ワイキキ史跡めぐり
クレム・ラングンディマオ
（アストン・ココナッツ・プラザ・ホテル総支配人）

カパフル通りと カラカウア通りに建つ サーフボード型の碑

■伝統文化の継承

　私は、ハワイと言うとても美しい島に住める事をとても感謝しています。また、ハワイアンの血も混じっている以上、ハワイに対して責任を感じ、ハワイに住む人々やハワイの文化遺産を大切することが我々の使命であると感じています。私は学生時代、ハワイの権威ある歴史学者、ドクター・ジョージ・カナヘレ先生から、ハワイの文化とアロハスピリットを保存してゆくことがいかに大切であるか学びました。ドクター・カナヘレの影響で、私はホテルにご宿泊されるお客様達と、ハワイの歴史や文化についてお話しすることが好きです。皆さんは、私がお話しするハワイの文化、言葉やワイキキの歴史について目を輝かせて聞き入ってくれています。また、従業員にもハワイの歴史や文化について時折話をしています。こうすることにより、彼らの子供や家族へハワイの文化が伝承され、さらには、お客様にも伝わって行くと思うのです。このように、情報を共有し合うことで、私流にハワイの伝統文化が継承されて行けばと願って止みません。

■ワイキキ歴史街道プロジェクト

　残念ながら、ドクター・カナヘレは数年前に他界し、彼の仕事は非営利団体のNaHHA（Native Hawaiian Hospitality Association・ハワイ先住民ホスピタリティー協会 http://www.nahha.com )が引き継いでいます。NaHHAの数多くあるプロジェクトの中の一つで、ドウター・カナヘレの夢のプロジェクトであった、「ワイキキ歴史街道」が遂に完成しました。これは無料の歴史探訪ツアーで、ワイキキ地区の旧跡にサーフボードの形をした、その場所の歴史的な背景を説明した標識が建てられており、それらの旧跡をハワイ人ガイドとともに歩いて廻るツアーです。とても興味深い歴史や民話も紹介されていて、ハワイ王朝時代を感じさせるツアーです。

■王族のスポーツであったサーフィン

伝説のサーファー デューク・カハナモク

　今回は、「ワイキキ歴史街道」のひとつで、ワイキキ東部のカパフル通りとカラカウア通りに建つ碑の由来をご紹介しましょう。ここはかつて、コオラウ山脈から海まで小川が流れこんでいた場所です。ハワイ王朝の時代からワイキキはサーフィンがとても盛んな場所でした。そのため、何百年も前から王族たちは、住居や本拠をワイキキに構えるようになったといいます。サーフィンは『王族のスポーツ』とも言われた時代もありましたが、古代ハワイでは、老若男女、全ての人々が階級の隔たりなくサーフィンを楽しみました。しかし、日中仕事をする必要ない王族たちはサーフィンの練習にかける時間も多く、当然、みな最高のサーファーとなりました。

　ダイヤモンドヘッドの中腹には、サーフィン（he’e nalu）を祭るための神殿（heiau)があったそうです。そして神殿の聖職者はサーフィンに適した波がきているのかどうか、村の人々に伝えるために凧を飛ばしたそうです。また、サーファー達は、特別な名前を持っていました。中でも、ワイキキで最も有名な名前は、『Kalehuawehe（レアフをはずして）』だったそうです。伝説のヒーローがレフア花のレイを、一緒にサーフィンをしていた酋長の奥様に差し出したため、そのように呼ばれたそうです。いつの時代も、ロマンスとサーフィンは切っても切れない関係ですね。

■伝説のサーファー、デューク・カハナモク

　さて、夏のワイキキの波は、世界的にも大変良い波だそうです。波の高さはおよそ６０cmから２ｍ、長さは９０ｍにも及ぶそうです。最も長く波に乗った記録は、１９１７年に伝説のサーファー、デューク・カハナモクが１０ｍの高さの波を、２ｋｍにもわたって乗りつづけたと言う記録があります。