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神「ロノ」「クー」が宿る神殿
モオキニ・ヘイアウ Mookini Heiau
ラニ・クリエイツ
Lani Creates, All right reserved.
モオキニ・ヘイアウ入り口の看板

 ハワイ島の北端にモオキニ・ヘイアウがある!と言う情報だけを元に現地を訪れた、行き着くのに大変苦労した場所です。とりあえず、北端にあるハヴィHawiの町まで行き、ガソリンスタンドで「モオキニ・ヘイアウは何処ですか?」と聞いてみたところ、怪訝そうな表情で「あんな場所になぜ行くの?あそこは訪れる場所ではない」と教えてもらえませんでした。

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ヘイアウ外部にある遺跡

 しかたがないので、レストランに昼食を食べに入り、そこの若いウェイトレスさんに注文をしたついでに、「モオキニ・ヘイアウを知ってますか?」と訊ねました。すると、彼女は笑顔で、「知ってますよ。お客さん達、車で来たんでしょ。」と答えながら店の外に出て行き、その日のお天気をチェックして帰ってきました。彼女は「あそこまでの道はひどいダート道で、雨が降った翌日は特に車で行く事は大変な所ですよ。今日は雨も降りそうも無いので、大丈夫だと思います。アスファルトの国道から歩くには、かなり遠いし、本当に大変な場所だけど、行きかたは簡単だから、教えましょう。」ととっても親切に教えてくれました。忠告されていた通り、そこへの道は車が1台やっと走れる道幅でめちゃめちゃ凸凹道。スピードを出して走ったら、海に車ごとダイビングしちゃう様な道をそっ〜と走り、少し開けた場所で車を止め、「モオキニ・ヘイアウ」と書かれた道しるべのような木で作られた小さな看板を発見しました。

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ヘイアウの全景

 モオキニ・ヘイアウのあるハワイ島の北端は古代から聖地とされてたそうです。ここは、一説によれば5世紀頃に戦闘と農業の神「ロノ」を祀る神殿として建設され、カメハメハの先祖達は雨や豊作などを祈願していたそうです。その後、サモアから移住してきたと言われるカフナ(高僧)パアオによって、戦いの神「クー」を祀るヘイアウとして再建されたそうです。モオキニ、という名前はパアオよりも先にハワイ島に到着したカフナ、カウモオ・モオキニから取ったものだそうです。もともとハワイには人身御供の習慣は無かったようですが、パアオ以来、厳しい戒律(カプ)が制定されると共に、人身御供も始まったそうです。ヘイアウの海側には、人身供犠に使われた石が残されていました。上の部分を削られた大きな火山岩はホレホレ岩と呼ばれ、ここに焼いた人体を寝かせ、骨から肉を剥ぎ取り、その貴重な骨で、漁の針、矢じりなどの道具を作ったそうです。

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ヘイアウの内部

 また遺跡の中には、生け贄用の人々を捕らえるための専門家、「ムーの館」跡があります。彼が近づくと、人々は皆、彼を怖れ、隠れたといわれています。今でもハワイアンの人々は子供が悪いことをすると、「そんなことをしていると、ムーが捕まえに来るぞ」と叱るそうです。カフナ、パアオの厳しい掟により、数え切れない古代ハワイ人が、このヘイアウの犠牲になったそうです。パアオは、祭壇の下に何人もの生け贄を埋めることで、この新しいヘイアウに威厳を持たせたと言われています。

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ヘイアウの石碑

 ここは珍しく、ヘイアウ内部が見学できる様になっていて中に入ってみると、当時の人々が、少しの過ちでも死に繋がることに怯え、何時間も動かずに、地面に伏せる様子が思い浮かんでくる様でした。強風が吹きぬけるコハラ北部の広大な原野にあるモオキニ・ヘイアウ。とても見晴らしが良く、ここからの眺めは、地平線が丸いってことも目の当たりにできます。ちょうど訪ねた日は晴天だったのですが、なぜか淋しく、静かに重いパワーが漂う場所でした。現在でも、建設の時以来なんと1000年近くもの間、モオキニ一族がこのヘイアウを守っているそうです。

 またヘイアウの近くには、「パアオのカヌー」「櫂」「釣針」と名づけられている岩がありますが、パアオが耕作した土地「パアオの草」は今でも厳重な立入り禁止のカプが生きており、手つかずの状態で放置されていて、
雑草がうっそうと茂り、遠くから観察できるのが、やっとです。


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