Hau 'Oli Makahiki Hou. みなさん、新年あけましておめでとうございます。日本より一日遅れで、元旦を迎えました。「おせち料理」と「お雑煮」で新年を迎える家庭は、日系人の多いカウアイでは、わりと多いようです。年の瀬には、我が家の近所でも「もちつき」が盛大に行われ、白餅とあんこ餅が我が家にも配られてきました。大晦日は、いつものごとく、花火と爆竹でひと賑わいとなります。日本人の私には、ハワイのお正月はちょっと情緒に欠けるという気がして。新年は静かに迎えるのがいいなぁと、日本のお正月が懐かしくなる、いつものハワイでのお正月風景でした。いつも、このページを読んでいただいているみなさんにとって(もちろん、読んでいただいてない、みなさんにとっても)、健康で楽しいこといっぱいの一年でありますように。ではでは、ミノリのカウアイ日記、2006年の第一弾をお届けします。
職人ワザでココナッツを割っていく、ココナッツ・ビル |
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最近、毎日の日課として、ココナッツ・ウォーターを飲み始めた。きっかけは、先日、オアフ島で受けた「治療のための」ロミロミ・マッサージ。ロミロミについては以前にも書いたことがあるし、最近は日本でも大人気だと聞くので、詳しくは書かないでおこうと思う(というか、詳しく書けないという方が正しいのかもしれません)。ロミロミにも種類があるようで、いや、ロミロミに種類があるというより、マッサージを施す側の意図、スタイルによって、内容が変わってくるというべきなのだろうか。ホテルや、スパなどで行われているのは、リラクゼーション目的というものがほとんどだと思う。私の日常生活の中で、ロミロミというのは欠かせないものになっていて、ロミロミの受けて側としては、なかなか豊富な体験の持ち主(自分で言うかっ。)である私も、治療としてのロミロミを受けたのは初めての経験だった。ロミロミをしてもらったのは、以前から、一度、この人のロミロミを受けてみたいなぁとずっと思っていた人である。ハワイの人にとっては、家庭の医学的な存在で、各家庭でそれぞれのスタイルがあるということも、今回、初めて知った。
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その人は最初に、むにゅむにゅむにゅと指先でお腹の辺りを触ったあと、「日本食をよく食べているのかな」と聞かれた。そう、我が家は和食が中心である。和食はアメリカの食事にくらべて健康的だとは、みんなが言っていること。「はいっ。」と胸を張って答えると、「じゃぁ、しばらく和食を控えてみたらいいね」とアドバイスをされた。「はぁ!?」とちょっと虚をつかれたような私に、「和食中心の食事は、ハワイにはあまり向かないよ」と。つまり、ものにはすべて「陰」(ネガティブ)と「陽」(ポジティブ)があるわけで、日本は「陰」の気候を持つ国。ハワイは「陽」の気候を持つ国。日本で食べるなら、「陽」の食材や調理法が、ハワイで食べるなら「陰」の食材や調理法が、身体のバランスを取ってくれる。だから、ハワイで和食を食べ続けるのは、「陽」の国で、「陽」の食材や料理を身体に入れ続けることになって、「陽」の過剰になってしまう。そんなことは当たり前のこととして、知っていたつもりが、ハワイで和食生活をし続けていることについては、疑問の“ぎ”の字も持たずにやってきたのだから、おバカさんぶりもなかなかのもの。そう、ひとことで言うと、私の身体は「塩分の取り過ぎ」になっていたわけである。
