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橋の上流側には荒々しい景観が伸びる |
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ハナを南へ10マイルほど下るとキパフルに達します。鬱蒼とした森にはさまざまな動植物が生息しており、その一部は手つかずの自然として永久保全されています。オヘオ・プールのある一帯はハレアカラ国立公園の分所(レンジャー・ステーション)があり、周辺情報を入手できます。
一帯でもっとも人気があるのは「7つの聖なる池(Seven Sacred Pools)」と呼ばれるピピワイ川のオヘオ渓谷です。名前の由来は定かではありませんが、実際には23の瀞(プール)があります。また「聖なる」という言い伝えは根拠がないようです。それはともかく、水遊びをするには最適な場所だと言えるでしょう。
駐車場と川をつなぐ小さな林のなかにも縦横に道が伸びているので、ちょっとした散策を楽しむことができます。また、渓谷の様子は川にかかる橋上から、上流下流ともによく見えます。一帯にはタコノキやビーチ・ナウパカ、ホワイトジンジャーなどが生い茂り、海岸付近にはハワイ人の古い住居跡もあります。
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水遊びを楽しむ観光客たち |
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レンジャー・ステーションの海側にはピヒワイ・トレイルが伸びています。ピピワイ川沿いに上流へ登りつめると約800mほどでマカヒク滝へ、2.5キロメートルほどでワイモク滝へ行くことができます。ただし、雨が降ると道はとても滑りやすくなるので気をつけましょう。なお、不定期ですが、レンジャーステーションではトレイルツアー(3時間ほど)が催行されています。(*1) ハレアカラ国立公園のキパフル地域は単に自然を保護するだけでなく、失われたハワイ文化の復元をも活動のひとつにしているので、下に挙げたキパフル・オハナをはじめとするいくつかの団体が年間を通じてさまざまな体験会や講習会を行っています。オヘオ周辺にはかつて大きな集落があり、カロ(タロイモ)やアペウアラ(サツマイモ)などを作っていました。そのため、国立公園ではオヘオを「伝統ハワイ農法保全区」として保護しています。
*1 通常は毎週土曜日の午前9時半からです。詳細はレンジャーステーション(808-248-7375)にお問い合わせください。
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レンジャー・ステーション |
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チャールズ・リンドバーグやローランス・ロックフェラーが当初のメンバーだったネイチャー・コンサーバンシーは、キパフル地区をハレアカラ国立公園に併合する計画を立てました。「ロックフェラーはキパフルに恋をしてしまったようだ」と、当時を知るネイチャー・コンサーバンシーの幹部は証言しています。
彼らはニューヨークで一大キャンペーンを繰り広げ、土地購入資金として100万ドルを集めたのです。ネイチャー・コンサーバンシーは1969年にキパフルを購入し、今日に至るハワイでの足がかりを築いたのです。ロックフェラーは1998年にも、オヘオ・プールの南に広がるプヒレレ岬周辺の52エーカーを公園に寄贈しています。リンドバーグは病に伏したあと、アン夫人に対し、自分の遺骸をキパフルに埋めるように言い残しました。その背景には、以上のような背景があったのです。1974年に作られた彼の墓はキパフルの海沿いにあるパラパラ・ホオマウ教会内にあります。
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リンドバーグの墓 |
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キパフルとはハワイ語で「痩せた土壌の土地」という意味です。19世紀末から数十年間はサトウキビ畑が広がっていました。この町はアメリカ人にとり、大西洋を横断したリンドバーグが眠ることで知られていますが、ハナからの道は険しく、レンタカーでの走行が禁じられていることもあって、訪れる人はそれほど多くありません。ここでは、1995年に設立された「キパフル・オハナ
(Hawaiian Living History Farm and Cultural Tours)」という組織が、伝統文化の復元を目指して活動しています。
いくつかある看板に注意書きもありますが、豪雨のあとにテッポウ水が押し寄せることがあります。危険だと指示されたときは、レンジャーがいなくなっても絶対にプールへ入ってはいけません。また、峡谷周辺はハレアカラクレーターからつづく国立公園の一部ですので、石ひとつ拾っても罰せられますので注意してください。
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