カワラ版読者の皆様、お元気ですか? 日本は梅雨の時期ですね。じめじめと湿気の多い毎日をお過ごしではないでしょうか? ハワイは安定した夏のお天気に恵まれています。さて、今日はハワイアンキルトのベッドカバーについてお話ししましょう。
"Bread
Fruits"
designed by Elizabeth Akana |
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ベッドカバーはハワイアンキルトの代表的な作品です。ただし、ベッドカバーを作るには長い月日がかかります。行程もクッションや小物を作るように簡単ではなく、準備も大変です。通常、生地の幅は90cmとか110cmなどです。少なくともベッドカバーの幅は150cmくらいなので、事前に生地を縫い合わせておかないといけません。大きいからと言っても行程はクッションやウォールハンギングと変わらないので、大きな正方形や長方形の生地が必要になるのです。
逢坂瑞代さん作、アンセリウムのベッドカバー、キルトハワイ2003の会場に展示されました。
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アメリカはツインベッド(シングル)よりも、フルサイズのベッド(ダブルベッド)やそれより大きなクィーン、キングサイズなどがよく使われているので、この大きなベッドカバーを作るのが、キルターの夢の一つでもあるわけです。
大きなキングサイズベッドでは幅が250cmくらいになるので、生地を3枚縫い合わせないと間に合いません。縦の長さはやはり250cmくらいになるので、かなりの大きさの生地が必要になります。大きな部屋で広げ、アップリケの前段階のしつけをかけるだけでも、数日かかります。
生地を縫い合わせ、大きな正方形や長方形を作るにはミシンを使います。つなぎ目をしっかりと縫うことができるからです。キルティングが完成した後、まわりのパイピングも片面はミシンで縫いますが、もう片面はまつり縫いをします。ミシンはこの2回のみ使用するだけで、あとはすべて手作業です。気の遠くなるような作業だと思いませんか? 完成には1年、2年は楽にかかってしまうのです。
そこを敢えて挑戦するのが、キルターとしての使命かもしれませんね。
ミッションハウスミュージアムではキルト展が開催される。これは2003年のキルト展で。 |
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ハワイアンキルトが存在するようになってから、まだ1世紀と少しですが、今までに作られた数々のベッドカバーはミッションハウスミュージアム、ホノルル美術館を始め、いろいろなハワイアンキルト展で見ることができます。アンティークのベッドカバーはたくさん残っていますが、それは貴重な物になっています。昔はキルターが亡くなると、そのキルターのマナ(魂)がたくさん込められたキルトは、焼かれてしまったのです。考えてみれば、何年もの間、キルターにより、一針一針キルティングされたキルトですから、たくさんの気持ちは込められていますよね。ただし、キルターの生前、遺書のように、「この作品は誰々へ」と約束事があれば、キルトは焼かれないで済んだようです。ですから、今でも素敵なキルトを見ることができるわけですね。
ベッドカバーは大きなキャンパスのようなものなので、たくさんのモチーフを入れられ、デザイン作りはとても楽しい作業です。写真のデザインは「マノアの森」と名付けました。マノアの滝に行く途中に見た植物をモチーフに使ってみました。もっとたくさん入れたかったですが、カッティングやアップリケが難しくなってしまいそうだったので、このくらいで我慢しました。(笑)
カプー(タブー)とされている動物も今ではたくさん、キルトのデザインとして使われています。娘のベッドカバーには、シーライフパークで見たドルフィンがたくさん泳いでいます。
私のお友達がみんなで集まってしつけ大会をしたホヌのベッドカバー |
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ベッドカバーを完成させるこつは、好きな色を選び、好きなデザインを楽しむことだと思います。作るのに数年おつき合いする作品です。自分が大好きであることが完成させる大きな要因の一つだと思います。あとはキルト仲間と集まり、しつけをみんなに手伝ってもらうことです。そうすると数日かかる作業も数時間で終わります。そして仲間とそのキルトについて、他の作品について、また久しぶりに会っておしゃべりするという、一つの理由になりませんか? 刺激を与え合い、良い意味で競争するというのはキルトが早く完成するパワーの一つになるのです。夏はベッドカバーを作るには暑く、あまりオススメする時期ではないかもしれませんが、少しづつ、自分のペースでがんばって下さい。
アン
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