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アカカ・フォールズ州立公園の入口 |
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ハワイ島最大の滝であるアカカ・フォールズは神話にもよく登場し、ハワイアンにとっては特別の思い入れがあります。また、この滝の名がついたハワイアンソングも、ハワイ州では何人もの歌手によって唄われ親しまれています。
この滝は標高2000m近くのマウナケア山麓から流れるコレコレ川の下流に位置し、滝の周辺は一周800mほどのアカカ・フォールズ州立公園となっています。公園内には周回路があり、さまざまな熱帯の花を楽しみながら滝の散策を楽しむことができます。右回りに進むと最初にカフナ・フォールズが、そこから少し進むとアカカ・フォールズが現れます。
アカカ・フォールズは約130mの落差があり、増水時には轟音を立てて流れ落ちるので迫力ある光景を楽しめます。見学は午前中の方が光線の具合がよく、また滝壺に比較的よく虹が出現します。この滝については、さまざまな伝説が語り継がれてきました。そのうちのひとつを紹介しましょう。
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隣接するカフナ・フォールズ
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はるか昔のこと、人は自然の一部で、島には多くの神々が住んでいました。ホノムの村にはアカカという戦士の司令官が住んでいました。彼は若くて背が高く、強い力を持つ、とても魅力的な人物でした。
彼は島中に名を馳せ、女性たちを惹きつけました。
ある日、信頼を寄せる妻が、彼の支持者とともに、ヒロ郊外にある彼女の両親が住む村を訪れました。アカカは彼女がいなくなると渓谷の北にある、レフアという名の恋人のところを訪れました。レフアはとても美しく、魅力的な女性でした。
ところが、突然、彼の妻が戻ったため、彼は裏口を通ってレフアの小屋を出ました。そのまま峡谷を越え、次にマイレという名の別の恋人のもとを訪ねました。
彼女はよい香りがし、ここちよく彼を抱きしめてくれました。
妻は彼が着ていた服の臭いを追って近くまで来ると、家へ戻ってきてほしいと呼びかけました。その声を聞いたアカカは慌ててマイレの小屋の裏口を出ると、近道をして家に戻りました。
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アカカ・フォールズの全景 |
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ようやくひとりになったアカカは、どこへ行くときも忠実にそばにいる飼い犬と一緒に腰を落ち着けました。彼は病気だったふりをしてごまかそうとしましたが、気持ちは乱れました。だました妻に対して罪と恥の意識が押し寄せたのです。愛する妻はいかなるときも司令官としての彼を支え、疑いを寄せることなく彼を信頼してきました。アカカは静かに小屋を出ました。彼の犬がそのあとを追いました。
アカカは周囲を一望できる絶壁まで走り、そこから遠くにある島や海を見回しました。彼は北に住むレフアと、南に住むマイレの小屋をちらりと見たあと、崖から身を投じました。彼の犬は戸惑いながらもあとから飛びこみ、鋭い岩に姿を変えました。やがて彼の妻が崖までやって来ました。彼女はすべてのことは水に流しましょうと言い、自分がいかに彼を深く愛しているかを告げました。しかし時はすでに遅すぎました。彼女は崖の縁で止めどなく涙を流しました。やがて涙は崖から流れ落ち、滝へと姿を変えました。彼女はアカカに戻ってきてほしいと訴え続けながら、石へと姿を変え、いつまでもそこに残りました。ほどなくマイレとレフアもアカカの死を聞き、悲嘆に暮れて、石へと姿を変えるまで涙を流しつづけました。
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滝壺と虹 |
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アカカ滝のすぐ下にある峡谷では、彼らが泣き続けるのを聞くことができます。司令官であるアカカの死を嘆く人々は、いまも新鮮な果物や、その他の贈り物を滝に投げこみます。ある古老は「月が出ず、葉はそよとも動かず、コオロギも押し黙る夜、轟音を立てる滝壺の近くで、妻がまだアカカを呼んでいる声を聞くことができる」と言います。オヒアレフアの小枝で滝の上の岩を打ったり、岩にマイレのレイをかけると雨が降ると言われています。レフアとマイレが妻の涙を促すのです。
伝説には他にも、アカカが神であったとするものや、自殺ではなく事故だったという説など、この物語には多くのバリエーションがあります。ポハク・ア・ペレ(ペレの石)と呼ばれる石をレフア・アーパネの枝(*1)で打ったり、マイレのレイをかけると、空が暗くなり、雨が降るとも言われます。また、落ち口から20mほど上流にある岩はポハク・オ・カーロアと呼ばれます。
*1 オヒアの木の一種で暗赤色の花をつけます。
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ポハク・オ・カーロア |
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■アプローチ
ヒロから国道19号をハマクア・コースト沿いに北上し、かつてサトウキビの生産拠点として栄えたホノムの町を目指します。この町を過ぎてすぐに現れる「AKAKA
FALLS」の看板を左折し、標識に従って登ると公園の駐車場に出ます。
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