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ハワイアン・タイム in スイス ミノリ・エヴァンス
 3週間のフラの旅を終えて、カウアイに戻りました。
今回は、ハワイからスイスへ、スイスから日本へと飛行機で世界を一周する形での大移動。「は〜、疲れた〜」とカウアイの家に帰ってから、実に20時間以上も飲まず喰わず、トイレにも起きないで爆睡してしまいました。肉体的に疲れもしたけれど、今回もまたたくさんの経験と、出会いに恵まれた時間を過ごしてカウアイに戻りました。

 今回の旅はまずチケットを取る段階から大騒動(笑)。フラシスターの友人が格安チケット探しを手伝ってくれると申し出てくれて、彼と一緒にひと騒動したあとにやっとチケットをゲット。ハワイからヨーロッパへ行くには丸2日間がかかるのが通常です。加えて今回は世界を一周する形での移動で、乗り継ぎを駆使して少しでもチケット代を押さえてみようという試みに挑戦した結果、4回の乗り継ぎで目的地スイスにたどり着く形になりました。まずはカウアイ・リフエ空港からオアフ・ホノルル空港へ。ホノルルからサンフランシスコ、サンフランシスコからニューヨーク、ニューヨークからイタリア・ローマ、ローマからスイス・チューリッヒ…各空港での待ち時間も入れると丸2日以上の旅です。いつものことながらフラの旅は、衣装や楽器など個人旅行では考えられない量の荷物を持っての移動となります。今回は、ダンナさんのウォーレン、クム・フラ(フラの先生)のダンナさんと男手があったのが幸いでした。とはいえ、フラの旅に慣れている私のクム・フラと私に比べて、そういう旅には慣れていないダンナさんチーム。いろいろな場面で「げげ〜」とへこたれ気味だったのは、ダンナさんチームの方だった感も否めません(苦笑)。

フラ・レッスン会場の周りはいかにもスイスな町並み
フラ・レッスン会場の周りはいかにもスイスな町並み
 スイス・チューリッヒに着くまでの乗り継ぎ地では移動時間が少なくて、係員の先導のもとにニューヨーク空港をターミナル1からターミナル4へと過激なまでに走らされたりと、まさに珍道中。いまでは笑い話ですが、なかなかにチャレンジングな道中でした。到着した先のスイス・チューリッヒ空港では、先着のフラシスターと、日本から合流したフラシスターが迎えてくれました。旅はまだ始まったばかり、いやまだ始まってもいないのに、この時点でドッと疲れていた私たちでした。

 昨年、ヨーロッパでフラのプログラムがあり、スイスにも足を延ばしてはいたものの短時間の滞在、加えてずっとフラのプログラムが進行していたこともあって、スイスの街に触れることがありませんでした。なので、今回は到着日翌日の「オフ・デー」に街ブラするのを楽しみにしていました。観光地にはまったく興味のない私ですが、カフェ好きの私にヨーロッパのカフェは魅力的です。カフェのはしごをするぞ!と気合いを入れていたものです。そしてクリスタルで知られる”スワロフスキー”が大好きな私は、本場ヨーロッパのスワロフスキー・ショップに行く! というのがオフ・デーの優先事項。スワロフスキーはオーストリア発。時々チャンスがあると訪れるスワロフスキーのアラモアナ店の店員さんが調べてくれたところ、もし同じアイテムを購入するなら、スイスよりもハワイの方がずっと安いということが発覚。ドイツ出身のフラシスターが言うには「スイスはヨーロッパの中では最も物価の高いところなの。何でもスイスに入ると、値段がつり上がってしまう」ということでした。ちょっと残念と思ったものの、ヨーロッパのフラシスターたちが「ミノリはスワロが好きだから」と、ホテルから行きやすい場所にあるお店を探してくれていたこともあって、いやいや、それでもハワイでは売られていないものが並んでいるはず、と下がりかけたテンションを無理矢理上げてみました。

 オフ・デーはスイスのフラシス、マーリーの案内でトラム(路面電車)に乗ってチューリッヒの街へ。どうやらチューリッヒではこのトラムが交通の足のようです。意外だったのはスイス在住らしき日本人をわりと見かけたこと、それからイスラム圏の人が多いこと。カフェのはしごはならず、気がつくと「スタバ」でお茶をしている私たちが若干残念でしたが、どこのレストランでも思ったのが「スイスはコーヒーがとても美味しい」ということ。コーヒー好きの私たち夫婦には、たまらない味の連続でした。

広々と気持ちの良い場所が多いヨーロッパのレンタル施設
広々と気持ちの良い場所が多いヨーロッパのレンタル施設
 翌日は、私たちのクム・フラ、プナ・カラマ・ドーソンの親しいクム・フラ、ケアラ・チン(ビックアイランド)のフラのプログラムに参加。彼がスイスに教室を開いてから10周年記念のホイケだそうです。普段はカウアイかハワイ島で顔を合わすメンバーにヨーロッパで会い、「元気〜? いやいやヨーロッパは遠いね」なんて声をかけ合いました。住んでいる島が違うので頻繁に合う機会はないものの、ヨーロッパで合うと「ああ、懐かしい。ハワイの風だ〜」と旅先で気持ちがユルっとする瞬間でした。このプログラムにはヨーロッパのフラシスター(同じクム・フラのもとでフラを習っている仲間)と参加。こちらも遠く離れていて、一緒に同じプログラムに参加する機会がないので、同じハラウにいる者同士、時間を共にできてとても嬉しい時間になりました。

