「HOKU(ホク)」は、ハワイ語で、“星”という意味。私の周囲で「ホクがいいね、なかなかイケてるね」なんて、ちょくちょく話題に出るようになったのが、一年とか、一年半前頃だろうか。最初は、(ホクって何?)と思って、友人に聞いたところ、ナチュラル&オーガニック・フードのホール・セールのお店だと言う。新しいナチュラル&オーガニック・フードのお店にとても興味はあったものの、お店の場所も、車の修理工場やら信用金庫やらがある一帯で、いわゆるショッピング・センターの中にあるわけでもなく、ホール・セールということもあって、しばらくは足を向けることもなかった。それでも「ホクが、イケてるよ」という声は大きくなってくる。「ホール・セールのお店って聞いたのだけれど、単品買いもできるの?」と友人に聞いたところ、「できる、できる!」との情報。な〜んだ、それならと足を運んでみたのが、半年くらい前であったろうか。
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「HOKU(ホク)」はほんとうに、修理工場やらの一角にあって、その面構えも「お店」というより、「倉庫」。商品が並んでいるというより、在庫を整理してあるストック・ルームと言った感じであった。品揃えは、まだまだ少なく、従来からある、ナチュラル&オーガニック・フードのお店より優れているところを探すような気分で、足を踏み入れてみた。「何がいけてるか」は、一目瞭然で、何よりも価格が良心的なこと。これは、ナチュラル&オーガニック・フードを好む者には大きいなポイントである。なんせ、日常の食卓を支えるものたちなのだから。そして、カリフォルニア発の、ナチュラル&オーガニック・フードの大手通販会社「マウンテン・ピープル」へのオーダーもここで出来る。「マウンテン・ピープル」というのは、以前、この「カウアイ日記」でもご紹介したことがある
けれど、お店に並んでいるものに手を出すよりも、安い価格で同じ商品が手に入る。だけれども、ほしいものを単品で購入ができなかったり(ダース買いが基本となっていたり)、送料なども入るので、個人でやろうとすると逆に価格が嵩んでしまったり、その手続きが非常に面倒であったりする。だから、そういう拠点を置いているというのは、なんとも消費者の側に立ったサービスである(安く手に入った商品にたっぷりと上乗せをして、お店に並べるのが通常ですもんね)。この、“消費者の側に立つ”というのが、「ホクがイケている」最大の原因であると私は思う。品揃えはまだまだかなり少なくても、「HOKU(ホク)」を応援していこうとする人がたくさんいた。私たち夫婦も、ちょくちょく足を運ぶようになった。
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それからしばらくして、「HOKU(ホク)」は移転することになった。以前、こちらも我が家のお気に入りの家具屋さんがあった、その場所に入るという。けっこうな床面積である。場所代もきっと「倉庫みたいな」お店の比ではないかと思われる。友人たちと、「HOKU(ホク)」に並ぶ商品もやっぱり高くなってしまうのかなぁ、そうなったら残念だねぇなんて話をしていた。新しいお店がオープンしてちょうど1〜2ヶ月になるだろうか。嬉しいことに「HOKU(ホク)」は、品揃えをどんどん拡大しつつも、消費者に良心的な価格提供をいまも続けている。
オーナー夫妻のダンナさんの方、ブレットに声をかけてみた。「どうしてこんなお店を開こうと思ったの?」と聞くと、前のお店を開く2年ほど前に引っ越してきたんだけれど、安心・安全な食品や日用品を買うのには相当な費用がかかるなぁと思って。どうやったら、できるだけ安価にナチュラルでオーガニックな品を手にできるんだろう、子供たちに食べさせていけるんだろうって考えてたそうだ。「周囲にもそういう人がたくさんいてね、結果的に自分たちでそういうお店をやろうってことになったんだ」と、ブレット。そうか、そういう理由で始めたお店だから、こんなに良心的な価格がついているんだなぁ。そして、新しいお店になってからも、その姿勢は変わらない。ご存知の通り、アメリカ経済の落ち込みぶりは尋常ではないし、ほとんどの家庭の経済事情も良いとは言えないはずだ
けに、「HOKU(ホク)」は嬉しい存在である。うちのダンナさんは完全に「HOKU(ホク)」のサポーター状態である。以前は、ナチュラル&オーガニック・フードはいいけれど、価格が高すぎて通う気になれないなんて言っていたのに、「ホクはイケてるなぁ」なんて言いつつ通っている。私たちが「HOKU(ホク)」を好きなのは、ただ安いからではないんだろうと思う。ハートのあるビジネスをし
ているところがいい。とてもいい。このまま、大きくお店を拡大していくようになっても、いまのまんまの「HOKU(ホク)」がいいな。というわけで、「HOKU(ホク)」は私たちの暮らしの中に現れた、お星さま(HOKU)なのである。 |