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ナパリコーストを見下ろすカララウ展望台の虹 |
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ハワイ州は虹の州ともいわれるように、雨の多い場所ではひんぱんに虹が発生します。日本で見るものよりも鮮やかだったり、見かけが巨大だったり、いきなり大地や海面から立ち上がったりするものが少なくありません。虹は雨上がりにはおなじみの大気現象ですが、ではなぜハワイの虹はこれほど特徴的なのでしょうか。今回は虹の楽しみ方と、お勧めスポットを紹介します。
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大地から立ち上がった力強い虹 |
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虹はハワイ語で「アオ・アクア」と呼ばれます。これには「神聖な雲」という意味があるのですが、大きく鮮やかなハワイの虹は、たしかにどこかしら神々しさを感じさせます。ところで、完全なアーチ型の虹を見たことはありますか?
見通しがよければどこでも完全な虹を見られるのかと言えばそうでもありません。虹は大気中の水滴に光があたっとき、プリズム現象で七色のスペクトルに分解され、それを人間が見ます。つまり、足下から上空まで均等に水滴が分布していないと、完全なアーチ型を見ることはできないのです。滝壺などにかかる虹が、水滴の切れるところでスパッと切れ落ちているのを見たことがありますよね。
では鮮やかな色合いになるのはなぜでしょう? ハワイではときとして色のひとつひとつをすべて区別できるほど鮮やかな虹が出現します。いちばん外側が赤、次にオレンジ、黄色、緑、青、藍色、紫がはっきり浮かび上がると、信じられないほど美しさです。色の鮮やかさというのは水滴の大きさに関係します。
水滴が大きいと、色は物理空間的に分離しやすくなりますから、それぞれの色をはっきりと主張しやすいのです。反対に、限りなく水滴が小さくなると、光は水滴のなかで色を分岐させることができず、色の要素が重なりあってしまいます。つまり白色に近づくということです。
ところで虹はどこで見ても同じ形なのかといえば、そうではありません。たとえば上空から虹を見ると、円を描いているように見えたり、大地に虹を敷き詰めたようにもなります。基本的には自分の影が見える方向にできます。
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鮮明な色を見せる虹左上に副虹も見える |
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ハワイでは二重の虹もよく見られます。メインの虹を主虹、その上に薄く架かっている虹を副虹と言い、副虹は主虹と色が対称(色の順序が逆)になります。水滴のなかで一度反射してできたものが主虹ですが、二度反射したものも虹を作ります。ただ、反射の回数が多い分だけ光は拡散され、色も淡いものとなります。
ちょっと変わったところでは月に架かる虹(moonbow)というのがあります。たとえ満月であっても、日中に較べてはるかに暗いですから色の識別は難しいものの、月の周囲がぼーっと明るい感じになるのがわかります。当然ですが、月虹の場合は観察の位置関係というのはありません。
雨上がりの、明るい月の周囲に出現する虹(イメージ図) |
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さて、虹のウォッチング・ポイントは雨と晴が交互に訪れるような場所ということになります。日に一度は到来する通り雨のあとは、ワイキキでもよく見えます。完全なアーチ状のものを見たいのであれば、オアフ島ではワヒアワのパイナップル畑周辺、ハワイ島ではキラウエア周辺がいいでしょう。海面から直接立ち上がる虹は、太陽を背にできる場所があればチャンスは大きいはずです。
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