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第109回「ビショプ・ミュージアムのNā Ulu Kaiwiʻula」
アン
 皆様アローハ!

ビショップ・ミュージアム
ビショップ・ミュージアム
 Hauʻoli Makahiki Hou!  2013年が始まりました! 今年もどうぞよろしくお願いします。新しい年は1年の抱負を考えますが、皆様は何にされましたか? 私はハワイについてのより一層の深い知識とハワイアンキルトの完成ですね。私の抱負はここ数年同じです。

 さて、皆様はホノルルのビショップ・ミュージアムには行かれた事がありますか? ハワイ州では最も大きい博物館で、ハワイ王国の歴史、移民の歴史、ポリネシアの歴史など、ハワイに関する歴史的なコレクションを見る事ができます。それに付け加えプラネタリウム、サイエンスセンター、そして特別展示を見る事ができます。今ではハワイ固有の植物を見る事もできるようになっています。私たちのようにハワイアンキルトのデザインを描く者にとっては、とても心強い場所になっています。

 「Nā Ulu Kaiwiʻula」は、1.「Nā Hele - ハワイの森の中で育つ固有種」、2.「Kahakai - ハワイの海岸などで育つ固有種」、3.「Mai Nā Waʻa - ポリネシアから持ち込まれた植物」の3区分から出来ています。

標識 標識
「Nā Ulu Kaiwiʻula」の標識  

 まずは、Nā Heleというハワイの森の中で育つ固有種です。

 「Ohai」(オハイ)は絶滅危惧種に指定されているくらい、貴重な植物になってしまいました。写真にはありませんが、葉柄の根本に複数の朱色の花を付けます。「Ākia」(アーキア)はチューブ状の小さな黄色い花を付けますが、果実は黄色から赤に変化し、毒性があります。

 「Kupukupu」(クプクプ)は溶岩が流れた後に、オヒアやオヘロと共に最初に着床するシダです。フラの装飾などにも使われます。ハワイ語の名前は面白いものが多いですね。また、ハワイ固有種は絶滅危惧種に指定されているものも多いので、このように保護してもらえるとありがたいですね。


絶滅危惧種であるOhai(オハイ) アーキア シダの一種のKupukupu (クプクプ)
絶滅危惧種であるOhai(オハイ) Ākia(アーキア) シダの一種のKupukupu (クプクプ)

 次は Kahakai、ハワイの海岸沿いに育つ植物です。

 「ʻIhi」(イヒ)は重なった葉に特徴があります。レモンイエローのカップ状の花を咲かせます。そして葉は海岸沿いに育つ植物に特徴のある、肉厚の葉になっています。これらの植物は葉の中に水分を蓄えます。

 「Ilima」(イリマ)はオアフ島の花でもありますが、海岸に育つ低木です。山吹色の花はとても小さく、直径が3cmほどです。レイに使われますが、1本のレイを作るには数千枚の花びらを要します。「Pōhinahina」(ポーヒナヒナ)は紫色の花を付け、レイや香料に使われます。そして葉は薬用として使われました。


イヒ Ilima (イリマ) はオアフ島の花 ポーヒナヒナ
ʻIhi (イヒ) Ilima (イリマ) はオアフ島の花 Pōhinahina(ポーヒナヒナ)

マイーア(バナナ)
Maiʻa(マイーア)はバナナ
 そして Mai Nā Waʻaと言われる、ポリネシアから伝わった植物です。

 「Ulu」(ウル)はパンノキとしても知られています。ポリネシアンにより、タヒチからハワイに持ち込まれました。タヒチの人には主食だとされているウルは、1本の木に大きな実をたくさん付けるので、大家族が生きて行く上では必要不可欠な植物でした。ハワイアンキルトでも大きな実を付ける事から、グッドラックの意味もあり、初心者は必ず作るモチーフの一つでもあります。

 「Maiʻa」(マイーア)は所謂バナナで、こちらもタヒチからポリネシアンによりハワイへ持ち込まれました。ハワイでは食用の他に染色、酒、薬用、衣類、袋、綱、家畜飼料などに使われたそうです。またリホリホ王がカプー制度を廃止するまで、ハワイの女性はバナナを食べる事を許されてなかったそうです。不思議ですね。そしてKalo(カロ)はタロイモのことで、こちらはハワイアンの主食である里芋の一種です。昔から蒸して作るのり状のポイを主食とし、栄養価の高いバランスのとれている植物として食べられていました。ハワイアンの兄弟とも伝説で伝えられるほど、ハワイアンにとっては大切な植物となっています。


ハワイアンキルトのデザインでも知られるUlu (ウル) Ilima (イリマ) はオアフ島の花
ハワイアンキルトのデザインでも知られるUlu (ウル) Kalo(カロ)はタロイモのこと(参考写真:こちらの写真はビショップ・ミュージアムでのものではありませんが、見る事ができます)

 「Koʻoloaʻula」(コーオロア・ウラ)は絶滅危惧種に指定され、今ではオアフ島でしか見る事ができません。赤いハイビスカスのミニチュア版です。「Maile」(マイレ)の葉は香りがいいことと、ハワイでは大切な人に捧げるレイとしても、古くから使われています。この2つの植物も大切なハワイの固有種です。

コーオロア・ウル コーオロア・ウル Maile(マイレ)
Koʻoloaʻula(コーオロア・ウラ) Maile(マイレ)

 ここで紹介した植物はビショップ・ミュージアムのガーデンのごく一部です。まだまだたくさんの固有種がありますので、機会があれば是非行ってみて下さい。今年は固有種の植物のモチーフを使ったデザインを少しづつ増やしていきたいと思っています。

By アン

*文章中の植物の解説は近藤純夫著「ハワイアン・ガーデン」(平凡社)より引用しました。

ビショップ・ミュージアム Bishop Museum
1525 Bernice St.
Honolulu HI 96817
Tel: 808-847-8291
開館時間:9時〜17時(毎週火曜日とクリスマスは休館)
入館料:大人$17.95、子供(4〜12歳)$14.95、シニア(65歳以上)$14.95
(入館料にはプラネタリウム、サイエンスセンター、及び特別展示が含まれています)
http://www.bishopmuseum.jp/



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