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時間の記憶を包み込む、アロハ・レイ ミノリ・エヴァンス
 新年明けましておめでとうございます。
 新しい年のはじめを、みなさんどのように過ごされましたか?

冬至の儀式のあとに見た朝陽
冬至の儀式のあとに見た朝陽
 個人的には昨年末に寂しいお別れがいくつか重なりました。なので、そのご家族にとってはツラいホリデーシーズンだなと思う一方で、「新年明けましておめでとう」と、健康に、これまでと変わらずにまた新しい年を迎えられるというのは、ほんとうにおめでたい、感謝すべきことなんだなと改めて思った2013年の始まりでした。

 フラの暮らしの中では、暦よりもひと足先に「冬至」の日に年末年始を迎えます。そういうこともあって、私自身は年末年始的気持ちの切り替え(?)を冬至の日に済ませていたのですが、暦の上での年末に欠かせないのは、やはり家の大掃除です。「これは、ぜったいにいいね!」という、カウアイの暮らしに持ち込んだ日本の習慣のひとつです。
 一昨年はバタバタしているのにまかせて、かなり手抜きに済ませた年末の大掃除。そのまま、あちらもこちらも気になりつつ、見て見ぬフリをして一年を過ごした結果、今回の年末の大掃除はかなり「やり甲斐」のあるものになりました。笑
 お部屋をきれいにするのはココロをきれいにするのと同じこととよく聞きますが、ほんとうにその通りですね。家の中がきれいになっていくのと比例して、気持ちがとてもすっきりとしていきます。せっかくの年末の休日をサーフィン返上で家の大掃除にかり出されるダンナさんは、いつものようにブーブーと文句を言いながらもぬかりなく掃除に精を出し、友人から電話があると「いま、年末の大掃除!」とどこか得意気に言っています。電話の相手はたいがいが「どうして掃除?」と聞くらしく、「今年の汚れは今年のうちにきれいにするんだよ」と説明をしている様子。さっきまで文句を言ってたその口が言うのか? と、つっこみたくなるような自慢気な口調です。

リビングにて乾燥中のレイたち
リビングにて乾燥中のレイたち
 年末をすっきりとした家で迎えた元旦の朝。この日はやはり恒例のアナホラはタロ・パッチでのプログラムでフラを踊ることから始まりました。儀式やプログラムでフラを踊る時には、自分で作ったレイを両手首、両足首につけるのが通常です。そして年始のプログラムには、冬至で作ったレイを使うのが恒例になっています。今回の冬至はカジュアルで行くというクム・フラ(フラの先生)からの指示で、いつもはフルセット(両手首と両足首の、頭、首用のレイの6つ)を作るところを、頭か首のひとつだけでいいとのことだったのですが、私は年末にお別れをした友人、恩人たちとの儀式にしようと通常通り、フルセットでレイを作りました。
 それぞれの儀式自体はクム・フラが慣習にのっとって行うもので、その目的などは決められているものです。でもそこに自分なりの想いを込めるのは個人の選択です。植物で作ったレイを自分の身につけることによって、自分自身を自然の中にとけ込ませる、レイに自然と自分をつなぐ媒介になってもらうのだと学んでいるので、今回は「正装」でお別れの儀式をしたいと、自然の中へ戻っていった友人恩人に近寄りたいと、フルセットのレイを身につけました。

家のあちらこちらに、いろんな時間の記憶をかけてあります
家のあちらこちらに、いろんな時間の記憶をかけてあります
 毎年行う「冬至の儀式」もその年によって胸中に寄せる想いはまったく違います。そして各儀式によっても、一緒に踊るメンバーも違えば、国や島も違ったりといろいろです。私がすてきだなと思うのは、そういう時間の記憶をレイに込めて編み、残していくという習慣。儀式やプログラムで使ったレイは、家で時間をかけて乾かし燃やして灰にしたものを、衣装などの文様を作るのに使います。それが私のクム・フラ、プナ・カラマ・ドーソンの家系で受け継がれてきた習慣です。
 とくに儀式には、その時々でさまざまな思い入れがあり、それを一緒に踊るメンバーとの思い出の時間となります。また、今回の「冬至の儀式」で私が友人恩人へのお別れの想いを込めたように、各自の踊り手が持つ思い入れというものも含めて、レイが自然界と自分たちをつないでもくれます。その儀式の場所や空や周囲の環境からのエッセンス、各自の想いや思い入れ、時間の記憶をぎゅっと包み込んだレイを、衣装の中に擦り込んでいつまでも着続ける。踊り手の着る衣装の中に、さまざまな祝福の時間が刻み込まれている。この時間の記憶の残し方がすてきだなといつも思いながら、今回のレイもいま、我が家のリビングでその色鮮やかだった緑、赤、黄色から重みのある茶色へと変色していっている最中です。

 今年はどんな時間の記憶たちがレイに編み込まれていくのでしょうか。時にあまり嬉しくないことも起こるけれど、それでもその中から、楽しいこと、シアワセだと思える時間だけを拾って気持ちの中に積み重ねて、感謝にあふれる一年を過ごしたいなと思います。

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