星条旗をかかげる家もちらほら。これはトモダチの家。 |
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ご存じの方が多いかと思うけれど、7月4日はアメリカの独立記念日。当時スペインやフランス、オランダ、イギリスなどヨーロッパの国々の植民地であったアメリカが独立を宣言して、それが1776年の大陸会議によって採択されたのを記念する日である。オリヴァー・ストーン監督、トム・クルーズ主演の「7月4日に生まれて」という映画があったけれど、あれは独立記念日に生まれた青年が愛国心からベトナム戦争に参加して、さまざまな苦しみや葛藤を経験していくというものだったかと思う。実際にアメリカが正式にイギリスから独立したのは独立宣言から7年後、1783年のことらしい(つい最近ですね)。そしてアメリカを象徴する星条旗にはご存じの通り、アメリカの州の数だけ★マークがちりばめられているけれど、独立当時の★の数は13個だったそう。以降、徐々に土地を拡大していき、1960年に50の★が配置された現在の星条旗の形なったそうだ。州が増えるたびに国旗のデザインを変えなきゃならないなんて、ちょっと大変。ちなみにハワイ州がアメリカに合併されたのは1898年のことだ。
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さて、その独立記念日。ハワイでは花火をあげてのお祭り騒ぎとなる。ふだんからパーティが大好きなハワイの住民たち。この日はさらに気合いを入れてのお祭り騒ぎとなるようで、ビーチはBBQをする人でいっぱいだし、クーラーボックスに入れる氷を買いにいった先のコンビニエンス・ストアではすっからかんに氷も水も売り切れごめんとなっていた。そういう私たちはトモダチの家へ、やっぱり「お花火バーベキュー」パーティに出かけてきた。思えば、カウアイで独立記念日を祝うのは私にとっては初めてのことである。去年は旅行に行っていたオアフのビーチで花火を見たし、一昨年のことはなぜかまったく記憶にない。少しウキウキしながら出かけて行った先の、その友人宅はリフエの新しい住宅街の一角にある。といっても、彼らの家もまだ建築中で骨組みができたところ。まだまだ辺りが明るい6時頃に到着したのだけれど、いやはや住宅街一画は何ともスゴイことになっている。各家がパーティである。しかもそれぞれに知人友人(もしかすると大家族なのか)を呼んでいるから沿道には車がびっしりで、BBQの煙があたりをうっすらと白くしている。それに加えて、子供たちが楽しむ花火の煙がもうもうと立ち上がって、それが風にのって住宅街を右に左にと移動している案配だ。この住宅街の50%ほどが建築中で、同じように骨組みだけとか、ひどい場合には土地だけとか、そんな中でのパーティである。
私たちの集まりは「ポトラック」といって、これもこちらではポピュラーなのだけれど、各自が1〜2品ずつの食べ物や飲み物を持ち寄るスタイル。この日は、ベジタブル・スティックとフィッシュ・フライ、そしてビールを持参した。各自が持ち寄った料理を見ると、ピザ、BBQのためのホットドッグとハンバーガー、チップス、ポテト・サラダなどが並んでいる。どれもおいしそうだけれど、なかなかに肉肉しいメニューばかりである。ベジタブル・スティックにして正解。ポトラックは集まるメンバーによっても持参する料理を少し考慮した方がいい。日系人のお宅にうかがうとズラリと日本食がならぶし、この日のようにアメリカ本土からの移住組が多い時には典型的なアメリカンBBQスタイルとなるからだ。
ひとしきり食べて飲んで、お腹がいっぱいになった頃、あたりは暗くなってきた。最近はずいぶん日照時間が長いので、陽が落ちるのは7時45分くらい。8時くらいまではうっすらとまだ明るい。子供たちはもう花火に夢中で、パンパン、パンパンと賑やかなことこの上ない。道を埋める形で、各家の前で花火が行われているのだけれど、大人たちの方が夢中になってパンパンやっている家もある。花火は、ハワイでは通常は販売されていない。花火を楽しめるのは特別な日だけとあって、夢中になるのも仕方がないのだ。
そうこうしているうちに時刻は8時30分をまわった。花火が打ち上げられる予定のスタジアムは、家のすぐ背後。さすがにみんな、そちらの方向をチラチラと見始めるものの、いっこうに花火のあがる気配がない。誰からともなく「今日はもうないんじゃないか」なんて声も聞こえてくる。私は内心(えっ、大雨でもないのに中止なんてことがあるの?)と思ってみたりしたが、カウアイだからそういうこともありえるのかな〜なんて、妙に納得してみたりもした。しかしそれから間もなくして、ババンっという音とともに一発目の花火が打ち上がった。あわてて、各自ピクニック・チェアを持って家の裏手に走る。スタジアム向きにチェアを並べて、あとは静かに花火を堪能。「日本の夏祭りにくらべるとやっぱり物足りないねぇ」と日本人のトモダチがつぶやく。たしかにそうではあるけれど、でも日本の花火見物のように人混みと格闘しなくていいのが私には心地良くもある。ババン、ポポンと次々にあがる花火は日本の花火大会で見るものと種類は同じである。打ち上げ場所になっているスタジアムではたくさんの人が集まっているらしく、そちらの方向からは時折、やんやといった歓声が風にのって聞こえてくる。花火はあっと言う間に、30分間くらいで終了となった。カウアイの風に吹かれながら、カウアイの山並みや椰子の木のシルエットの上に打ち上げられる花火を見ながら、それでもやっぱり日本の夏に思いを馳せてしまった夜はゆっくりと更けていったのです。
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