私の住むカウアイ島は、とりわけハワイ諸島の中でもヒーリング・パワーが強いと言われていて、‘ヒーリングの島’などと呼ばれることも多い。そして、この島を訪れる人、移住してくる人の中には、ここが‘ヒーリングの島’だから来たという人も少なくない。癒し(肉体的・精神的苦痛を解消すること)やヒーリング(治療)を必要としている、またはそれらを勉強している人がたくさん集まってくる。私は週2回、東海岸にあるAnahola
Beach(アナホラ・ビーチ)というところでHulaを習っている。私が通っているHalau(クラス)のKumu
Puna(プナ先生)は「Hulaはただの踊りではない、HalauはただHulaを習うところではない」というのが信念で、Hulaやそれに関連する儀式を通じて、またHalauの仲間との結びつきを通じて、ハワイの精神性を教えてくれる素晴らしい人である。その信念ゆえに月謝も取らないし、コンペティション(競技会)への参加はいっさいなし、みんなでビシっと動きを統一して踊ることにも重きを置かないなどなど、日本でHulaを習っている人から見たら、いやハワイでHulaを習っている人から見ても独特のスタイルを貫くHalauである。実際、私も日本にいる頃からHulaを習っていたので、ここでのレッスンはいまでもいろいろな意味において、驚きの連続である。
ヨガとアユルベーダ・マッサージのマスター、Dr.Peetambar |
|
さて、話が横にそれてしまったけれど、つまりそういったHalauゆえに、Kumu
Punaの精神性に触れたいという人がひっきりなしにやってくる。結果的にふとHalauを見渡してみると、カイロプラクティックの先生、ロミロミなど各種マッサージ師、霊気マスター、クリスタル・ヒーリングのヒーラー、占星術者、オーガニック・カフェの経営者、アーティスト……と実に多彩な顔ぶれが揃っている。そして、それぞれの人が入れ替わり立ち替わりトモダチを連れてくるので、見学に来る人の顔ぶれもこれまた多彩である。チベットの僧侶が来ることもあるし、アメリカン・インディアンの人々が文化交流にやって来たこともある。そのレッスンで昨日出会ったのが、インドから来ていたドクター・ピータンバー(Dr.Peetambar
Misirra)だった。Hula Sisters(フラ・シスターズ/フラを一緒にならっている女性同士)のカタリーナが教わるアユルベーダ・マッサージの師匠で、ヨガとマッサージを教えにカウアイに来ているという。ちょうど我が家のすぐ近くに滞在中ということで私の車で滞在先まで送っていくことになり、車中で「マッサージ」を受けてみたいかという話になった。マッサージには目のない私のこと、もちろんふたつ返事で受けることにして、さっそく彼を訪ねていった。
|
アユルベーダというのはインドの伝統医学。どちらかというと日本では‘インドに伝わる美容法’ということで一般的に知られているのかもしれない。私はアユルベーダについてまったくもって詳しくないので、説明は控えることにして、そのマッサージはオイルを使ってのもの。最初に脈をとって、それからマッサージに入る。オイル・マッサージとはいっても、ただ単に揉みほぐしていくというよりは、指圧的な動きも入るし、骨を整えていくようなカイロプラクティック的な動きも入る。ぐいぐいっとツボに入ってくるかと思うと、叩きも入って、いままで受けたことのあるマッサージや治療の総合されたものといった感じだ。同時に私の身体に不足しているもの、人より強くあるものなども教えてもらう。ドクター・ピータンバーはインドでヨガ、そしてアユルベーダを伝承する家系に生まれ、自身はヨガ・マスターとして28年、マッサージを教えて15年。ほかに手相もみる。一年の3〜4ヶ月はこうして世界各国をまわってヨガとアユルベーダのマッサージを教えているという。カウアイの印象を聞くと、「スピリチュアルな力の強い場所だと思う。すばらしい自然に囲まれていて、好きな場所だ」と言っていた。「カウアイ日記」に書くことを伝えると、「日本人はポジティブで賢い人々だ。だから仕事に向けているエネルギーを少し自分の健康や暮らしに向けて、お酒やたばこ、夜更かしを控える生活を試してほしい」とメッセージをもらった。以前に大阪でヨガとマッサージのワークショップを開いた時にそういうことを感じたそうだ。
ハワイで受けた、初めてのアユルベーダはと〜っても気持ちが良くてやみつきになりそうなものだったけれど、ドクター・ピータンバーの帰国が迫っていて、残念ながらやみつきになるのは無理そうである。
|