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散歩道

ミノリ・K・エバンズ

ハイウエイを曲がる目印はこのジュース・バー

 ふと気がつくと夏になっていた……という感じで、カウアイの夏は準備期間もなしにいきなりやってくる。2週間くらい前からは長袖を着ることもなくなって、日も長くなり、近頃では夜の7時30分頃になってもまだ外は明るい。晴天の日が続いていて、心なしか気持ちまでもがウキウキとしてくるようだ。「カウアイに住んでいると、晴れの日に家の中にいることに後ろめたさを感じるね」と言ったトモダチがいたけれど、この季節にはなおさら、そんな気持ちになる。そわそわと庭に出ては雑草を引っこ抜いてみたり、わざわざ外に出て庭のピクニック・テーブルで家計簿や日記をつけてみたりと、イソイソとしてお日様や土、風に親しんでいる。そんな中で、最近、私と犬のパコが日課としているのはビーチへの散歩だ。


スタート地点にしているビーチ・パーク

 午前中、カパアの町の渋滞が少ない時間を見計らって、カパア・ビーチへ車を走らせる。ハイウエイをカパアの町から北へ向かい、右手にある「ジュース・バー」(スムージーなどが楽しめます)を折れたところにあるパーキングに車を停める。ちょうどパブリック・スイミング・プールがあるところを出発点にして、そこからカパアの町へ戻る方向へ2マイルほど歩くのをコースにしている。ハイウエイと海に挟まれる形でビーチ沿いに伸びるこの道は、ケアリア・ビーチ(Kealia Beach)から、リッドゲイト・ステイト・パーク(Lydgate State Park)まで続いている。この中で私とパコの散歩コースは、ちょうどカパアの町を裏側から見ながら歩き抜ける形になる。スイミング・プール前の椰子が立つビーチ・パークをスタートして、左手に海を、右手にはビーチ沿いに建つコンドミニアムや、地元の幼稚園、古い佇まいのビーチ・ハウスなどを見ながら歩く。道は舗装道路になっていて、その故にか行き交う人の中にはジョギングをしている人も多い。私も、歩いたり、闊歩したり、走ったりといろいろに楽しんでいるが、わりと本格的に走っている人や、本格的にサイクリングしている人も多く見られる。ところどころにあらわれる砂浜では舗装道路を外れて、私たちも砂の上を歩く。砂浜では近くのコンドミニアムに滞在しているツーリストたちがゆっくりと日光浴をしていたり、島の住人たちが子供を連れて来ていたり、トモダチとブランチを食べに来ていたり、一人でぼ〜っとしていたりとさまざまに時間を過ごしている姿が見られる。


散歩コースにある橋

 散歩コースの間には2カ所、橋のかかっている場所がある。週末の夕方なんかにここを通ると、釣り舟なんかが帰ってくるのを見かけることがある。船着き場になるところでは家族が待っていて、父ちゃんらしき人が舟で入ってくるのを嬉しそうに手を振って迎えていたりする。パコはそのそばを「何が釣れたんかなぁ〜」とでもいいたげな顔でしばし佇んでは、ふと思い出したようにスタスタと歩き出す。私は同じく犬を連れて散歩に来ている人や、涼みにでも来ている地元の人たちとあいさつがてらに二言三言、声をかけ合いつつずんずん歩く。


木陰もたっぷりでうれしい

 実はこの散歩は、雨の多い冬の間にすっかり運動不足になってしまった体を危ぶんで始めた……ということもあって、しっかり歩く、走ったりもしてみるというのが目的なのだけれど、人に声をかけられては歩を休め、海からの風が気持ちいいといっては砂浜に腰を降ろしてと、すっかり目的からは外れたものになりつつある。それでも風に吹かれながらぽかぽかと暖かい陽ざしを浴びて、ゆったりとした時間を過ごしている人とあいさつを交わし、ニタ〜とシアワセそうに笑って走り回るパコを眺めながらの時間は、気持ち的にはなかなかにいいエクササイズなのではないか、と思っている。ああでも、この‘心のエクササイズ’がまた、私の体をゆったりと弛ませてしまうのだろうか…と思うと少し怖い。


砂浜もあり

 ハイウエイの方を眺めると、たくさんの車が忙しく行き交っているのが見える。普段は車で通り過ぎている町も、少し離れてこうして裏側から眺めてみると何だか違う世界に見えてくる。対岸の花火でも見ているように、あっちは何だか賑やかだぞ〜って、そんな感じがする。以前に紹介した別の散歩コース「ノウノウ山」のトレッキング・ルートが、日常のすぐ近くにある深い自然だとしたら、こちらは日常のすぐ近くにあるホントに身近な自然という感じだろうか。カウアイのようなせまい島でも立つ場所によって、流れている時間がぜんぜん違うのがほんとうにおもしろい。ふと、大阪の町で暮らしているトモダチのことを考える。みんな忙しくやっているんだろうな〜なんて。あっちはもっと賑やかな対岸の花火…。もし忙しい都会生活から、この島に遊びに来る機会があれば、観光に忙しく走り回るよりも、何もしないでただただ静かな時間の中に身を置いてみるのもいいかもしれない。何もない場所で静かに過ごすというのは、やってみるとなかなかに難しいことだったりするけれど、体や気持ちを静かにすることはやはり時には必要なことだと思う。そして、何もしないで静かに過ごすことの醍醐味をさらっと教えてくれる…カウアイにはそんなパワーがあると私は思うのだ。


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