【ロウル(Loulu)Pritchardia spp.】
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ロウルの成木 |
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ハワイのヤシの木と言えばココヤシがよく知られていますが、それ以外にもさまざまなヤシの木があり、その種類は200を超えます。今回は、ハワイ固有のヤシの木であるロウルと、ココヤシについでよく見られるボトル・パームなどを紹介します。
ヤシの木の仲間(palmae)のうち、ロウル(Loulu)と呼ばれるものはハワイが原産です。すべてPritchardia(プリチャーディア)属で、英名をFan
Palm(扇状のヤシ)と言います。19種類が確認されており、そのうちもっとも大きなもの(Pritchardia
schattaueri)は、成長すると30mから40mもの高さになります。この他にも巨木になるものがありますが、ロウルは3m前後のものが大半を占めます。
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ロウルの実
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もっとも近年に発見されたのはカウアイ島で発見されたロウル(Pritchardia
limahuliensis)で、北海岸にあるリマフリ渓谷で1977年に発見されました。ロウルの中ではかなり小木で、樹高は2mから3m程度しかありません。*1 ロウルは、たとえば右上のPrichardia
glabrataのように、葉が中央付近で垂れ下がるのが特徴のひとつですが、リマフリエンシスはそれほど顕著ではありませんが、微妙な折れ曲がりが美しいウェーブ模様を描きます。リマフリエンシスは低地に生育しますが、2000年の時点でわずか300ほどの個体しかなく、しかも野ネズミやブタが種子を食べるため、この種を含め、7種類が絶滅の危機に瀕しています。
*1 もっとも小さなものはマウイ島のイアオ渓谷で発見されたロウル(Pritchardia
glabrata)で、樹高は1mから2mにすぎません。
ロウルの葉は扇状に密生して葉がついているため、日差しや雨を避ける目的で、傘や屋根を葺く材料として用いられました。また、葉を剥き、帽子やマットなどをつくりました。ロウルの種子はココナッツのような味があり、野生動物だけでなく人間も食べることができます。
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