皆様アローハ!
アメリカ本土ではミシンを使って作るミシンキルトがとてもポピュラーです。昔ながらの手縫いのパッチワークやキルティングと違い、時間も短縮し、完成品を短い時間で作ることができます。ミシンキルトで有名な先生のレッスンを受講した時の様子をご紹介しましょう。
ハリエット・ハーグレイブさんはコロラド州にお住まいで、キルトショップのオーナーでもあります。おばあさん、お母さん、おばさん達など、キルターの中で育ったハリエットさんもキルターになりました。70年代にお母さんは手縫いのアップリケやピーシング、キルティングを教えようとしましたが、ハリエットさんはミシン刺繍に惹かれて行きました。その後、ミシンアップリケやミシンキルトを始め、1978年にはミシンキルトなどを教え始めました。同時にキルトショップをオープンさせ、ミシンキルトの先駆者的存在となりました。「エアルーム・ミシン・キルティング」は1987年の初版から4版まで発売され、現在でもレッスン用の教科書として使われています。また、娘さんもキルトの先生であり、著書も共同で出版されています。
ハリエットさんは、ショップにもいらっしゃることもありますが、リクエストがあれば、出張レッスンに行き、ミシンピーシングやミシンキルティングを教えています。ワイメアのアヌエヌエ・キルターを通して、ハリエットさんがハワイにレッスンに来てくださったことで、私も貴重なレッスンを受講できました。
レッスンはアヌエヌエ・キルターのメンバー15名で2日間開催されました。レッスンの前準備として、課題が渡されました。用意するミシンに付ける新しい付属品、キルト芯、生地、糸、カットしたピースなどの準備です。ピーシングには1/4インチの縫い代を使いますが、それを予め、定規で測り、印を付けるのではなく、カッティングボードの上でロータリーカッターを使い、生地をきっちりカットし、ミシンの1/4インチのフットを使い、ピーシングするというのが、ミシンピーシングです。ミシンに付いているパネル定規の性質をよく知り、それを頼りに縫っていかないといけないので、自分のミシンとじっくりと向かい合うという作業が必要になります。私のミシンはシンガーですが、ハリエットさんは、ベルニナのミシンを長年愛用しているようです。
ウォーキング・フットという付属品は厚めの生地やキルト芯も動かずに縫える、とても便利なものです。こちらもレッスンでは必需品だったので、購入しました。
キルトのパイピングにもとても便利です。
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ウォーキングフットをミシンに付けディッチングキルト |
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まずは前準備していったピーシング生地にキルト芯と裏生地を付け、しつけではなく、安全ピンを付け、動かないようにします。そしてピーシングした縫い代の低い方をミシンがけします。ディッチングという手法ですが、ハワイアンキルトではおとしキルトのようなものです。縫い代の上の方を縫わないように注意しながら縫うのは慣れるまで大変です。そして次は斜めのラインをミシンしていきます。ハリエットさんは時間が経てば消えるペンなどを使っていますが、小さい四角の場合は、目分量でミシンをかけられます。
ハリエットさんは上糸にナイロンを使うということを勧めています。生地の色に関わらず、万能に使えるからです。また他の糸にも気を遣い、生地によりミシンの糸を選ぶことも必要だということです。そしてそのあとは、フリーモーションの練習です。フェザーというデザインをキルトしますが、上手になるには練習が必要です。ミシンの下歯を下げ、生地がフリーに動くようにします。ダーニングフットというフリーモーションをするための付属フットを使います。自分の手だけでフリーモーションするしかないので、技術を要しとても難しい手法です。右のフェザーキルトはハリエットさんのサンプルです。このくらい上手になるまでには、かなりの時間がかかります。これらの手法はすべて「エアルーム・ミシン・キルティング」の本に細かく書いてあります。
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フェザーのフリーモーションで作ったキルトーハリエットさんのサンプル |
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ハリエットさんがお持ちになったアンティークをレプリカしたミシンキルトです。キルト芯にもこだわりがあり、色々な挑戦をされています。ハワイアンキルトとは違い、ふわふわという質感ではなく、コットンとポリエステルの混合やシルクなどを使い、薄いキルトというのが特徴でしょうか。ミシンでキルトをしているので、手作り感から湧き出る優しさというのとは違う、実用的なキルトというのが、私の受けた印象でしょうか。しかし、ミシンキルトもとても奥が深く、まだまだ勉強することがあります。ハリエットさんのキルトコースの本は大学1年から4年生まであり、来年のレッスンまでに予習をしておきたいと思います。
By アン |