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塩分の取り過ぎになると、腎臓の働きがにぶくなって、身体の中に余分な水分が溜まることになる。そこで、腎臓をきれいにクリーニングして、活発化させる食材のリストをもらった。その中にあったのが「ココナッツ・ウォーター」である。以来、「和食敬遠気味、くわえて塩分控えめ」の食生活、そしてココナッツ・ウォーターをグラスに一日2杯の暮らしとなった。そして始めてみると、このココナッツ・ウォーターを飲むという習慣が、とびきりに楽しいのだ。言うまでもないことかもしれないけれど、ココナッツ・ウォーターというのは、ココナッツの実の中に入っている果汁のこと。最初は、新鮮なココナッツ・ウォーターなんて、どこで手に入るのか、と考え込んでしまった。ココナッツを手に入れることはできても、斧で割るという、考えるだけで手から血が’吹き出しそうな作業を一日に2回しなければならない。これは却下。つぎに、オーガニック・レストランで売られているのを発見。1カップ6.5ドル。グラスに2杯は余裕で飲めるけれど、毎日飲むには高すぎる。次にスタンドバーでひとつ(実)5ドルを発見。それでもまだ高い。むむむむ〜〜と考えていると、友人が、「いつも行ってたファーマーズ・マーケットで売ってるじゃない」と。そうだ。燈台下暗しとはこのことである。さっそく次の水曜日にガロン・ボトルを持参して行くと、なんと、ひとつの実が1.5ドル。しかもちゃんと割ってくれる。以来、ファーマーズ・マーケットに再び通う日が始まったのだ。
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ファーマーズ・マーケットは3時から。私は、人ごみが落ち着く4時頃に、プラスティックのガロン・ボトルと漏斗を持参していく。ファーマーズ・マーケットでは有名人のココナッツ売り、その名も「ココナッツ・ビル」(ニックネームです。念のため)が、今日も休むことなく、斧を振り降ろして、次々とココナッツを割っている。その作業は職人芸の域で、いつも彼のブースは人だかりである。まずは、ココナッツの実の頭とお尻の部分をカット。頭の部分に小さな穴が開くくらいまで、実をカットすると(この微妙な力加減がまた職人ワザなのだ)、そこにストローを挿して渡してくれる。そこからチューチューと中のジュースを味わって飲んだら、今度はそれをタテに4分割にして渡される。中の実をこそげて食べるのだ。私たちはいつも一週間分を買うので、実にすると8〜10個ほど。初日に「ジュースだけでいい」というと、「今度から、タッパウエアを持参して、ちゃんと中身もこそげて持ってかえりなよ。かじってもいいし、料理に使っても美味しいよ」とアドバイスしてくれた。ココナッツ・ビルはたぶん、ココナッツを心底愛しているに違いないと思われる。タッパウエア持参で、と言ったその顔には、ムダなく、可能な限り、味わい尽くしてくれよ...という気迫さえ感じたものである。仕事帰りのウォーレンとは、ココナッツ売りの現場で落ち合う習慣となっているが、2回目の水曜日の朝、「タッパウエア、忘れないようにね!」と、ココナッツ・ビルの気迫がうつったような顔で、言い渡されたものである。私も思わず、背筋を伸ばして「確実に持参しまする!」と答えたのだ。結果的に、その日はタッパウエアを忘れて出かけてしまった私であるが(す、すみません)、3回目からはちゃんと持参している。
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ココナッツ・ウォーターが日課になったことで、なんだかウレシイ気持ちになることがいくつもあるような気がする。まずは何といっても、美味しい。家に持ち帰ったココナッツ・ウォーターはグラスの容器に入れ替えて冷蔵庫に入れて置くと、一週間、新鮮なままである。ファーマーズ・マーケットで、木の椅子に座りながら、ガロン・ボトルが満たされるまで、そこに集まる人と会話をして、風に吹かれている時間も大好きだ。そして何と言っても、カウアイの太陽やエネルギーをいっぱいに受けて育ったココナッツを、身体の中に取り入れるという感覚がいい。この島の元気を、毎日もらっているような気になる。「その土地のものを食べる」って、食生活の基本だなぁなんてことを思いながら、最近は積極的に、この土地で取れるものをできるだけシンプルな調理方法で食べているのだ。でも、和食断ちはしないとも思う。これも大切な母国の味だから。バランスよく、私なりの、“移住者”食スタイルを構築中なのである。
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