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展望台からみたワイピオ海岸と渓谷 |
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ハワイ島の北西部に突き出したコハラ半島にはいくつかの渓谷があります。この半島はハワイ島のなかでもっとも地質年代が古いうえに、北東から吹きつける貿易風が多量の雨をもたらし、深い浸食が起きました。国道19号線をホノカアで下り、240号線を半島の付け根に走っていくとやがてワイピオ展望台に突きあたりますが、その下に広がるエルドラドのような湿地帯がコハラ半島のいちばん東に位置するワイピオ渓谷です。
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渓谷に広がる湿地帯 |
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かつてのハワイアンにとり、ワイピオ渓谷は王家の置かれた首都として特別の場所でした。ハワイ島のように若い火山島では島の大半が熔岩に覆われています。したがって土壌が乏しく、川も多くありません。しかし、ワイピオ渓谷は緑にあふれ、無数の川が流れる豊かな自然がありました。いまでもこの地には当時からつづくタロイモ畑がモザイク模様のように広がっています。渓谷の先には再び断崖がせり上がっていて、壁面にはジグザグに刻まれたムリワイ・トレイルが見渡せます。ここを登るとその先にはワイマヌ渓谷があります。ただし、かなりの健脚向きルートですので、体力に自信のない人にはお勧めできません。
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ボディーボードを楽しむロコの子たち |
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ワイピオ展望台から眼下の急坂を降りると、道は二手に分かれます。右へ折れると海岸に向かい、映画『ウォーターワールド』で知られるカルアヒネの滝に出ます。許可を取れば海岸でキャンプをすることもできます。左へ折れるとトレッキングルートとなりますが、この道は車や馬車、馬がしばしば通るので気をつけましょう。
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ウナヅキヒメフヨウの赤い花 |
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右手にみえるワイピオ川に沿って歩くと、川沿いには朱色のヒメフヨウや真っ白なバーベラなどの花がつづき、心をなごませてくれます。左手には、たわわに実をつけたノニやグァバの林があります。
ジャイアントタロの巨大な葉もときおり現れます。やがて正面にヒイラヴェとハカラオアの滝が出現します。ワイピオ渓谷には多くの滝があります。いずれも貿易風の影響で多量の降雨が作り上げたものです。
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ホースバックライディングに人気がある |
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さらに進むとルートを遮断するように小さな川が現れます。この川を遡っていくとヒイラヴェの滝へ出ることができますが、沢漕ぎと薮漕ぎの連続なので、こちらもあまりお勧めできるコースではありません。周囲には野生のパパイヤやマウンテンアップル、アボカドの木が目立ちはじめます。川を渡り、ジャイアントタロの群生を過ぎると、二つ目の川が現れます。この川に入り、上流側に歩きましょう。川に見えたのはタロイモ畑から排出された水があふれていることがすぐに分かります。
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ヒイラヴェの滝とハカラオアの滝 |
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川が消えるとバナナやバショウ科の植物にまじって、マカダミアやモンキーポッドなどの巨木が、右手にはタロイモ畑が見えはじめます。この畑を回り込むように先へ進むと、私有地のゲートが現れます。オーナーの許可を得ている場合は敷地の奥へ進み、ナナウエ滝まで出ることができます。周囲にはククイやコーヒーの木が多く、足下にはたくさんの実が落ちています。
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ナナウエ滝 |
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帰路は同じ道を引き返します。往復3時間ほどですが、展望台からの登り下りは含みません。展望台から下まではかなりの急坂で、下りに20分から30分、登りにはその倍の時間をみておいた方がいいでしょう。展望台を出発して渓谷をガイドするツアー会社もあるので、足に自信のない方はこれを利用するのもいいでしょう。なお、ワイピオ渓谷を歩くときは半ズボンとサンダル履きというスタイルを勧めます。幾度となく川が出現するので、そのたびに裸足になっているのでは面倒です。
次回は「渓谷の魅力」その(2)としてワイメア渓谷を紹介します。
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