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第73回「ミッション・ハウス・ミュージアムでフラッグキルト展」

アン
ミッション・ハウス・ミュージアムでフラッグキルト展

 皆様、アローハ!お元気ですか?
 今年もあと2ヶ月弱となりましたね。アメリカはサンクスギビングが今月末に、そして来月はクリスマスになります。1年の楽しみが凝縮されている時期となります。

 さて、10月中旬から来年の1月2日まで、ホノルルのミッション・ハウス・ミュージアムでフラッグ・キルト展を開催しています。1800年代後半から1900年前半にかけてのアンティーク・フラッグ・キルトが見られる貴重な展示になっています。この時期ホノルルにいらっしゃる方は、是非見に行ってくださいね!

 私のキルトパラダイス第70回でご紹介した「フラッグ・キルト」。ハワイアンキルトの始まりに関係のある、1820年代、宣教師の妻達がハワイの女性達に洋裁を伝えました。そして1860年代には現在のハワイアンキルトの原型ができたと言われています。さらに1870年代に「フラッグ・キルト」が作られたと言われています。そのような歴史的背景をもとに、1800年代から1900年代の初めにかけてのフラッグ・キルト、全10枚が、このミッション・ハウス・ミュージアムにて展示されています。どれも歴史的なキルトなので是非本物を見ていただきたいと思います。館内は写真撮影が不可能なので、見たキルトはメモをするか、目の裏に焼き付けておかないといけません。展示物の説明はすべて英語ですが、メモをとっておくと、後からキルト本などで調べることもできますので、おすすめいたします。こちらの写真は絵はがきとして、キルト展を見た人に配っている貴重なものです。1910年にLorrin Andrewsのために、カワイアオ教会の女性達の手により、作られ贈られたものということです。こちらはミッション・ハウス・ミュージアムのコレクションです。

1910年にLorrin Andrewsのために、カワイアオ教会の女性達の手により、作られ贈られたフラッグ・キルト

 私はメモをたくさん取りました。日本の博物館のように、展示物について説明された本があるわけではなく、カタログがあるわけではありません。唯一あるのがこの絵はがき。商売気がないハワイの展示会だとつくづく感じました。ですから自分でカタログのようなものを作るしかありません。ずっと忘れないように自分の見たキルトを記録しておきたいですからね。展示物に書いてあったフラッグ・キルトの特徴をご紹介しましょう。
1. The Puwalu  ハワイアンチーフの旗
2. Puloulou (タブースティック=パイルという棒の先にカパで包んだボールをのせたもの。また、Puloulouは宮殿の門や入り口で保護区域とか避難場所を示すもの)
3. Kahili(カヒリ)
4. Spears (やり)
5. Taro Leaf (タロの葉)
6. Twin Guardians of Kamehameha IV) (カメハメハ大王4世の2人のセキュリティー)

 フラッグ・キルトにもこのような意味があります。この説明を見て、フラッグ・キルトを見ると、もう少し理解できるようになりますね。
1918 年に作られたナニアヒアヒ・フラッグ・キルト
photo courtesy Mission Houses Museum,  解説文献:Hawaiian Quilt  Tradition and Transition

 このキルト展では他に真ん中の王の紋章エンブレムのアップリケにフェザーステッチで廻りを刺繍されたキルトもありました。1895年に作られたものです。黄色地に赤の刺繍が鮮やかでした。また、キルティングではないですが、白地に赤の刺繍のみが施されたものも展示してありました。こちらは1930年に作られたもので、モチーフは旗。そして真ん中のエンブレムの廻りにはバラのモチーフがすべてアウトラインステッチで施されている見事なものでした。説明にはチェーンステッチと書いてありましたが、これはどうみてもアウトラインステッチだと思います。また、1896年に作られ、ニイハウ島のオーナー、ロビンソン・ファミリーが所持していたフラッグ・キルトは歴史を感じさせられました。かなり古く状態が悪いですが、見応えがあります。フラッグ・キルトはハワイアンの愛国心を表した象徴であり、ハワイアンの誇りでもありました。ですから、この年代にはたくさんのフラッグ・キルトが作られたということになります。ハワイ王国復興へのわずかな希望の気持ちも込められたキルトですね。

クウハエアロハ わがいとしの旗
参考文献:Hawaiian Quilt  Tradition and Transition

 フラッグ・キルトの中に施されているキルティングの技法は、エコーイングキルトという輪取っていくキルティングの他に、「kuiki lau」というダイアモンドの形(四角)をいくつもキルティングしていく技法や、「ソーダ・クラッカー」という菱形をいくつもキルティングしていく技法など、珍しいものも見ることができます。ハワイアンキルトにはエコーイングキルトという技法が使われていますので、このダイヤモンドやソーダ・クラッカーという技法は直に見ていただきたいです。

 この展示会ではフラッグ・キルトのアンティークを10枚展示していますが、1970年代頃から、コンテンポラリーにフラッグ・キルトが作られるようになっています。私もリリウオカラニ女王が大好きなので、女王の王冠やカヒリのデザインができるようにこれからもハワイの歴史などをもっと深く勉強して行きたいと思っています。ハワイアンキルトを始めて15年以上になります。そろそろ時期が来ているような気がします。

ソーダクラッカーキルトとチキンフットの刺繍入りのフラッグキルト
参考文献:Hawaiian Quilt  Tradition and Transition

by アン

"Hawaiian Flag Quilts"  A Legacy of Patriotism
Mission Houses Museum
553 South King St.
Honolulu Hawaii 96813
http://www.missionhouses.org

開園時間: 2009年10月15日から2010年1月2日まで
火曜日から土曜日の午前10時から午後4時まで。
料金: 1人$6

ハワイ、花とキルトの散歩道【アロハWEBカワラ版-アロハ・ブックシェルフ】
アンさんのハワイアンキルトの本をご紹介しています。
-> 「ハワイ、花とキルトの散歩道」2008年9月12日発行
-> 「のんびり、チクチク ハワイアンキルト Anne's Hawaiian Quilt」

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