「E Pili Ka Kou」の朝は早い。WORK SHOPイベントだと前回書いたけれど、もう少し詳しく説明をすると、各島から数名のクム・フラ(フラの先生、あるいは師匠)が来て、2日間にわたってWORK
SHOPを行う。プログラムは「午前の部」「午後の部」に分かれていて、それぞれのクムが「カヒコ」(Kahiko=古典)と「アウアナ」(モダン)をひとつずつ教えてくれる。中には「チャント」(詠唱)や「レイ・メイキング」のクラスもある。毎年、参加するクムの顔ぶれは変わるが、メディアで大活躍のクムもいれば、各島の精神的なリーダーというクムの参加もあって、フラをやっている者からすれば「一度この人に習ってみたかった」という豪華な顔ぶれになっている。今年は15名ほどのクムが名を連ねたが、参加者はこの中から1日2クラス、2日で4クラスを受ける。どのクムのクラスに参加するかは参加者の選択である。ただし、ルールがあって、一人のクムからレッスンを受けられるのは一度だけ。たとえば、サニー・チンというクムの「カヒコ」と「アウアナ」のクラスを受けたくてもそれは無理で、どちらかを選ばなければいけない。「E
Pili Ka Kou」の朝が早いのはそういうわけもあって、朝7時から並んで、希望のクラスに申し込みをするのだ。
その人柄で多くの人々から尊敬を集めるジョージ・ホロカイ、両側がマカと奥さんのイバラニ
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今年の冬のカウアイは、何だか例年よりもぐっと気温が下がって、1月のこの時期、朝夕は毎日のようにセーター(コットンですが)を着込んでいた。寒い寒いとつぶやきながら申し込みの列に並ぶ。知った顔にたくさん出会う。「どこのクラスを受けるの?」「誰それのカヒコと...」「いやだ、アンタ勇気あるわねぇ」なんてことを言いながら受付の順番へと近づいていく。ちなみにこの「アンタ、勇気あるわね〜」というのは、そのクムのカヒコ・クラスはレベルが高いと言われているので、そんなところに敢えて飛び込むなんて勇気があるわね、ということである。プログラムにある各クムの紹介や、自分の知識の範囲で、またそれぞれのクムが持っている雰囲気というか、オーラというか、そういったものを統合して希望の4クラスを決めるわけだ。けっきょく私とトモダチは、初日にChinky
Mahoe(チンキー・マホエ)のアウアナとMaka Herrod(マカ・ハロッド)のカヒコ、2日目にSunny
Ching(サニー・チン)のカヒコとNaomi Kalama(ナオミ・カラマ)のカヒコのクラスに申し込むことにした。申し込み手続きを済ませて、会場前のテラスで朝食に買ってきたサンドイッチを頬張ったりしているうちに、周囲にクラフト・ショップが並び始める。こうしたクラフト・ショップも参加者の楽しみのひとつになっているようである。
オープニング・セレモニーでチャンティングするフランク・ヒューイット
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そうこうしているうちに会場から合図があり、9時になって「オープニング・セレモニー」が始まった。「E
Pili Ka Kou」には例年のお約束となっていることがある。それは毎年ひとり、ハワイ文化の継承に貢献してきたクプナ(この場合は長老的な存在、一般には年配者)を招き、その功績に対して参加者みんなで感謝を捧げることだ。今年は‘Auntie
Mae Kamamalu Klein’がオアフからゲストとして招かれた。(ハワイでは目上の人に対して、親しみと時に敬意を込めて‘アンティ’‘アンクル’と名前の前につけて呼びます)「オープニング・セレモニー」では、はじまりのお祈りに続いて、今年のクプナが紹介され、彼女に感謝のチャントを捧げる。チャントを捧げる生徒たちも、チャントを受け取るアンティの目にも感激の涙がいっぱいになっていて、見ているこちらまで胸のあたりがじゅんと濡れてしまう雰囲気である。
続いてWORK SHOPを受け持つクムたちの紹介。どの人にも拍手喝采で、さぁこれから楽しい2日間が始まるぞ〜というムードに、会場全体が包まれる。一通りのセレモニーを終えて、しばし休憩。10:45amから始まるWORK
SHOP「午前の部」に向けて、着替えをしたり、部屋を探したりと各自がバラバラになる。このイベント、世界各国からの参加が見られるものの、なんと言っても目立つのは日本からの参加者である。年齢も実に幅広い参加者がいて、何だかモチベーションも高くて、やる気満々と言ったエネルギーを持って参加している人が多い。普段は日本人の方を見かける機会の少ないカウアイ島も、この「E
Pili Ka Kou」会場は例外である。次に多いのがカリフォルニアというところだろうか。いずれにしても、フラ人気の高い国・地域からの参加者が多数を占めている。そして地元ハワイ各島からの参加者である。
カウアイ島以外の島から、WORK SHOPを担当するクムと一緒に来てこのイベントに参加しているローカルも多いと思うが、この日ばかりは自分のクムのクラスは敢えて取らないのが通常だろうと思う。それはクム自身が「せっかくの機会だから、他のクムのもとで普段とは違うレッスンを経験してらっしゃい」と背中を押すこともあるし、他のクムのスタイルに触れるいい機会でもあるからだ。またハラウを別にする人とフラに接する時間を楽しみ、ただただ肩に力を入れずにフラを楽しむというのがイベントの趣旨でもある。ということもあって、私は何となく成り行きで参加しちゃいました〜的な気分満開でWORK
SHPにぽこんと参加したのだった。そして、それはとっても甘い甘い考えだったのだと、WORK SHOP開始から数分にしてわかってしまうのだった。
...みんな、とても真剣である。普段、カウアイの暮らしの中で受けているWORK
SHOPとはまるで違うものである。がはは〜と笑いが充満してて、ゆるゆる〜としてて...、ひとまずこの時間を楽しみましょう、みたいな空気とはちょっと違う。参加している人のレベルも高いし、とにかくみんな覚えるのが早いし、必死になって、集中して挑まないとまったくもってついていけない。「ヤバイ」「マズイ」「何だこれぇ〜」という混乱状態に陥っていく私なのであった。(続く)
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