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ボストン・タマシダ |
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ボストン・タマシダ
溶岩平原に最初に顔を出す植物のひとつにクプクプ(sword fern、タマシダ)があるということを前回書きました。
クプクプは生育環境によって直立する場合と垂れ下がる場合がありますが、カウアイ島のシダの洞窟にあるものは洞窟の入口周辺に垂れ下がっています。
これはクプクプのひとつであるボストン・タマシダ(Boston fern)です。タマシダはシノブ科の植物ですが、日本ではネフロレピスと呼ばれています。
ボストン・タマシダは最初は上に向かって伸びますが、成長するにつれて弓なりに葉が下がります。このシダには空気を清浄にする能力があると言われています。
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シマオオタニワタリ |
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シマオオタニワタリ
鳥が卵を温めた巣の跡のようにみえるため、"Bird's Nest Fern"という名が付けられているのがチャセンシダ科のシマオオタニワタリです。
ハワイ名をエーカハ(アーカハ)といいます。このシダも大地からはえることはあまりなく、他の木に寄生して成長します。
ハワイ人はこのシダを編んでマットにしたり、カヌーの骨組みを上から覆うのに用いました。ちなみに、エーカハの若葉はエカハカハと呼ばれます。
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ラウアエ |
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ラウアエ
ハワイの民家やホテルなどの庭によく見られるのが、おそらくハワイでもっとも人気のあるウラボシ科のオキナワウラボシです。
ハワイ名をラウアエと言いますが、これには「最愛の」とか「かわいらしい」という意味があります。
ハワイではカパを織るときにラウアエをはさんで香り付けをしたとされています。全島に繁殖していますが、近年に持ちこまれた外来種です。
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プラティケリウム |
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プラティケリウム
木の股から葉を垂らす変わった形状の植物は、シダの一種であるプラティケリウムの仲間で、ラウアエと同じくウラボシ科の植物です。その形状がシカの角に似ていることから、英名を elkhorn fern と言います。プラティケリウム・コロナリウム(オオビカクシダモドキ)、プラティケリウム・ビフルカツム(ビカクシダ)など、多くの亜種があります。いずれも繁殖力が強く、ハワイでは有害植物に指定されています。
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パラパライ |
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パラパライ
ワラビ科のパラパライ(イシカグマ)は、パライとかパライ・ウラとも呼ばれます。これはハワイ語で「黒い茎」を意味します。
このシダは香りがよいため、フラを踊る舞台の装飾に使われました。
標高200mから2000m近くまでの、冷涼な土地に繁殖します。
ハワイ人とシダ
アマウ(ヘゴモドキ)やハプウ(タカワラビ)などの木性シダは飢餓のときには木化したでんぷん質の部分を食用にしました。また、ホーイオ(ディプラジウム)やキカワイオーの葉は生のまま食べられました。ウルヘ(コシダ)やモア(マツバラン、ホウキラン)を絞った液は便秘薬として、モアの胞子は腹痛止めやタルカムパウダーとして、ラウカヒ(コブラン)は咳止めとして、というように、シダは食用や薬用として広く用いられてきました。
またシダは、レイの素材として、あるいはフラの舞台の素材として、さらには葬儀用など、さまざまな場で用いられてきた植物です。シダは日陰の植物というイメージが強いですが、アマウやクプクプのように日なたを好むものもあれば、プラティケリウムのように樹木に寄生したり、水辺で育つものもあります。シダの多くは外観が似ていますが、ハワイには固有種が多いので、シダを通してハワイの自然を探るのもおもしろいでしょう。
次回はサンゴ礁のサカナと題して、フムフムヌクヌクアプアアなどを紹介します。 |