プレートの移動
|
太平洋を取り囲むプレート |
|
ハワイ諸島の移動はプレートテクトニクスの原理に基づいています。島々は上部マントルにあるマグマ溜まり(ホットスポット)から噴き出した熔岩によって作られ、プレートの移動とともに移動し、やがて海底に没します。ハワイ諸島は東のハワイ島からカウアイ島まで、さらにはニホア島からミッドウェー島にいたる北西ハワイ諸島が連なります。その先は北へ方向を変えて天皇海山群(*1)がカムチャツカ半島に向かって伸びています。
*1 天皇海山群はかつて日本の領土だったからではありません。アメリカの海洋学者によって命名されたものです。
|
ハワイ諸島、北西ハワイ諸島、天皇海山群の位置関係
|
|
ここでプレートテクトニクスの原理をおさらいしておきましょう。地球は動きのない固い物質ではなく、内部では流動があります。これはマグマの噴出を考えれば容易に想像できますね。内部の動きはエネルギーとなって地球の外側を包む固い部分である地殻やプレート(リソスフェア)を動かします。地殻とリソスフェアが、カンラン岩質マントルの上を移動することを、プレート・テクトニクス(プレートの変動)と呼びます。
|
ハワイ諸島の断面とプレートの動き
|
|
移動を開始する部分はひびわれができて拡大する力が働きます。この場所を海嶺といい、ひびわれを通してマグマが上昇します。一方、移動したプレートが別のプレートに衝突し、もぐり込む場所を島弧と呼びます。日本やハワイが含まれる太平洋プレートの場合はアメリカ西海岸から西へずれるようにしてオーストラリアの南を回り込むような巨大なラインが海嶺、アリューシャン列島、日本列島、そしてインドシナやニュージーランドへと分岐した線を結ぶラインが島弧となります。
マントル・プルーム
|
地球上のプルームの位置。オレンジがホット、ブルーがコールド・プルーム
|
|
プレートを動かすエネルギーは直接地殻やリソスフェアに与えられるのではなく、地球の中心部近くから放出される熱エネルギー(マントル・プルーム)が作りだしています。プレートの動きはプルームに大きく関わっているのです。プルームは地球内部の温度や圧力差によって生まれ、マントル内をゆっくりと上昇したり下降したりします。とくに巨大なプルームをスーパーホットプルーム、スーパーコールドプルームと呼んでいます。
|
海へ流れ込む溶岩と膨大な噴煙
|
|
プルームの作り出すエネルギーに引きずられてプレートが動く一方で、プレートより動きの緩慢なホットスポットは、太平洋上の決まった場所に熔岩を噴き出しつづけているように見えます。しかし、長い時間の単位でみるなら、プレートの移動速度や方向は変化していますし、ホットスポット自体も移動しています。北西ハワイ諸島先で急角度に向きを変える天皇海山群(*2)は、そのよき証拠と言えるでしょう。ちなみに、推古海山が誕生したときに溶岩を供給したホットスポットは、現在の場所より5度ほど北に位置していたとされています。
*2 もっとも古い推古海山は5900万年前に誕生しました。
次回は島の一生と題してハワイ諸島の変遷をお送りします。
|