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第71回「8年目で寄贈、9.11追悼、千羽鶴フレンドシップキルト」

アン
延べ500人に協力していただき、完成した千羽鶴フレンドシップキルト

 皆様、アローハ!お元気ですか?

 今年も9月11日がやってきました。8年前アメリカで起きた、同時多発テロの記念日です。私は当時フライト・アテンダントをしていました。また、ちょうどテロの1週間前の9月4日の夜、ワールド・トレードセンターの最上階、展望階を見学していたのです。今でもその時の状況は忘れることができず、私の心には傷跡が残っています。その後ハワイに戻っていたので、ニュースはハワイで聞きました。何も手に付かず、何をしていいかとまどった私は、友人と話し合い、ハワイアンキルターの私たちで何かできることを考えました。日本の文化である千羽鶴。そして私が長年続けているハワイアンキルトをコラボレーションし、千羽鶴キルトを作ってみることにしました。日本中からアメリカ本土まで、私のサイトにより呼びかけをし、20cm角の白い生地に三羽の折り鶴をデザインしたものをサイト上でアップしました。そしてデザインを皆さんにはダウンロードしていただき、プリントして、全く同じピースを作っていただく協力を募りました。ただし、三羽の折り鶴のアップリケの生地は、おのおの好きな物を使っていただくことにしました。そして324ピース。全部で972羽の鶴が集まり、ボーダーにあと28羽の鶴を繋げ合わせ、4メートル角の巨大な千羽鶴フレンドシップキルトが完成しました。協力してくださったたくさんの方々の気持ちがたくさんこもったキルト。ニューヨークのワールド・トレードセンター跡地にナショナル・セプテンバー・イレブン・メモリアル&ミュージアムが完成すると聞き、今月の9月11日に間に合うように、ハワイから持って行きました。その様子を今日はご紹介また、この場をお借りしてご報告させていただきたいと思います。(キルトパラダイス4月にもご紹介させていただいています)

フジテレビお台場ドットコムにて展示された様子。
キルトハワイ2003年で、大勢の方々のご協力を得た会場

 今年3月に、ホノルルフェスティバルでも展示していただきました千羽鶴フレンドシップキルトですが、数年をかけて完成しています。まずは皆さんから送られて来たものを1枚1枚縫い繋げ、その状態を2002年のフジテレビ、お台場ドットコムにて展示させていただきました。その後、キルト芯(綿)と裏地を縫い合わせ、3枚を繋げ、キルティングを始めました。4メートル角の巨大なキルトを数人でキルティングするのは本当に大変。ちょうど2003年7月のキルトハワイがワイキキで開催されたので、その時に会場の外にキルトを置かせていただき、展示を見に来られた方々に、ご協力を募りました。とにかくいろいろな方々が毎日通ってくださって、かなりのキルティングがはかどりました。
その後は元ビショップ・ミュージアム・キルターのさかいフミイさん(私の師)に里子に出し、マカハキルターズのアンティたちとその知り合いの方々とで、数ヶ月後には完成させてくださったのです。

 そして、2004年にはまたまたたくさんの方々のご協力により、ニューヨークに納める前に、日本の方々にお披露目ということになり、お台場の「ホテル・グランパシフィック・メリディアン」(現在のホテル・グランパシフィック・ル・ダイバ)のアトリウム内でこの千羽鶴フレンドシップキルトを3日間展示させていただきました。その際には、息子さんをこの事件で亡くされた住山陽一さんのご両親が3日間見に来てくださいました。ご両親には辛い出来事ですが、毎日息子さんに会いに来ているようだというお言葉をいただき、その場のお客様と目を熱くしました。私たち一人では何もできないですが、これだけ多くの方々の気持ちを1枚の大きなキルトに表現できるということを痛感いたしました。残された者はこのことを忘れず、心に置き、そして前進していかないといけないということも教えていただきました。住山陽一さんの名前を入れてアップリケを完成させてくださった速水さん、ありがとうございました。

ホテル・グランパシフィック・ル・ダイバでの展示の様子
2009年3月にホノルルフェスティバルでも展示していただいた千羽鶴フレンドシップキルト

 そしてそれからニューヨークで、公式メモリアルが完成するのを待っていました。2005年からメモリアルのことは聞いていましたが、きちんとしたオフィスができ、しかるべき人たちに手渡すことが私の使命でしたので、今年まで待たせていただきました。2006年にニューヨークに行った時は、グランドゼロはまだまだ、何もない状態でした。そして今年2009年にメモリアルや他のビルの着工が正式になったということ聞き、もう一度ハワイの皆様にもお披露目させていただきたいということで、3月のホノルルフェスティバルでも展示をしていただきました。ニューヨークの市長や、ホノルルフェスティバルで出会った方々にもお話を持って行っていたのですが、ようやく、ナショナル・セプテンバー・イレブン・メモリアル&ミュージアムの係の方より連絡が入り、無事にお会いしてキルトを届けることができる運びとなりました。かなり時間がかかりましたが、諦めることはできませんでした。

 2009年9月8日にグランドゼロのすぐ前にある、リバティープラザ20階のナショナル・セプテンバー・イレブン・メモリアル&ミュージアムのオフィスに行き、館長のJan Ramirezさんを始め、教育ディレクターのSonnet Takahisaさん、歴史学者のJenny PachuckiさんとAmy Weinsteinさんにお会いすることができました。皆さん、きちんとこの千羽鶴キルトの始まりから聞いて下さり、痛く感動して下さいました。この方たちの仕事は、この悲劇を忘れないよう、この事件から学ぶこと、事実を世の中に伝えていくということだとおっしゃっていました。アメリカからもたくさんのフレンドシップキルトが贈られているそうですが、この日本とハワイとアメリカのコラボレーションである千羽鶴キルトは珍しく、世界の人たちが一つに結集した素晴らしいキルトだとおっしゃって下さいました。鶴1枚1枚を丁寧に見ていただき、皆さんの気持ちをメモリアルの方々にきちんと届けられたと思っています。この地で犠牲になった方々にもどうにか皆さんの気持ちが届いていることを願います。2012年オープン予定のこのメモリアルにはどのような形で展示していただけるかは、まだ確定ではありませんが、期間限定や何かの形では多くの方々に見ていただけるよう、考慮してくださるようです。そしてもしも展示されてなくても、前もって段取りを付けておくと、必ず見せてくださるそうなので、ニューヨークへ行かれる際には、是非足を運ばれてください。

メモリアルの館長や学芸員の方々に話を伝えている様子

 3年前、グランドゼロはどこからでも見ることができましたが、今は工事が始まっているので、フェンスが張られて、中を見ることはできなくなっていました。伺ったオフィスは20階でしたので、そこから今のグランドゼロの様子を見ることができました。工事の進み具合に、とてもびっくりしました。街は生きています。力強いニューヨーカーの方々の手により、ここまで進展したのだと実感しました。たくさんの方々の犠牲を無にしないように、このまま平和な世の中が続くことを願ってやみません。

グランドゼロの現在の様子を20階のオフィスから。

byアン

National September 11 Memorial & Museum
(英語のみ)  

キルトパラダイス:第66回「2009年ホノルルフェスティバル」


ハワイ、花とキルトの散歩道【アロハWEBカワラ版-アロハ・ブックシェルフ】
アンさんのハワイアンキルトの本をご紹介しています。
-> 「ハワイ、花とキルトの散歩道」2008年9月12日発行
-> 「のんびり、チクチク ハワイアンキルト Anne's Hawaiian Quilt」

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