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雲が垂れ込めたイアオ・ニードル |
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西マウイのプウ・ククイ山脈(標高1,765m)の断崖に囲まれたイアオ渓谷州立公園。作家マーク・トゥエインに「太平洋のヨセミテ」と言わしめた渓谷美を持っています。
イアオ・ニードル(イアオとは、ハワイ語で光の神の名)と呼ばれる険峻なこの渓谷を、その昔、人々は神聖な場所と考え、王や酋長など高貴な身分の者が死ぬと、誰にも見つからないよう、その遺体を山の上に隠したといわれています。王様のように身分の高い人たちの天国は、雲の上にあったと信じられ、天国からのお迎えに近い場所、との理由だそうです。また、彼らの骨はパワフルな「マナ」に満ち溢れていると考えられ、その力を悪用されないように、また魂が安らかに眠るように、というハワイアン古来の信仰により行われていたようです。
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渓流 |
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この険峻な渓谷の山は、「密かに」なきがらを運び込むのに最適な場所であったのかもしれません。後年、カラカウア王(1836〜’91年)は祖先達の墓を探したましたが全く見つける事ができなかったそうです。
また、ここはハワイ王朝の歴史上、大きな事件が起きた戦場でもありました。1790年ハワイ島の王であったカメハメハ大王はカフルイ湾からマウイに上陸し、東側を侵略。この時、マウイ軍の王カヘキリはオアフ島に滞在していたため、
息子のカラニクプレが代わって戦いの指揮をとりました。
カメハメハは、2人の英国人顧問と近代兵器を携えて戦いに望み、マウイ軍を鉄砲の届く範囲まで呼び寄せ、高台から、次々と鉄砲で打ち落としたそうです。
結果、カメハメハ軍の大勝利でしたが、双方に多数の死傷者が出たそうです。そのため、イアオ渓谷の川は血で真っ赤に染まり、死体で川の流れがせき止められた、と言われています。
そんな事件があったせいか、イアオ渓谷には、いつも雲が立ち込め、 何となく悲しく不思議な気が漂っています。
イアオ・ニードルは、古来からパワー・スポットとして祭られ、 たとえ王様でも上ることが出来なかったそうです。
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今は、綺麗な水が流れる川 |
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常に頂を雲間に隠したイアオ渓谷の山々は、悲しい歴史がある神聖な場所。 私達が決して足を踏み入れる事ができない神秘の渓谷には、今も古代の御霊が飛びかっているそうです。ちなみに、イアオ(Iao)というのは、航海の指針にもよく使われた「木星」のこと。また、ハレアカラの「太陽が住む家」に対比させて、「月の住む家」とも言われています。
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運良く難を逃れた、まだ熟して無いグァバの実 |
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私たちが撮影をしていると、白人のカップルがグァバの樹から、熟して黄色くなった実をもぎり、楽しそうにかじっていました。その光景を見たアジア系のおば様ニ人組が、手当たり次第にまだ未熟な緑の実をもぎり、ポケットとバックがはちきれんばかりに、入るだけのグァバを持ち去りました。私も以前、地元の方に教えられ、民家の軒先で熟して樹から落ちた実を拾って食べたことがありますが、ほろずっぱい味を覚えています。樹になっている状態では、たとえ黄色くなっていても、すっぱすぎて食べれないそうです。でも、熟しててもほろずっぱいグァバ。。。きっと口にはできなかったことと思います。
国立公園や州立公園内では、たとえ落ちているものでも拾得することはできないそうです。植物も一生懸命に生きています。くれぐれも、まだ未熟な実をむやみやたらにもぎったりしないでくださいね。
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