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玄武岩を積んで作られたハワイアン・ホールのある建物 |
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ワイキキからホノルル国際空港方面へ向かうと、H1のリケリケ出口方面に石造りの洋館が見えます。これがビショップ博物館(Bernice
Pauahi Bishop Museum)です。ハワイとポリネシア圏を中心とする太平洋全域の人類学、自然科学、生物学に関して抜きんでた影響力を持ってきました。博物館を訪れると分かるのですが、ここは現代都市のなかのエアポケットのようなところで、かつてのハワイがどのようなところであったかを感じさせてくれます。
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日本の毛槍を模したカヒリのあるコーナー |
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1889年に創設されたこの博物館は、チャールズ・リード・ビショップが、彼の妻であるバーニス・パウアヒ王女(カメハメハ王直系の最後の子孫)の死後、彼女を記念して創設したものです。王女が所有していた膨大な土地(全島のおよそ9分の1)に散在していたハワイの伝統品やカメハメハ王家の宝物など、広範囲な資料を収集するのが当初の目的でした。その後はハワイ諸島だけでなく、太平洋の島々全般にわたる、何百万もの芸術品や資料、写真などを収集することとなりました。
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正面玄関とプラネタリウム |
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創設後100年以上を経て、博物館にはハワイと太平洋に関わる資料が2千500万点ほど収集されています。このなかには10万点を超える出版物や、200万点を超えるハワイ移民の文化遺産が含まれています。ビショップは博物館の運営だけでなく、伝統教育にも力を注ぎ、ハワイアンが伝統文化を学ぶカメハメハ・スクールを施設内に作りました。ハワイアンの血を引く者だけが入学できるこの学校は1940年に移転しましたが、いまもハワイ文化復興の重要な担い手となっています。
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ハワイアン・ホール |
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博物館の展示施設は大きく分けて4つあり、さらにいくつかのコーナーに分かれています。ハワイの島々を作ってきた玄武岩溶岩を切り出して作られたハワイアン・ホールは、吹き抜けの周囲が3階建ての回廊になっています。1階にはキャプテン・クックが訪れる以前の古代ハワイ社会に関する資料、2階には100年ほど続いたカメハメハ王朝時代の資料、そして3階には19世紀以降に始まった移民に関する資料が展示されています。
1階の吹き抜け部には古代のハワイ人が住んだ家が復元されていて、その前にある小さな空間ではときおりフラなどのセレモニーが行われます。天井には捕鯨時代の象徴であるマッコウクジラの等寸大の模型がつり下げられています。写真で見るとわかるように、片側は外観が、反対側骨格標本になっています。この建物には、ほかにポリネシアン・ホール、ハワイ自然史ホール、カリヒ・ルームなどがあります。
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人骨やサメの骨などで作られた釣り針 |
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ホール・オブ・ディスカバリーと名付けられた正面玄関の建物には、古代ハワイ人の生活用品などが展示されているほか、プラネタリウムやショップ、レストランが併設されています。図書館棟には膨大なデータや資料を閲覧できるアーカイブ・センターや映像施設などがあります。キャッスル・ホールではハワイに限らない展示が行われていて、最近は恐竜関係のイベントが多いようです。正面玄関右手の棟(アサートン・ハラウ)ではフラのレッスンが行われています。この他、通路や芝生などを利用して観光客向けのフラレッスンやレイ作りなど、ハワイの文化を体験できる数多くのイベントが用意されています。
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ハワイアンビレッジ内の博物館分館 |
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ビショップ博物館はこの場所以外にも、ハワイ・マリタイムセンターや、エイミー・グリーンウェル民族植物園を運営しています。また、手軽にハワイの文化と自然を知ってもらおうと、ヒルトン・ハワイアンビレッジのカリア・タワー内に博物館の分館を出しています。ハワイの自然や文化を知るにはもっとも手軽な場所ですが、見学にもコツがあります。展示されている資料の見方や、展示室のコンセプトなどを先に確認しておくと、より深くこの博物館を堪能できるでしょう。
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