世界最大の火山
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マウナ・ロアの北山麓 |
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マウナ・ロアは標高4169mの、マウナ・ケアに次ぐハワイ諸島の高峰です。マウナは「山」、ロアは「長い」という意味がありますが、その名の通り、山麓の長径はおよそ120kmあります。マウナ・ロアが海底で噴火をはじめたのはおよそ100万年前から70万年前。地上に顔を出したのはおよそ40万年前。そして、キャプテン・クックがハワイを訪れた後に限定しても、30回以上(33〜35)に渡って噴火を繰り返してきました。1900年以降に限っても15回の噴火が観測されています。
山頂にはモク・アーヴェオヴェオ()と呼ばれるクレーターがあり、現在も噴煙を上げています。ちなみに、「モク」とは地域や森林を指し、「アヴェオヴェオ」は赤い色をした魚を意味します。遠目に赤い色に見えた土地を、赤い魚に当てはめたのでしょう。
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モク・アーヴェオヴェオ |
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カルデラの短径は約3km、長径は約5km、深さは最深で183mあります。現在の形状はおよそ600年から750年前に造られたとされています。このカルデラからは2つの明瞭なリフト・ゾーン(割れ目)が伸びています。もっとも新しい噴火は1984年の3月24日から4月15日にかけて起きました。このときに流れ出した溶岩はヒロの町まで6.5キロメートルのところまで迫りました。
マウナ・ロアを形づくった溶岩はキラウエア火山とほぼ同じ、粘性の非常に低い溶岩です。粘性が低いと言うことは、固まりにくいということを意味します。そのため、起伏の少ないなめらかな山塊を持つ、盾状火山となりました。いまから4000年ほど前にほぼ現在の山容が、750年ほど前には山頂クレーターができあがったとされています。
マウナ・ロアはしばしば世界最大の山と言われます。その理由は、海底から山頂まで単一のマグマによって形成されており、基部からの高さはおよそ1万メートルに近いからです。秀麗さだけでなく、山塊の容積においても世界有数と言われる富士山はおよそ400立方キロメートル、しかし、マウナ・ロアはその30倍以上にもなる1万立方キロメートルもあります。(※算出方法の違いにより、4万立方キロメートルという数値もあります。)
洞窟の宝庫
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山頂から下界を見下ろす |
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溶岩は温度差や圧力などの差が少しでも生じるとすぐに固まる性質があります。流れ出した溶岩の表面や表面に近いところは速度が落ち、すぐに固まりはじめ、殻を形成するのです。この「天然の炉」のような構造のおかげで、その内部は温度がほとんど下がらず、内部の溶岩は一気に流れ落ちます。やがて冷え固まると、地下に洞窟(lava
tube)ができます。また、傾斜が落ちたり、後続溶岩の供給が減って溶岩が滞留するようになっても、内部に生じた火山ガスが膨張することで地下に空間ができることもあります。マウナ・ロアにはこのようにして出現した洞窟が数多くあります。
海洋大気局観測所
マウナロアの北山麓、3353mの地点にはコロラドのボウルダーに本部を置く海洋大気局(National
Oceanic and Atmospheric Administration)のハワイ観測所があります。ここでは地球温暖化の大きな原因と言われている大気中の二酸化炭素濃度を1958年から観測してきました。世界に警鐘を鳴らすときの各国のデータはここから発信されているのです。
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大気中の二酸化酸素濃度変化 |
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ここは世界のどの大陸からも遠く離れているので、局所的な数値ではなく、地球の平均的な大気状況を計測することができます。グラフを見ると、わずか40年の間に大気中の二酸化酸素濃度は15パーセントも上昇していることがわかります。
ここは複合観測施設で、その他にも、太陽観測所(Mauna Loa Solar
Observatory)などがあります。
登山
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ハレマウマウから見たマウナ・ロアの夕景 |
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マウナ・ロアは登山をすることができますが、標高が4000mを越すため、高度障害が起きやすく高山の経験者以外にはあまりお勧めできません。また、1泊以上の場合は、火山国立公園内にあるビジターセンターで、登山をする全員が申請書を書き、サインする必要があります。下山後は電話でも構いませんが、必ずビジター・センターに報告を出します。これを怠るとすぐに捜索隊が出動し、後に無届けであることが分かると罰金を支払わされることになります。また、溶岩の上にははっきりとした踏み跡がなく、一定間隔をおいて積み上げられた石(ケルン)を目安に歩くことになります。霧がかかると道を見失いやすくなります。とくに下山時にルートを見失うとすぐに遭難につながります。高度順化ができている場合でも、経験者の同行をお勧めします。山頂には地震観測の計測器などが設置されていますが、これらには決して手を触れぬようにしましょう。
次回はハレアカラについてお話しします。
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