「ART CAFE HEMINGWAY」(アート・カフェ ヘミングウエイ)は、3ヶ月前にカパアの町のハイウエイ沿いにオープンした。もとは「Small Town Coffee」というカフェだったところを全面的に改造して、新しく生まれ変わらせた。ヒッピー系、自由系な人々が出入りしていた「Small Town Coffee」も独特で楽しい雰囲気のカフェだった。(「カウアイ日記」に登場しなかったのは、たまたま。移転してまだ健在のカフェなので、そのうちに登場するかも。) そして、あちらがカパアの町にポンっと現れたカリフォルニア空間だったとしたら、新しく出来たこの「ヘミングウエイ・カフェ」は、カパアの町に突如として現れた、ヨーロピアンな空間。スカイブルーに塗られたポップな外観は、「Small Town Coffee」の名残を残したまま。いや、正確に言うと、いまのカフェのオーナーが所有していたビルを「Small Town Coffee」がレンタルしていたので、カフェの外観はもともと「ヘミングウエイ・カフェ」のオーナーの趣向というのが正しいのだろう。ハイウエイに面してテラス席があるが、この辺りからすでにヨーロッパが香ってくる。白いアンブレラ、座り心地の良さそうなチェアが並んだテラス席の横を通って店内に入ると、なんとも居心地の良さそうなリビング・ルームといった雰囲気のインテリアが迎え入れてくれる。まるで誰かの家にお邪魔したかのような、落ち着ける雰囲気に包まれる。ソファ席が壁際に並び、アンティーク調のいい頃合いに使われたテーブルとチェアが並び、奥にはダイニング・テーブルのような大きなテーブルに10脚ほどの椅子がぐるりとテーブルの周囲を囲む形で並んでいる。白を基調にした店内は明るくて、窓からはハイウエイを行き交う車、そしてその向こうに海が見える。
カフェで大事なのは、美味しいコーヒーが飲めるかどうかも大きい。チェコスロバキア生まれ、ドイツ育ちのオーナーが出すコーヒーは本場ヨーロッパの味。ブラック・コーヒーはエスプレッソ一種類だけ。それをシングルショット、ダブルショットなど好みでオーダーして「アメリカ−ノ」スタイルで出してくれる。ハワイで「アメリカン・コーヒー」をオーダーすると、お湯の味が勝ってしまう代物に会うことが多いけれど、このカフェのアメリカーノは、ちゃんとコクがあってとても美味しい。私は、エクスプレッソをダブルショットでオーダーする。フード・メニューも充実しているが、こちらもヨーロピアン・スタイル。サーフィンには昼から行くというウォーレンと2人でブランチがてら出かけたこの日は、彼が “For Whom the Bell Tolls”… 数種のハム類、オムレツ、数種のブレッドのプレートをオーダー(12.50ドル)。私は、“Hot Croissant with Organic Hawaiian Honey and Butter”(2.50ドル)と、棚の上に並べてあったキッシュ(5.50ドル)をオーダー。メニューも充実しているけれど、その日によって変わる、カウンターに並べられたメニューも見逃せない。量はたっぷりとありつつも、お腹に軽い、そんなメニューが揃っているのも嬉しい。オーナーはフォトグラファーでもあり、ドイツにいた頃にはギャラリーを営んでいたそう。店内にもセンスのいい写真が、ぽつんぽつんと壁に配置されてそれぞれのストーリーを展開している。ちょっと、フランスなんかのカフェに迷い込んだ感じがする。でも、窓の外にはカウアイの海。そのバランスがまたなんだか不思議でいい。