 一週間ほどのスイス滞在でしたが、その間に3カ所ほど場所を変えてワークショップに参加しました。日本ではフラがとても盛んで、ハワイからたくさんのクム・フラが日本を訪れているのはご存知の方も多いことだと思います。でも意外なことに、日本とヨーロッパ両地を訪れているクム・フラが多いということを私は最近になって知りました。ヨーロッパ(とくにドイツだと思います)では、ロミ(ハワイの伝統マッサージ、ロミロミの名前で知られていることが多いよう)を習っている人が多く、その延長線上でフラにも触れてみたいと思う人が多いとは、ドイツ人のフラシスターから聞いたコメントです。フラの踊りの技術向上を目指す人が比較的多い日本と比べると、ヨーロッパの人がフラに触れたいと思う目的は少し違うようで、その精神性を学びたいというところに重点が置かれているように感じます。とくに都心部では忙しい暮らしの中でストレスを抱えている人が多く、ハワイのローカルの人が持つ良い意味での「ユルさ」。そういうものに触れることで、自分の暮らしの中で物事を見る視点を変えるヒントを探している人が多いように感じます。もちろん日本でもそういう人は多いと思うのですが、やはり国が変わるとシェアされていくものも、その受け取り方もこんなに違ってくるのだなということをよく感じます。

フラのプログラムにてヨーロッパのフラシスターたちと
フラのプログラムにてヨーロッパのフラシスターたちと
 またヨーロッパに行っていつも思うのは、ワークショップなどを行う場所に恵まれていること。気持ちの良い施設が低価格で提供されています。そして意外にも四角四面なお国柄かと思えば(誤解を招くかもしれない表現でごめんなさい)、そういう施設を借りるにあたって使用などの時間にユルいこと。窓がいっぱいあって、窓外には気持ちの良い緑や花々が一面に見える(夏に限りますが)…そういう場所が多いのはうらやましいことだなと思います。

 スイスから日本に入って一週間後、羽田空港で今度は九州に向かうために私たちが発ったあともスイスにいたクム・フラ夫妻と合流しました。「一週間ぶり〜」とあいさつをしてすぐに、「これ、ドイツのフラシスのダニエラからあなたに」と封筒を渡されました。「は〜い」とバッグにしまおうとすると、「すぐに中身を見なさい」とクム。何気に封筒を開けると、お金が入っていました。

 今回スイスに行く途中、ニューヨークからローマに行く機内でどういう方法か、どのタイミングかは不明なのですが、日本の滞在に充てようと持っていた少しまとまったお金をパスポートケースごと紛失してしまいました。パスポートケースは戻ってきたものの、中に入れていたお金は見事になくなっていて、チューリッヒ空港で瞬間(深く)がっくりしたものです。それを伝え聞いたフラシスの彼女が日本の滞在で困らないようにと「ミノリへのギフトです」とクムに預けたのだそうです。封筒にはメモのひとつも入っていなくてたくさんのお札だけが入っていました。彼女からの温かさがその封筒から溢れて出てくるようで、空港の真ん中でしたが、ポロポロと涙がとまらなくなって困りました。どうしてこんなことが出来ちゃうのだろうという驚きの気持ちと、「ヨーロッパにまた来てくれてありがとう」と何度も言ってくれていたダニエラの笑顔とが入り交じって言葉も出ませんでした。お金を失くしたことは残念だったけれど、こういうプライスレスな贈り物を彼女を始め、何人かのフラシスからいただいたことが今回の大きな旅の思い出のひとつです。

 あらためて私たち夫婦は恵まれているなと思った、温かい人々の支えを感じた旅になりました。昔「ペイ・フォワード」という映画がありましたよね、”自分の受けた恩恵を違う3人の人に渡す”という、あの映画です。その映画を思い出しました。いつもたくさんの温かいものを受けている、たくさんの人に支えられている私たちの暮らしに改めて感謝をしました。そして自分たちが受けている恩恵を、”また他の誰かに渡す”ということを自分なりの方法で実践していける自分でありたいなと深く思いました。

 フラのある暮らしを通して、また仕事などを通して学んでいること、気づかせてもらっていることはたくさんあります。それは言葉にすると「何気ないアロハ」だと思います。ポンっと飴玉ひとつをくれるような調子で、丁寧で温かな思いをもらうことが度々あります。それは大きく派手なおリボンをつけていただく「THE 贈り物」よりも深く気持ちに響き、残るものだなと心から思うのです。私自身もそういう風にありたいなと心から思うのです。今回もこの先もずっとずっと忘れないであろう、価値のつけられない温かなものをフラシスターたちからいただいた嬉しい時間でした。
 

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