トモダチのエドが無事に看護士資格を取った卒業パーティは6時から始まった。私たち準備チームは4時に集合して、最終的なテーブルの飾りつけなどをする。招待客は150名ほどである。エドの家には、すでにレイ・メーカー2名が到着していて、庭の一画でゲストに配ったり、ルアウで使う数種のレイを作り始めている。キッチンではこれもエドの友人でプロの料理人が「しょうゆチキン」や「カルーア・ポーク」などハワイアン・ロコ・フードを料理中。続々と、ラウハラ職人やバンド・マンたちが道具を持って登場する。6時に近くなるとゲストたちがこれも思い思いに手作りの料理やデザート類を持参して集まってきた。レイ・メーカーの周りも、ラウハラ・メーカーの周りもそれぞれ人だかりができて、プロの技にたくさんの人が見入っている。ちょっとした観光スポット並みのアトラクションがあちらこちらで見られて、なかなかにオモシロイ。私たち夫婦もレイ・メイキング作りに参加して、教えられるままに数種のレイを作らせてもらった。このレイ・メイキングについては、ここでは書ききれないので、また別の機会にじっくりとレポートをお伝えしてみたいと思っているので、ぜひお楽しみに。さて、ハワイアン・タイムで予定時間より遅れること1時間半あまり、7時30分にパーティはようやくスタートした。
パーティのはじまりは全員で輪を作ってハワイアン・ソングを合唱
|
|
まずは庭で参加者全員が手をつないで、大きな輪を作り、ハワイアン・ソングを全員で唄ってパーティが始まる。それからしばしはお食事タイム。フード・テーブルはあらかじめ用意された料理に、ゲスト各自が持ち寄った料理でかなり豪華な状態になっている。庭の一画ではバンドがハワイアン・ソングを演奏して色を添えてくれる。この日呼ばれたバンドは「Papaa
Bay Boys」というバンドで、地元ではすでになかなか人気の高い、要注目バンド。風に吹かれながらおいしい料理を食べて、気持ちの良い音楽を聴いて、すでにお腹も気持ちもかなりの満腹状態だ。
あたりがすっかり暗くなった8時30分頃、いよいよルアウ・ショーの始まり。まずは、クム(フラの指導者)・ネイセンのチャントがあたりに響く。ネイセンはエドの親しいトモダチでカウアイでは有名なクムである。続いてカヒコの衣装に身を包んだエドが登場。ドイツ系移民のエドがドイツ語でチャントをする。言っていることはなんだかよく分からないものの、ドイツ語の響きとチャントのリズムがおもしろくて、ふつうは厳かな雰囲気に包まれるルアウ・ショーの始まりも爆笑の中で進んでいった。私とウォーレン(ダンナさんです)、私のフラ・シスターズでエドの家にハウスキーパーで住み込んでいるカタリーナとそのダンナさんのオースティンは、ネイセンのチャントにあわせて、ハワイアン・フラなどを描いた絵画を持ってゲストの前をぐるぐると歩く。これも演出のうち。そして、昨日作ったばかりのティー・リーフのスカートを着けて、子供たちが「フキラウ・ソング」を披露。なんとも可愛らしいフラ・ダンサーズたちにやんやと喝采があがる。そしてホラ貝の音が響き、プロ・チームのルアウ・ショーがスタートする。
伝統的フラのカヒコ、モダン・フラのアウアナの踊りのあと、南太平洋の仲間であるタヒチアンとニュージーランドのマオリのダンス。ピークはファイアー・ダンスで、2本のたいまつを持った男性ダンサーがダイナミックな技を披露する。このファイアー・ダンスもハワイに来られた方は、ホテルのショーやルアウ・ショーで目にする機会も多いかと思う。でも今回は個人宅の庭でのパーティ。松明の先についた炎の熱さがびんびんと伝わってくる距離での観覧はスリリング度が増すようである。「はっ!」というかけ声とともにファイアー・ダンスが終了した時にはやんややんやの喝采であったのだ。実は、私とカタリーナもフラを一曲踊る予定だったのだけれど、バンド・マンが私たちの予定曲を知らなかったので、残念ながら今回はおあずけとなり、私は内心ホっとした。
出来上がったフラ・スカートでフラダンスを披露する子供たち
|
|
夜の11時頃になってようやくパーティは終了。これでもかと言うほどに残った料理群を、ゲストたちは各自プレートに盛って、持ち帰る。これもハワイ・スタイル。それでもまだまだたっぷり残った料理は我が家とセリーナ家にて持ち帰るようにとのこと。さまざまなロコ・フードを大きなコンテナーに詰めつつ、明日はトモダチを集めて、我が家でパーティだなぁと思うのだった。帰り道、近所の庭で2匹のうさぎが草を食べているのを発見。「あ、ロバートのラビットだ!」とウォーレンが叫んで車から降りる。私もそれにつられるようにして車を降りる。車のビュンビュン通る道路がすぐそばにあって、放っておくと轢かれてしまう可能性がある。パーティでもらったたくさんのレイを首に飾りつつ、他人の家の庭でウサギを捕獲しようともがいている私たちの姿は少し奇妙だったのか、時折そばを通る車のドライバーからの視線が強く背中に感じられた、しばし2人でウサギを捕獲しようと奮闘したものの、ウサギの動きはとても早くて、パーティの余韻でぼやんとしている私たちにはたちうちできない。「ちゃんと無事に家に帰るんだよ」と人間の言葉を理解するはずもないウサギたちにさとして帰路についたのだった。
|