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キラウエア(2)
近藤純夫

チェーン・オブ・クレーターズ


海に注ぐ溶岩と噴煙

 キラウエア・カルデラを中心にしたキラウエア火山の噴火の歴史については前回お話ししました。今回は、噴出した溶岩がどのように周辺の地形を変えていったかを見ていきましょう。

リフトゾーン

 1790年にキラウエア・カルデラはほぼいまのような形になったと言われています。その100年ほど後の1879年から1880年にかけてハレマウマウはかなり活発に活動しました。翌年にはマウナ・ロアの山頂カルデラからも噴火が起きましたが、この時期から東西のリフトゾーンでも活発な噴火活動がはじまりました。東に伸びるイースト・リフトゾーンには規模の大きなクレーターがいくつもあります。

キラウエア周辺の主な火口丘とクレーター

 これらのクレーター群を総称して、チェーン・オブ・クレーターズと呼びますが、クレーターを結ぶように海岸へ下りるチェーン・オブ・クレーターズ・ロード沿いには、キラウエア・カルデラやキラウエア・イキ、ケアナカコイ、ルア・マヌ、プヒマヌ、コオコオラウ、ヒイアカ、パウアヒの各クレーターを見ることができます。クレーターはさらに東へマウナ・ウル、マカオプヒ、ナーパウ、プアイアルア、プウ・オー・オーと続きます。その先にも東の端まで古いクレーター群が連なっています。また南西側にはサウスイースト・リフトゾーンが伸び、車道はありませんが、トレイル沿いにプウ・コアエやマウナ・イキ、プウ・コウなどがあります。

キラウエア・イキ

溶岩を噴き上げるキラウエア・イキの噴火

 1955年には東リフト・ゾーンで大規模な噴火が起きました。1959年11月にはキラウエア・イキで噴火が起こりました。その3ヶ月後、マグニチュード7を超える巨大地震が発生し、周辺の道路までが破断しました。キラウエア・カルデラの北東にあるアースクエイク・トレイルを歩けば、そのときの亀裂を見ることができます。溶岩は空中200mの高さまで立ちのぼりました。この噴火はキラウエア・イキの小クレーターから起きましたが、このとき吹き上げた多量の噴石が堆積してできたのがプウ・プアイです。噴火は同時にクレーターをいま見る深さにまでに掘り下げました。この噴石丘の南に付けられたデバステーション・トレイルを歩けばプウプアイを間近で確認することができます。

マウナ・ウルとサウスウエスト・リフトゾーン

マウナ・ウル

 1972年2月、キラウエア・カルデラから南へ8kmほど離れたマウナ・ウルで噴火が起き、大量の溶岩が南の海に向かって流れはじめました。いまも噴火口からは盛んに噴煙を上げています。翌年にはマグニチュード6.3の地震とともに、マウナ・ウルと、西へ2kmのところにあるパウアヒ・クレーター、その西隣にあるヒイアカ・クレーターで噴火が起きました。1983年に起きたマウナ・ウルの噴火でも地震が発生しています。この地震はナパウ・クレーターやプウ・カモアモアに移っていきました。これは地下のマグマが上昇する際、岩盤を砕いたために起きた現象だと言われています。ヒイアカ・クレーターは1979年にも溶岩を流し、このときは多くの地震が発生しました。

 1974年にサウスウエスト・リフトゾーンで大規模な噴火がありました。この年はマウナ・ウルやキラウエア・カルデラに隣接するケアナカコイ・クレーターでも噴火がありました。その後、1977年にイースト・リフトゾーンで噴火が再開されています。

プウ・オー・オーとクパイアナハ

プウ・オー・オーのクレーター

 今日、もっとも活発な噴火活動をつづけているのは、キラウエア・カルデラから東へ15キロほどの位置にあるプウ・オー・オーです。ここでは1983年から1986年にかけてもっとも大規模な溶岩の噴出があり、幅数キロメートルにわたる溶岩流を出現させました。最近は次第に活動が弱まる傾向にありますが、2005年4月現在、再び活発に溶岩を流し続けています。

 プウ・オー・オーからさらに東へ4キロのところにクパイアナハがあります。ここでは1986年から1989年にかけて噴火が起きています。とくに1986年の噴火は、確認されているキラウエアの噴火のなかで、もっとも長期間つづいたものとされています。クパイアナハは90年代に入ってからも活動が続き、カラパナをはじめとする多くの集落が溶岩に埋めつくされました。

次回は「キラウエア(3)」と題し、ハワイ火山国立公園の施設についてお話しします。
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