結婚式とパーティの夜、日本からの参加者や、オアフからの参加者は「ワイメア・プランテーション・コテージ」に宿をとった。私たちも花嫁花婿の好意で、コテージを取ってもらい、一夜のちょっとしたバカンス気分を味わわせてもらった。
ペインティングやトタン屋根が時代を思わせるコテージの外観 |
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私たちが泊まった部屋は、大きなリビングとキッチン、ベッドルームが3つ。コテージの入り口には「Juan
Balbarino」という表札があった。コテージの多くは1920年代あたりのものと聞いたが、古いものではさらにそれから30〜40年前のものもあるらしい。板張りのフロア、薄いパステル調のペインティングがほどこされた壁、調度品、どれをとっても年代を感じさせる味わいがある。リビングからスライド式のドアを経て続くラナイには、どこから来たのか3匹の子猫がずっと我がもの顔でくつろいでいる。バスルームにもベッドルームにも、そこかしこにその時代の匂いが残っていて、ここでどんな人がどんな生活を送っていたのかななんて、80年も前の、さとうきびプランテーションの暮らしに思いを馳せてみたくもなる。とはいえ、コテージには、電子レンジや大型冷蔵庫、オーディオ、テレビなどは最新式のものが配置されて、便利なリゾート・コテージとしての機能はもちろん揃っているのでご安心を。他のコテージものぞいてみたけれど、ほんとうに内装も部屋の配置もさまざまで、中には2階建ての5ベッドルームというコテージもあった。
表札を見ているといろいろな国の名前があってオモシロイ |
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翌朝、敷地内をふらりと散歩してみる。日中は暑いこの西部の町も、朝早いこの時間はまだまだひんやりとした空気に包まれている。どのコテージもまだ寝静まっていて、シンとした空気の中、たくさんの鳥の鳴き声だけが椰子の林を賑わしている。
あらためて敷地の広大さを感じつつ歩きまわる。いろいろな種類の植物がある。たくさんの花が咲いている。フロント近くにいくと、道路をはさんで向かい側の奥に、ワイメア・キャニオンの一部が見える。
それぞれにプライベートを確保されたコテージの前をひとつひとつ通っていくと、表札も「Ishihara」なんて日本人名もあれば、どこの国のものかの判断がつかないものまである。フロントの隣にはレストランもあり、ここでは10種類強におよぶ地ビールを楽しむことができる。フロントを通って、反対側、庭を横切る形で歩いていくと突きあたりが海。そういえば、以前、友人を訪ねて遊びに来た時にこの海に沈んでいく夕陽を見たことがある。大きな大きな夕陽が海に沈んでいくところで、真っ赤に灼けた夕陽が、それに負けないくらいに朱く、まわりの景色を染めていた。海岸に遊びに来ていた人々も、何もかもが朱一色に染まって、ほんとうに美しい一瞬だった。この夕陽を体験するだけでもここに滞在する価値があるねぇと、友だちと言い合ったものだ。
私たちの住んでいる東海岸の朝は、さぁこれから一日が始まるぞと、それなりに忙しい時間の到来を感じさせる雰囲気がある。ところが、ここ「ワイメア・プランテーション・コテージ」の朝は、どこまでもゆったりとした空気に包まれていて、昼間になってもそれは変わらない。もちろん、リゾート・コテージの敷地内だから当たり前とも言えるのだけれど、ワイメアの町全体が、どこかそういった雰囲気に包まれているようなところがある。東海岸の町と西部の町に流れている時間は違う、いつもそう思う。ノスタルジックな、ちょっと時代に取り残されたような町の雰囲気がそう感じさせるのだろうか。小さな島の東と西。車で走ってほんの一時間しか違わないのに、いつもワイメアに来ると、ちょっとしたトリップ感を味わってしまうだ。
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