろいろな民族がやってきて州を構成しているのだ。
各国からの移住者がそれぞれの母国の味を、ここにある食材で追求したり、あるいは苦労して栽培したりして、それぞれがくっついたり、あるいは独立したまま、ロコ・フードとして愛されているのだ。ハワイのロコ・フードを「Ｂ級グルメ」なんて呼んでいる人もいるけれど、それは日本食をとっても中華をとっても本格的な味ではなく、日本っぽい、中華っぽい、韓国料理っぽい、あくまでも「っぽい」もので、それがなかなかに美味しいからだと思う。で、ハワイに遊びに来られる機会にはぜひこのいかにもニセモノっぽい、でも庶民的で美味しい、どこの国のものだか限定できない、ロコ・フードをお試しいただきたい。
カウアイで人気のある（東海岸）、我が家でも贔屓にしているお店のひとつが「K.C.L.」。店名はKorean（韓国）・Chinese（中国）・Loco（Local＝地元）の略だそうだ。リフエに第一号店、カパアに第二号店があり、カウアイ広しといえども（すみません、狭い島です）、大手経営やファーストフードを除いては支店のあるお店は珍しく、二大タウンに（ほんの小さな町ですが）お店があるなんて人気のほどがうかがえるというもの。最初はこれも人気食堂の「ワイポウリ・レストラント」（次回ご紹介予定です）のオーナー・サチコさんのお姉さん、ヨシコさんが始めたお店。ヨシコさんが売りに出したお店を、中国系ロコの今のオーナーが買い取ったのが現在の「K.C.L.」。
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フライド・ライスとフライド・チキンのコンビネーション(手前)とポークチョップ・ウィズ・フライドライス(奥)
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名前の通り、韓国・中国・ロコ料理を中心にしたプレート料理を食べさせてくれる。ちなみにプレート料理というのは、おかずに２スクープ（アイスクリームをすくう丸い器具ですくう）のごはん、マカロニ・サラダがついたもので、これもハワイのロコ・スタイル。「K.C.L.」の名物は何と言ってもフライド・ライス（チャーハン）。島で一番おいしい、ぴか一とエヴァンス家では評判の味だ。とくにチャーシュー入りがオススメだけれど、他のものも甲乙つけがたく美味しい。これまた美味しい「フライド・チキン」とのコンビネーションは、高カロリーへの危機感を越えて時々食べずにはいられない一品。そして「ポーク・チョップ ウィズ グレイビーソース」。カラっと揚げたポーク・チョップにとろ〜りグレイビー・ソースがかかって、ごはんとの相性もバツグンである。
オーダーはカパア店を守るケネス・リーさんが英語で取ってくれるが、それを厨房へ伝える時はとても早口の中国語。このあたりも大阪出身の私には「京都 王将」を思い出させてくれて懐かしい。いつ訪れてもロコで賑わい、欧米からの観光客の姿もチラホラ見える他、お店の前には持ち帰り注文を待つ人がいる。半端な量ではないので日本人二人なら（大食自慢の人を省いて）二人でひと皿でも十分に足りる。我が家ではあくる日のお弁当になったり、ロコ・スタイルの朝ご飯になったりするのが常（フライド・ライスの上に目玉焼きの乗ったもの。朝からこんなものを食べていると確実に太るので注意が必要です）になっているのだ。さて、次回は引き続き、ロコの食堂をお届けする予定です。
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