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カパアの町に出現した、ヨーロピアンな空間

ミノリ・エヴァンス
 カウアイ島の人口は約6万人弱(面積は1430.4km²)。お隣のオアフが、人口約100万人弱(面積は1,545.3km²)と言うのだから、その人口密度のゆるさと言ったらとんでもない。そして、ハワイの玄関口オアフ島とカウアイ島は飛行機で約30分の距離。ホノルル空港の喧噪を発ち、30分後に降り立つのが、「これ、空港?」と思ってしまうような、地方都市のバス・ターミナルのような(いや、そこまでも立派ではないかも)、リフエ空港である。そしてそんな人口密度の低い島の中で、10,699人の住民を抱えるカパアは、島の中では最大の町。我が家のあるワイルアも、このカパアの町の一部である。

ハイウエイ沿いにスカイブルーのペンキの外観が映える
ハイウエイ沿いにスカイブルーのペンキの外観が映える
 ワイルア川が流れ、ワイアレアレが山側を飾り、滝が落ち、歴史的にゆかりのある場所やヘイアウなどの聖地が点在するカパアは、島人と観光客が交差する町。それゆえにレストランやカフェ、スーパーマーケットの数も必然的にカパアの町に集中する形になっている。(とはいえ、数えられる程度の件数ですが…)

 さて、この「カウアイ日記」で、たびたび“カフェ好き”を自称している私。新しいカフェができたと知ると、足を運ぶのはもちろんのこと。ただし、かなり評判が悪い、かなり自分の好みに合わないというところは、この「カウアイ日記」には登場しないシステムを自分で勝手に作っている。なので、カウアイ好きな方、またはカウアイ在住の方で、「あれ、あのカフェって古いのになんで登場しないんだろう?」と思われる方がいらっしゃるとすれば、それは、私の周囲の人からの評判がすこぶる悪いか、かなり私の好みじゃないから(なんて、上から目線な言い方ですみません)。基本的に、スカスカ人口のこの田舎の町で、“カフェを追求する”なんてこと自体がチャレンジングなこと。そんな“カフェ好き”を自称する私の暮らしに、新たな「お気に入りスポット」が最近になって加わった。


誰かの家のリビングルームにお邪魔した気になる店内
誰かの家のリビングルームにお邪魔した気になる店内
 「ART CAFE HEMINGWAY」(アート・カフェ ヘミングウエイ)は、3ヶ月前にカパアの町のハイウエイ沿いにオープンした。もとは「Small Town Coffee」というカフェだったところを全面的に改造して、新しく生まれ変わらせた。ヒッピー系、自由系な人々が出入りしていた「Small Town Coffee」も独特で楽しい雰囲気のカフェだった。(「カウアイ日記」に登場しなかったのは、たまたま。移転してまだ健在のカフェなので、そのうちに登場するかも。) そして、あちらがカパアの町にポンっと現れたカリフォルニア空間だったとしたら、新しく出来たこの「ヘミングウエイ・カフェ」は、カパアの町に突如として現れた、ヨーロピアンな空間。スカイブルーに塗られたポップな外観は、「Small Town Coffee」の名残を残したまま。いや、正確に言うと、いまのカフェのオーナーが所有していたビルを「Small Town Coffee」がレンタルしていたので、カフェの外観はもともと「ヘミングウエイ・カフェ」のオーナーの趣向というのが正しいのだろう。ハイウエイに面してテラス席があるが、この辺りからすでにヨーロッパが香ってくる。白いアンブレラ、座り心地の良さそうなチェアが並んだテラス席の横を通って店内に入ると、なんとも居心地の良さそうなリビング・ルームといった雰囲気のインテリアが迎え入れてくれる。まるで誰かの家にお邪魔したかのような、落ち着ける雰囲気に包まれる。ソファ席が壁際に並び、アンティーク調のいい頃合いに使われたテーブルとチェアが並び、奥にはダイニング・テーブルのような大きなテーブルに10脚ほどの椅子がぐるりとテーブルの周囲を囲む形で並んでいる。白を基調にした店内は明るくて、窓からはハイウエイを行き交う車、そしてその向こうに海が見える。

カウンターの上に並ぶメニューも充実
カウンターの上に並ぶメニューも充実
 さて、どこに座ろうかな〜と考えるのも楽しい。その日の気分で、窓側に座ってみたり、ゆったりとソファ席に行ってみたり、ノートブックPCを持ってインターネットに時間を費やす一人組は、なぜか大きなテーブルに座る傾向があるようだ。ここなら資料を広げて、視界の端に海を感じながら仕事を片付けたりもできる。「ゆっくりとしていってね」と、両手を広げて迎え入れてくれるようなウエルカムな雰囲気に満ち満ちたカフェである。

