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カルデラ内いたる所で上がる蒸気 |
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Big Island、ハワイ島の南に位置するハワイ火山国立公園。ここに、今でも噴火活動し続ける活火山、標高1,243mのキラウエア火山があります。
この火山にある長径約4.5キロもの巨大なキラウエア・カルデラには、 いくつもの噴火口が点在し、今でももくもくと白い水蒸気や硫黄などの火山ガスを吹き上げています。このカルデラの南西の端にあるのが、直径約1キロメートルのハレマウマウ・クレーターで、ここにレイと歌、そしてフラとジンが好きな火の女神「ペレ」が住んでいると言われ、現在もこのハレマウマウには、火の女神ペレに捧げられたジンやレイなどが絶える事はありません。
もともと、ペレへの捧げ物は溶岩地帯に根づくクランベリーの仲間であるオヘロの実だったそうです。このオヘロの実を採りに行くと霧や雨で道を見失うという言い伝えがあり、採取はカプ(タブー)だったそうです。しかし、ペレに祈りを捧げた後であれば採取を許されたそうです。最近は「ペレの好物はジンである」という噂が広まり、ジンがボトルごと捧げられる事も多いようです。しかし、ペレの時代にジンがあったとは思えませんよね。
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ペレへ捧げられたジン |
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カルデラのあちらこちらから吹き上がる水蒸気や火山ガスからは、ここに住んでいるといわれるペレの息吹を感じる事ができます。このアロハカワラ版「パワー・オブ・ハワイ」の中でも、もうお馴染みのペレですが、伝承では、ペレは兄弟達と一緒にタヒチかあるいはその他のどこか南の島からハワイに渡ってきたと言われています。最初に着いた島はニイハウ島だったそうで、その後カウアイ、オアフ、マウイとハワイ諸島を南下します。ニイハウ島はペレが住むにはあまりにも水の多い島だったようで気に入らず、次に隣のカウアイ島に移りますが、ここでもどこを掘っても水が沸き出てきました。そしてオアフ、カウアイとあっちこっちの島をめぐって、やっと住み着く事ができたのがこのハワイ島のキラウエアだったそうです。
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サウス・ウエスト・リフト |
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また、ペレは大変嫉妬深いことでも有名で、ハワイ諸島にはペレの性格に関連した伝説がいくつも残されています。同じハワイ島のマウナ・ケアに住むといわれる、雪の女神ポリアフとの戦いも有名なお話しですね。また、ペレはしばしば人間に化けて現れるそうです。あるときは美女、またあるときは老女の姿となって人々の前に現れ人間を試し、自分の機嫌を損ねるようなことがあればたちどころに焼けた熔岩で攻撃してくるという、ちょっと恐ろしい女神です。いつ噴火するかわからない火山災害の恐ろしさや、この土地に住む人々の自戒の念が、このような女神ペレへのさまざまな伝説を生み出したのかもしれません。
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レンズに入りきらないカルデラと、遠くに見えるハレマウマウ・クレーター |
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このハワイ火山国立公園内では、さまざまな生きた火山の活動を見ることができ、そのパワフルな火山のエネルギーを目の当たりに感じる事ができます。キラウエア・カルデラの周りは、車で通れる周遊道路が整備されていますが、是非、車外に出て歩いてみてください。靴を履いていても地面から伝わってくる熱を通じ、今なお活動を続ける火山を体感することが出来ます。
なお、現在もペレのものである火山の石を持ち帰ったり、火口に石などを投げ込む事はカプとされています。迷信かと思われるかもしれませんが、実際、キラウエアの溶岩を持ち帰ってから不幸に見舞われた話なども良く耳にします。そのため、世界中からハワイ火山国立公園宛にキラウエアで拾った溶岩を元に戻してくれと送られてくる溶岩も多いそうです。みなさまも火の女神ペレの怒りに触れぬようお気を付け下さい。
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