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第70回「フラッグ・キルト」

アン
リリウオカラニ女王が作ったフラッグ・キルト

 皆様、アローハ!お元気ですか?
 今年はもうお盆も終わってしまいましたね。エルニーニョの関係で、今年は日本もハワイも台風が多い夏になっているような気がします。ホノルルの町並みは、シャワーツリーの花も散り、青々とした葉が凛々しいくらいです。今年は変な気候のおかげで、マンゴーの実は4月から10月までの長い間、食べられると言うことで、良いこともあると言うわけですね。

 さて、今日はハワイアン・キルトの歴史上、とても大切な「フラッグ・キルト」のことをお話しましょう。

 私が愛してやまないキルトはハワイアン・キルト。これとはまた別にハワイにはとても伝統的なフラッグ・キルトというものが存在します。名前の通り、ハワイの州旗がデザインされ、その中には王族のシンボルであった王冠や、カヒリなどのデザインを巧みに入れ、ハワイ王国だった時代の愛国心を表したものがフラッグ・キルトと呼ばれています。作られた時期は確かではありませんが、ハワイ王国が白人(欧米人)により、廃止に追い込まれた1893年以前にも作られていたとは言われていますが、その後1898年に併合された政治的に混乱している時期に、ハワイ王国の事を想いたくさんのフラッグ・キルトが作られたと言われています。フラッグ・キルトは「Ku‘u Hae Aloha」=「My Beloved Flag」=「我が愛しの旗」と言われています。

フラッグ・キルト(ハワイ島、作者不明)1883年のカラカウア王戴冠式の紋章をもとにデザインされている。参考文献:Hawaiian Quilts  Traditional and Transition
ジョセフ・プラト・クック5世と結婚したマウド・マンスフィールド・バウドウィンへの贈り物として家族が作ったフラッグ・キルト。カラカウア王の紋章のデザインとカメハメハ大王の王位の勲章が入っている。参考文献:Hawaiian Quilts  Traditional and Transition
 フラッグ・キルトの真ん中は王冠や盾などがデザインされているものが多いですが、周りにはハワイ8島を示す白、赤、紺のストライプが8本入っています。また、ハワイ州の旗にはユニオン・ジャックが入っていますが、これはアメリカの50州目になる以前の話、イギリスの保護国だったときのことにさかのぼります。イギリスと関係の深かったハワイはユニオン・ジャックを旗に入れることで、イギリスとの強い結びつきを示したというわけです。ハワイの愛国心を象徴するキルトということになりますよね。王様により王冠も違いますし、いろいろなバージョンがあるということになります。また、王冠だけではなく、盾の中には王族の象徴も取り入れられているものも多く存在します。
リリウオカラニ女王が作ったフラッグ・キルト. このキルトはプレゼントされたフォード家の子孫より、先ほどビショップ博物館に寄付された。

 今年の4月くらいまで、ビショップ博物館にて、1枚の貴重なキルトが展示されていました。それはリリウオカラニ女王が自ら作られたという素晴らしいフラッグ・キルトでした。しかもガラスのショーケースに入っていたわけではなく、そのまま展示されていたのです。私のようなキルターにとって、これはまさに奇跡の逸品。ハワイ王国最後の女王となったリリウオカラニ女王が、マウイ島のお友達 Mr. & Mrs. Fordのウェディングギフトとして作られたものだと言われています。プレゼントされたときには、王家のシンボルであるサテンの黄色いリボンをかけ、リリウオカラニ女王のサインが入っていたと言われています。かなり古いアンティークのコットンキルトなので、傷んでいる部分はありますが、素晴らしいキルトでした。私の生涯で、こんな素晴らしいキルトに出会えることはもうないと思いますが、貴重な体験となりました。また、このキルトにはメッセージのようなものが入っています。ハワイ国旗の部分ですが、旗が逆向きになっているのです(鏡に映したように)。これはリリウオカラニ女王が王国は滅びようと、ハワイ王国に対する愛国心を誓うというようなメッセージを込めているとか。キルト1つにも、このような深い意味合いがあるというものなのですね。本物のキルトを見ると言うことは、まさに素晴らしい経験というわけです。

ユニオンジャックがくっきり入ったハワイ州旗

 王家を偲ぶイオラニ宮殿ツアーもとても勉強になります。イオラニ宮殿はアメリカ唯一の王国であったシンボルの宮殿としても名高いものです。ホワイトハウスより以前に、電気が通っていたと言われ、ハワイ王国がどれだけパワーがあったかを物語っています。残念ながら、イオラニ宮殿にはフラッグ・キルトは展示されていませんが、リリウオカラニ女王が幽閉されていた時に作ったと言われている、「Queen’s Quilt」がガラスケースに入れられ、展示されています。外界との関わりを絶たれてしまった女王が自ら作ったクレイジー・キルト。イギリスから作り方が伝えられたと言うクレイジー・キルトの作成は、女王の心のよりどころだったのでしょう。クレイジー・キルトもフラッグ・キルトと同様、ハワイの重要な歴史参考キルトになっています。フラッグ・キルトの中にもクレイジー・キルトの技法が使われているものもあり、歴史的にもこの2つのキルトがとても重要だったことを物語っています。

フラッグ・キルトとクレイジー・キルトが融合した素晴らしいアンティーク・キルト。作者は不明。ピーシングという技法でアップリケされた模様には、「チキンフット」と呼ばれる刺繍が施されている。参考文献:Hawaiian Quilts  Traditional and Transition

 皆さんも次回のハワイ旅行ではこのような歴史の背景を想像しながら、キルトの鑑賞をしてみて下さい。また違ったハワイを感じることができるでしょう。

By アン


ハワイ、花とキルトの散歩道【アロハWEBカワラ版-アロハ・ブックシェルフ】
アンさんのハワイアンキルトの本をご紹介しています。
-> 「ハワイ、花とキルトの散歩道」2008年9月12日発行
-> 「のんびり、チクチク ハワイアンキルト Anne's Hawaiian Quilt」

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