残暑お見舞い申し上げます。カウアイはまだまだタンクトップで過ごせる日々、それでも朝夕の風がほんの少しずつ、涼しさを増してきているかなぁというこの頃。私はというと、フラ(HULA)の行事がいろいろと続いていて、朝から夜遅くまでどっぷりとフラ漬けの毎日を送っている。
私のカウアイでの暮らしの中で“フラ”の占める割合はとても大きい。それは単純にフラに時間をどれだけ費やしているかということではなくて、フラのある暮らしを通して知ること、感じることの大きさのこと。フラ・シスターズ(一緒にフラを習っている仲間)たちとの関係が私の暮らしをもっともっと楽しくて有意義なものにしてくれているし、クム・フラ(フラの師匠、先生)から教えてもらうこと、また儀式などを通してハワイの自然や文化に接していく中でたくさんのことを学ばせてもらっている。だから、フラは私にとっては「習い事」の域をとっくに出てしまっている。「趣味」というのともまた違う。クム・フラのプナが「Hula
is life」とよく言っている。少し大げさに聞こえるかもしれないけれど、そんな感じである。フラのある暮らしが、カウアイ島という土地と自分とをより深くしっかりと結びつけてくれている。
さて、私たちのハラウ(教室)は全員で65名ほど。毎週木曜日にビーチでレッスンがある。それに加えてクム・フラが全体を小さな「Essence(エッセンス)」と呼ぶグループに分けて、そのグループでのレッスンが週1回ある。私たちのエッセンスは「Pua
Melia (プア・メリア)」という名前(プルメリアのこと)で、月曜日の夕方にこれもまたビーチでレッスンを行っている。メンバーは7名。そこにプナが来て、踊りを教えてくれたり、ハワイアンの自然観などについて話をしてくれたりと、通常よりももう少し深く濃い内容の数時間になるのだ。ハラウ=オハナ(Ohana=家族)という考えのもとに、一緒にフラを習っているメンバーは家族のようにつながっている。そして、さらにいろいろなことを助け合うために作られたエッセンス・グループは、多くの時間を一緒に過ごすことになる。ハラウには10組のエッセンスがあるけれど、中でも私たちのエッセンス「Pua
Melia (プア・メリア)」のメンバーはとても仲が良い。何かにつけては誰かの家に集まって作業をし、作業のあとには必ずといっていいほど「potluck(ポトラック)」ディナーをする。ポトラックというのは、各自が持ち寄りで何か料理を持参してテーブルを囲むスタイル。ディナーの時間になると、それぞれの家族...我が家ならウォーレン(ダンナさんです)が合流して、ほんとに親戚の集まりみたいな雰囲気の時間となるのだ。
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この日は、9月初旬に2週末にわたって行われた「ウニキ」という儀式と「ホイケ」(発表会のようなもの)のときに、手首、足首、頭、首に飾る装飾を作る作業のために、メンバーのうち、フラン&ナゼラの家へとみんな集合。装飾は、ラウアエという葉をハウの樹木の皮をはがして裂いた繊維に編み込んで作っていく。前日に、やはりメンバーのカレンと、日本から来ていたフラ・シスターのマミちゃんと3人で、川沿いの大きな敷地に住むカレンの知人宅へとラウアエの枝を採りに行ってあった。一人120本を採取して、一日、陽のあたるところに置いて水分を飛ばし、葉を柔らかくする。なかなか時間のかかりそうな作業なので、この日は朝からの集合となって、朝食を一緒に食べた。フラン&ナゼラが用意してくれたベーグルと野菜、自慢のヨーロピアン・コーヒーでお腹を満たしてから、ラナイへ。フラン&ナゼラはともにアーティストなのだけれど、2人が自分たちで建てたアート・ルームの前で、ラウアエ作りに取り組んだ。
こういう作業をしていておもしろいのは、それぞれの性格がくっきりと見えてくることである。たとえば、一見おおまか&のんきで何事にもふざけてばかりのナゼラと私は、実は几帳面で完璧主義なところあり。編み込み部分がきっちりと気に入るようにできるまで、何度も何度もほどいてなかなか前に進まない。その隣でスイスイと作業をすすめるカレンやまみちゃんが「そんなんじゃ、一生終わらないよ」と笑っている。静かに何も言わずに作業をすすめるレイチェルは、でもその手元を見るととても大まかな編み込み具合で、それを覗き込んでは、ああダメだ、ああいうのは作りたくないとまたまた編み込みをほどく私とナゼラなのである。
けっきょく、いろいろな事情も合わさって、私が作る必要のあったラウアエの装飾6個は翌朝、「ウニキ」の会場へと出発する直前に完成した。その間には材料となる葉が足りなくなったり、編み込み作業が間に合いそうもなくなったりしたものの、「今から持っていってあげるから」「編み込み手伝いに今すぐに行ってあげるから」と、フラ・シスターズたちがかけつけてくれて完成した。
私たちのエッセンスは全員がどこかからの移住組である。だから私たちはここで、こういう風に姉妹のように過ごせるメンバーを持てたことにとても感謝している。だから機会がある度に、夕食を一緒に囲んでガハハと笑って過ごしているのだ。昨日まで他人だった人と、何かの縁で姉妹のようにつながって、そしてその縁を深めていくのは、とても心のあたたまる嬉しい時間なのである。
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