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Miekoさんの話 (1)

ミノリ・K・エバンズ

Miekoさんとご主人のJohnさん

 カウアイに移住してきてから、この5月で一年が経とうとしている。この間に、この島に住むたくさんの日本人の方にお会いした。といっても25人〜30人ほどだけれど、実際にはもっともっと多くの方が日本から来て、ここに住んでいらっしゃるのだと思う。「日本人同士」というのがキーになって、日本の方とトモダチになる機会は少なくない。名前を教え合って「ではまた、どこかで」と別れる人もいれば、その反対に、ひょんなことから知り合って、何だかおもしろいご縁を感じるおつきあいに発展する人もいる。


庭でバスケット・メイキングをするMiekoさん

 住んでいる場所が近くだったり、共通の知人がいたり、私が圧倒的に興味を持ってしまったり。今回ご紹介するMiekoさんとも、最近になって知り合ったばかり。突然「墨絵」と「俳画」に興味を持ってしまった私に、アメリカ人の友人から「墨絵をやっている人がいるから、訪ねてごらん」と紹介されて、ふらりと訪ねていったのがMiekoさんだった。お会いしてみると、たしかに墨絵も上手だけれど、それはMiekoさんの生活のほんの一部で、私はその奥行きのある暮らしぶりにあれよあれよと魅せられてしまったのだ。

 Miekoさんが日本を発ち、海外へ渡ったのは単身インドへ行った1975年のこと。現地で間借りしていた部屋を利用して日本語学校を開校して暮らしている中で、ご主人のJohnと知り合い、25年前にインドで結婚。生物学者だったJohnの仕事の都合で、インドからタイへ移り、その後さらにアフリカに移った後、カウアイには1989年、今から14年前に移ってきた。仕事を引退したJohnと、どこか暖かいところで暮らそうと、メインランドと日本の中間にあるハワイを選んで“下見”に来たところ、緑の美しいこの島をすっかり気に入ったMiekoさんとJohnは、滞在2日目に不動産屋を訪ね、4〜5軒を見てまわった後、所要2分で契約を済ませてしまったとそうだ。


ヤシの木に覆われた自然の香りたっっぷりの家

 「家自体はあまり気に入らなかったんだけれど、敷地内にコテージがあるのが気に入って…」とMiekoさん。Miekoさんの家は、「ハワイに住むなら、こんな空間で暮らしたい」とお手本にしたくなるような作りで、暖かみと開放感があって、最高に居心地がいい。なんでこんなにステキな家が気に入らなかったのかと聞くと、「以前は今のかたちとはぜんぜん違って…」と改築・増築ストーリーをMiekoさんが聞かせてくれた。聞くと、とても感じの良いリビングやMiekoさんの創作オフィスが、以前はガレージなど外の空間だったりしたそうで、その上、それらの改良・増築作業がMiekoさんとJohnの手によるものだと聞いて、何度もビックリしてしまった。庭続きにあるコテージ二棟の改良も、それらを囲む庭のガーデニングも、すべてMiekoさんの傑作である。愛犬ジンジャーが遊ぶ、風の吹き抜ける庭には、ハワイの花や木々がバランスよく配置され、これまたMiekoさんが育てたモンドグラス(毛足の長い、芝の一種)が周りを取り囲んでいる。


見事なガーデニング。広大な庭だ

 隣近所の人を見ていてもよく思うことだけれど、カウアイでは、改築や増築、あるいは好きなスタイルにするためのちょっとした工夫から大がかりな工夫まで、庭や家を自分たち自身の手で創っている姿をよく見る。だから、住宅街でもひとつの通りを車で通る間に、いろいろなスタイルの家や庭が楽しめて、この辺りはちょっと日本の住宅街を通っても楽しめない感覚なのではないだろうか。それぞれの家を見れば、そこに住む住人の顔が見えてくるようでオモシロイ。そんな中にあって、Miekoさんの家(庭も含めて)はほんとうに行き届いた手入れがなされて、可愛らしい工夫とオリジナリティに満ちている。何も手を入れていないままの(引っ越してきたままの)自分たちの庭を思い浮かべ、「ああ、どうにかしなきゃなぁ」と思っている(だけの)私は、Miekoさんの家にお邪魔する度に、触発され、「私もきれいな庭を造るぞ〜」と張り切ってみるのだけれど、あとが続かない。さしずめ、うちの家の前を通る人々は、すぼらな住人の顔を思い浮かべていることだろう…。


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