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マカダミアの葉。軽いウェーブが特徴 |
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マカダミアはヤマモガシ科の植物で、園芸植物として人気のあるプロテアと同じ仲間です。学名を"Macadamia
integrifolia"と言い、オーストラリア東部のクイーンズランドが原産です。英名は"Macadamia(Queensland
Nut)"、和名はクイーンズランドナットノキと呼ばれますが、一般にはマカダミア、もしくはマカダミアナッツの木と呼ばれます。
高さは6mから15mほどで、長さ12cmから15cmほどの白に近い淡黄色、あるいは濃いピンク色の花を集合させて(花序と言います)つけます。葉は細長い波状で、密生してつきます。成長して実をつけるまでには8年ほどかかります。収穫期には直径2.5cmほどの丸い殻を持った実が自然に落下し、林床には無数の実が散らばります。硬い殻のなかには白色の仁があり、これが食用となります。
マカダミアは1857年にクイーンズランド州の東海岸で発見されました。名前の由来は発見者である植物学者のフォン・ミューラーが、友人の化学者であるジョン・マカダムの名を取ってつけたとされますが、他にも説はあります。当初は防風林として用いられるだけでしたが、やがて実の成分が注目され、食用として生産されはじめました。
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花序。淡黄色と濃ピンクがある |
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マカダミアナッツにはコレステロールが含まれていず、不飽和脂肪酸という体に良い栄養素を83%も含みます。そこでマカダミアナッツの収穫を目的とした最初の農園が1880年代にオーストラリアにつくられました。その10年ほど後にハワイでも品種改良の研究が開始されました。1921年には、ホノルル近郊にあるハワイ大学の研究所で、商業生産を目指した改良が行われます。原種は甘味や脂肪分が不足していたのですが、20年に及ぶ改良研究の結果、商品化に成功します。
研究が奨励された背景には、当時、コーヒー栽培の収益が思うように上がらなかったという事情があります。しかし、皮肉にも研究と歩調を合わせるようにコーヒーの収益性は上がり、マカダミアナッツの農園主は苦境に陥りました。そこでハワイ州政府は1927年に栽培奨励と称し、マカダミアナッツ農園の従事者に免税の措置をとりました。これは5年間という時限立法でしたが、この結果、作付け面積は大きく伸び、1959年には1417haにまで広がり、今日の隆盛にいたる基盤が確立したのです。
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マカダミアナッツ |
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ナッツの品種は3つあります。ひとつは光殻種で、白い花を咲かせ、食用として用いられます。2つ目は粗殻種で、花は濃いピンク、実は楕円形をしています。食用あるいは台木として用いられます。3つ目は在来種で、実は小さくて硬く、商品価値は劣ります。マカダミアナッツは生産量が少なく高価に取り引きされるため、近年はコーヒー農園での間作も行われるようになりました。
1950年代に、マウイ島に住む日系人のM.タキタニ氏がチョコレートとマカダミアナッツをミックスすることを考えます。マカダミアナッツをミルクチョコレートに入れたものは、大人気となりました。60年には本拠地をオアフに移します。これが現在、もっとも流通量の多いハワイアンホスト社の歴史です。ホノルルでも爆発的な人気を呼び、70年代には、ハワイ土産の定番とまでなったのです。
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たわわに実をつけたマカダミアの木 |
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ハワイ島ではコナとマウカ、マウイ島ではハレアカラ山麓、カウアイ島では南岸などに大農園があります。世界の生産量はおよそ2万トンですが、圧倒的にハワイ産が多く、1984年には8割をハワイが占めました。ハワイで栽培される代表的品種には、ケアウホウ、イカイカ、カケア、カウ、ケアアウなどがあります。ハワイのマカダミアナッツはチョコレート菓子などに加工されたものが主ですが、原料としてのナッツの生産と輸出はオーストラリアやケニア、グアテマラ、コスタリカなどでも行われています。
最後に、マカダミアナッツの面白い使い方をいくつか紹介しましょう。マカダミアナッツは脂肪分が多いので砕いて火をつけると、応急の照明として使うことができます。また、煎るとコーヒーの代用となり、アーモンド・コーヒーと呼ばれています。ナッツを潰してナッツバター(※ピーナッツバターのようなもの)としても用いられます。マカダミアナッツはコレステロールがなく、上品な味にファンは多いですが、ナッツ1粒のカロリーは食パン1枚半とほぼ同じ。食べすぎないよう、ほどほどにしておくのが良いようです。
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