9月・10月、カウアイ島ではこの時期、さまざまなイベントが島のあちらこちらで開催され、毎週のように週末にはどこかで何かが開催されている。まず9月19日〜25日は「モキハナ・フェスティバル」。音楽や踊りを中心に、一週間にわたって各種イベントが場所を変えて行われる。とくに最終の3日間はフラ・コンペティションで、カヒコ(古典)・アウアナ(モダン)・ソロの部門にわけてコンペティションが行われ、この会場では多くの日本人の姿も見る。この「モキハナ・フェスティバル」、実は2年前から「ジャパン・モキハナ・フェスティバル」という名で日本でも開催されている。ジャパン大会が開催される以前は、日本から直接エントリーをした日本のハラウが参加していたりしたのだけれど、現在はこのジャパン大会で入賞したチームがカウアイ大会のエントリー権を得る形になっている。だから、会場で見かける日本人は「モキハナ・フェスティバル」へのエントリー組、もしくは観賞を楽しみに来た方々ということになるが、会場では今年もたくさんの日本人の方々にお目にかかった。
私は…というと残念ながら、観賞を楽しむことはできなくて、会場の一画で一生懸命に「BENTO」(お弁当)を売っていた。というのも、このモキハナ・フェスティバルの仕切り人の1人が、私がフラを習っているハラウ(教室)のクム(先生)で、私たちハラウのメンバーは毎年ボランティアとして働くことになっているからだ。そして今年は「BENTO」売り。日本人の方が買いに来ると、「Minori、ほら注文を聞いて」なんて指示をされる。「どのお弁当になさいますか〜?」なんて言いながら、一通りのやり取りが終わったあとに「ほんとに日本語が上手ねぇ」と誉められる。(え、上手って…いやいや上手ではなくて、完璧なんですけど。だって日本人ですからぁ。)と心の中でとほほと嘆きつつ、「いやぁ、日本人なんですよねぇ」と苦笑いすると、少しぎょっとされる。そして「あら、あはは」と困ったように笑いつつ、去っていかれてしまうのだ。いや、ほんとに日本人なんですぅ。今年もそうやってたくさんの日本の方に、私の日本語を誉めていただいた。ありがとうございました。
クラフト類、バックや衣類など、たくさんのショップがならぶストア・テント |
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ちなみに日本人に見られないというのは今に始まったことではなくて、日本に住んでいる時からその傾向はあったのである。道に迷った東南アジアの方から各母国語で道を聞かれることもよくあったし、飛行機の国際便に乗る際には「いらっしゃいませ」ではなくて「Welcome」と言われていたし、一度は高速道路のサービス・エリアにあるお店で草餅を買ったところ、お店のオバチャンが困ったような顔をして、おもむろに計算機を私に向けたことがある。そこには「700」と打たれていた。ちょっと悲しかった。そして最近では日本人に見られる機会の方が少なくなってしまった。日系人にも見られない。フィリピン系の方からはフィリピン人に、ロコ・ミックスの方からはロコ・ミックスに、バリの方からはバリニーズに…。「つまり東南アジア顔なんだ」と友人につぶやくと、「日本にいる時は東南アジア系だったけれど、最近は無国籍状態になりつつある」と言われた。無国籍顔…無国籍料理のあの無国籍である。ハワイに移住してから、日本人の自分というものを意識する機会がほんとうに多くなったというのに、外見は祖国・日本からどんどん離れた状態になってきている。そ、それって、どうなんだろうか…。
モキハナ・フェスティバルに話を戻すと、私たちが売っているお弁当やジュース類の売上げは、モキハナ・フェスティバルの運営資金として計上される。来年もきっと、完璧な日本語(!)でお弁当やジュース類を売っていると思うので、遊びに来られる際にはどうぞご協力ください。
私の作ったフラ・ティキ「まるちゃん」と、友人の娘・セリが作った「これなに君」(左)
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さて、モキハナ・フェスティバルが終わると、続いて、「ココナッツ・フェスティバル」「エマラニ・フェスティバル」「パウ・ワウ」「祭 カウアイ」とイベントが目白押し状態へと突入してゆく。ハワイ産クラフトを中心としたストアが並び、ココナッツを材料にしたゲームやクラフト体験ができる「ココナッツ・フェスティバル」。フラ・イベント「エマラニ・フェスティバル」、アメリカ・インディアン カルチャーを紹介する「パウ・ワウ」、そして日系ロコが日本文化を継承するために開催している「祭 カウアイ」。ちなみに私は「ココナッツ・フェスティバル」「祭 カウアイ」にて、やはりボランティアとして参加していた。「ココナッツ・フェスティバル」ではやはりフラ・ハラウのメンバーで「フラ・ティキ」ブースを手伝った。乾燥させたココナッツを使って人形を作るのだけれど、これがなかなかに楽しくて、あーだこーだと工夫をしながら気がつくと夢中になっていた。今回作ったティキで、いつか人形劇をやるというから、その機会を楽しみにしつつ、作ったティキは我が家の玄関に飾られている。
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