このアロハ・カワラ版で開催された「デジタル写真コンテスト」で、“アロハ・カワラ版賞”をゲットしたと、トモダチから「いやっほ〜」メールが入った。さっそく発表ページをのぞいてみると、Hau'oli
Na Waimakaの名前で彼女の撮った写真が掲載されていた。“被写体は誰なのでしょうか”と編集部からのコメントが添えられている。被写体は、アンティ・イポ...Ipo
Kahaunaheleさん。カウアイでは有名なミュージシャンである。またここ数年でその歌声で多くの人々を魅了して、アルバム「'Nau
'Oe」が賞を取って以来、とくに世界中のハワイアン・ミュージック・ファンそしてフラの踊り手に注目されているアーティスト、Kainani
Kahaunaheleは彼女の娘さんでもある。
踊るアンティ・イポのうしろでハナレイの風景が少しづつ暮れていった
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そのトモダチの誘いで、先日、アンティ・イポのライブへと出かけてきた。場所は「Hanalei
Bay Resorts(ハナレイ・ベイ・リゾート)」の中にある“Happy Talk Lounge(ハッピー・トーク・ラウンジ)”。ほんの少し夕陽が傾きはじめた6時からショーが始まるというので、私たちは少し早めに到着して、ステージに近い(といっても演奏用の空間が空けてあるだけなのですが)テーブルに腰をかけた。カクテルをオーダーして、しばし、ラウンジからの風景に見入る。カウアイ島の北「プリンヴィル」地区は、大規模なリゾート地として知られている。高級ホテルやたくさんのコンドミニアムが立ち並ぶ中で、敷地の大きさでは二番目を誇る「Hanalei
Bay Resorts(ハナレイ・ベイ・リゾート)」は、海に向かってゆるゆると傾斜をつくる9ヘクタールの敷地に、客室をはじめ、さまざまな施設がゆったりと配置されている。リゾート地というのがあまり得意ではない私ではあるけれど、ここからの風景は大好きで、プライベートや仕事でたまに訪れる機会があると「ほぉ〜」としばし見入ってしまうのである。とくにオススメするのが、私たちがライブへと足を運んだ“Happy
Talk Lounge(ハッピー・トーク・ラウンジ)”そして隣にある“Bali Hai Restaurant(バリ・ハイ・レストラン)”からの風景である。昼間もよし、夕方もよし、時間を選ばずにハナレイの美しい風景を堪能できる。たぶん、プリンスヴィルにありながらも、施設全体があまり格調張らないシンプルで素朴な雰囲気に満ちているのも私をリラックスさせてくれる要因のひとつだと思う。
6時頃になって、アンティ・イポはじめ、ミュージシャンたちがやってきた。AlohaとHug(ハグ)、トモダチに、そして私にも用意してきてくれたレイをかけてくれる。アンティ・イポに会うのはこれがはじめて。大らかな笑顔と、ふくよかで背丈のある体躯、ハワイアン・ホスピタリティに溢れる人柄が一目で見てとれるようなその雰囲気にライブの前から気持ちがくつろいでしまうのだった。
ライブが始まる。アンティ・イポの量感のあるハスキーな声がラウンジを包み来んでいく。カイナニ(Kainani)の声に少し渋みを加えた感じだろうか。聞き入ってしまう。「こういう声の持ち主を、唄うために生まれて来た人って言うのだろうな...」と思わされるような魅力的な声だ。ハワイアン・メレの演奏のあと、フラも登場する。こういったリゾート施設でのショーだと、若いダンサーが少し露出度の高い衣装を身につけて登場したりすることも多いのだけれど、この日登場したのは、アンティの妹さん。カジュアルなハワイアン・ドレスに身を包んで、まるでどこかのホームパーティで踊るように、作りものっぽくない心地の良い笑顔を見せながら踊ってくれるのがとてもいい。この日登場予定だったダンサーがモロカイで体調を崩して来られなくなって、急遽引っ張って来られたのだと苦笑していた。それを聞いたアンティ・イポが「彼女はね、ショーなんかで踊ったことは一度もないのよ、踊る機会があるとしたらここでのライブだけ」と言って、カラカラっと笑っていた。
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ライブの中では、その前日にイポさんが作詞作曲して、トモダチにウクレレで教えてくれたというメレも演奏された。(賞を取った写真は、その時のものだと思われます)演奏前に樹木の陰でコソコソっと話をしているアンティと妹さんの姿が見えた。「日本から来たトモダチに...」と言って、演奏が始まる。「いま、だだっと打ち合わせをして振りを教えたばかりだから、彼女がちゃんと踊れるかどうかも見物だわ」なんてMCを入れながら...。心地の良いそのメレに合わせて、妹さんが踊る。ほぼ完璧。その場で言われた振りを踊って、見ているこちら側を気持ち良くさせるなんてことは普通、なかなかできないもんである。すごいな、上手いなぁ、じゃなくて気持ちいいなぁと思わせるのは難しいものだと思われる。そこにはテクニックや経験に加えて、姉妹ならではの「あ・うん」の呼吸というものがあるのだと思う。ゆるゆると、明るく楽しく、そして静かに興奮しながら時間が過ぎていく。
視線をすっとステージからそらすと、ハナレイの海が刻一刻と一日の終わりを迎えようとしている風景が見える。ハワイアン・ミュージックとフラ、そして濃い緑の樹木を手前に、視線の向こうに朱を帯びた夕刻の海が広がっている......ああ〜、カウアイってほんとうにいいなぁと、気持ちと身体がほころんでいくのは、こういう時間の中に身を置いている瞬間である。プクっと、“Mahalo
nui(ほんとにありがと)”という言葉が心に浮かんだ時間であった。
※アンティ・イポのライブは
毎週火曜日「ハナレイ・ベイ・リゾート」内 Happy Talk Loungeにて
6-9pm
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