 カフェで大事なのは、美味しいコーヒーが飲めるかどうかも大きい。チェコスロバキア生まれ、ドイツ育ちのオーナーが出すコーヒーは本場ヨーロッパの味。ブラック・コーヒーはエスプレッソ一種類だけ。それをシングルショット、ダブルショットなど好みでオーダーして「アメリカ−ノ」スタイルで出してくれる。ハワイで「アメリカン・コーヒー」をオーダーすると、お湯の味が勝ってしまう代物に会うことが多いけれど、このカフェのアメリカーノは、ちゃんとコクがあってとても美味しい。私は、エクスプレッソをダブルショットでオーダーする。フード・メニューも充実しているが、こちらもヨーロピアン・スタイル。サーフィンには昼から行くというウォーレンと2人でブランチがてら出かけたこの日は、彼が “For Whom the Bell Tolls”… 数種のハム類、オムレツ、数種のブレッドのプレートをオーダー(12.50ドル)。私は、“Hot Croissant with Organic Hawaiian Honey and Butter”(2.50ドル)と、棚の上に並べてあったキッシュ(5.50ドル)をオーダー。メニューも充実しているけれど、その日によって変わる、カウンターに並べられたメニューも見逃せない。量はたっぷりとありつつも、お腹に軽い、そんなメニューが揃っているのも嬉しい。オーナーはフォトグラファーでもあり、ドイツにいた頃にはギャラリーを営んでいたそう。店内にもセンスのいい写真が、ぽつんぽつんと壁に配置されてそれぞれのストーリーを展開している。ちょっと、フランスなんかのカフェに迷い込んだ感じがする。でも、窓の外にはカウアイの海。そのバランスがまたなんだか不思議でいい。

ウォーレンがオーダーした“For Whom the Bell tolls”
ウォーレンがオーダーした“For Whom the Bell Tolls”
 カフェには2階もあるけれど、いまは改装中。これまではカフェだった2階部分をフォト・ギャラリーとして、来月3月にオープンする予定だそうだ。2階からは、ハイウエイを通り越して海が見える。一階とはまた違った空気感が漂っているのが2階部分である。海風がそよそよと入って来る2階席で、美味しいコーヒーを飲みながら本を読んだり、書きものをしたり、PCに向かったりというのも気持ちの良い時間だったので、ギャラリーがオープンしたあとも、2階にカフェが残るといいな〜と思う。どうなるかはいま、考え中だそうだ。

 ちょうど2人でブランチを取っているところに、知り合いのブリギッタ夫妻が入ってきた。彼女はいま、スイスから数ヶ月のバケーションでカウアイに来ているフラシスター(同じクムのもとでフラを習う仲間)である。結婚してスイスに住んでいるブリギッタはもともとはオーストリアのウィーンの出身。故郷気分を味わいにここに来るの? と聞くと、「私の出身地のウィーンでは、カフェはみんなこんな感じなの。ヨーロピアンにとってカフェは絶対不可欠だからね。ゆっくりとくつろげるソファの置いてあるカフェが普通なのよ。ここはまさにウィーンのカフェそのもの」と言っていた。

壁沿いはソファ席。ずっと居続けてしまいそう...
壁沿いはソファ席。ずっと居続けてしまいそう...
 ハワイには残念ながら“カフェ文化”というのはない。まして、田舎町のカウアイには、ない。「スターバックス」とか、「コーヒービーン」とかのアメリカ資本のチェーン店に人は集まる。そういう私もよく足を向けるのは実はそういうところ。ショッピング・センターの中にあるので、気軽に行けるからだ。でも少し時間のある時なんかは、こういった個人経営のカフェに行くのがやはり楽しい。それぞれに独自の雰囲気があって、オリジナル感に溢れている。まして海の見えるカフェはさらに気持ちがいい。ブリギッタいわく、このカフェで出されるブレッド類やチーズ類はヨーロッパから仕入れているそう。たしかに、ヨーロッパに行くと出くわす味が出されて来る。ただ、その中にもハワイのローカルのものを取り入れたりと工夫がしてある。

 フランスやウィーンの片田舎にありそうなカフェが、こちらも片田舎のカウアイに出来て、その混ざり具合はなかなかに成功していると思う。そして、(何度も言うけれど)窓からは河に架かる橋、その向こうに海。ん〜、気持ちがいい。… そして美味しいコーヒー。今度はランチ・メニューの時間にぜひ訪れてみたいなと思う。開店は朝8時。欲を言えば、朝陽を見ながらコーヒーが飲めると最高なんだけれどな〜。

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