ハワイの自然、文化、歴史がテーマのアロハWEBカワラ版
目次
【バックナンバー】
特集:知る・歩く・感じる
キルト・パラダイス
ハワイ日和
ミノリのカウアイ日記
アロハ・ブックシェルフ
ハワイ・ネットワーク
新定番!ハワイのおみやげ
スタッフルーム
アロハ・ピープル
フラ・ミュージアム通信
【ホクレア号】
ホクレア号横浜到着
ホクレア号での航海生活
ハワイの食卓
スタッフのいちおしハワイ
ハレピカケ倶楽部
アロハ・コラム
パワー・オブ・ハワイ
私のフラ体験
ハワイ日系移民の歴史
アストン・ストーリー
>アイランド・クローズアップ
ハワイ島編
マウイ島編
ホロホロ.ハワイ
カワラ版 トップページ
バックナンバー
クリック!
 
RSS1.0
モロカイ島の自然(1)
近藤純夫
東部にある島の最高峰カマコウ山
 モロカイ島は180万年から190万年前頃に誕生した島で、ラナイ島やマウイ島とかつては地続きでした。東西に61km、南北に16km。細長いこの島に住む人は8000人ほどです。信号ひとつないモロカイ島は100万都市ホノルルを擁するオアフ島からわずか41kmしか離れていません。つまり、島ひとつ分の距離もないということです。それほど近い場所にもかかわらず、この島は諸島でもっとも古い自然とライフスタイルが残されています。

  かつてのモロカイは呪術の島とも呼ばれていました。多くのカフナ(祭司、呪術者)が住み、島内ばかりか諸島全体に影響力を持っていたと言われます。なかでもモロカイ最古のヘイアウとして知られるイリイリオーパエは血塗られたヘイアウとして恐れられていました。

カラウパパの町
  深い森と世界有数の断崖、長大な海岸、砂丘を持つこの島の魅力は手つかずの自然という言葉に集約できます。都会的なスマートさとは無縁のこの地に1日でも滞在すれば、これまでの生活がいかにせわしかったか気づくことでしょう。

  延々と連なるフィッシュポンド、鏡のように澄みわたったラナイ島とマウイ島とに囲まれた内海、冬場にそこで育つザトウクジラ、どこからでも見渡せる天空の天の川。モロカイは頭の回転を落とし、体の凝りをほぐしてくれるようなゆったりとした時間が流れています。

カラウパパ
ラバで崖沿いの道を降りる

 背後を閉ざすように立ちはだかる絶壁に囲まれた陸の孤島カラウパパ半島はいまから20万年ほど前に誕生しました。その後、長く手つかずの土地でしたが、900年ほど前に農地として開墾されました。18世紀後半以降、先住のハワイ人は西欧人との接触によって多くの伝染病に罹りましたが、ハンセン病もそのひとつでした。最初の患者は1840年に記録されています。その後1868年にカメハメハ5世の命令により、ハンセン病患者の隔離施設が作られました。ハンセン病は近年になって安全宣言が出され、半島に閉じこめられていた患者の多くは社会復帰しましたが、いまも25名(*1)がこの半島に残って生活を続けています。

  海に向かって切り開かれたカラウパパ地区と、隣接するカラヴァオ地区はいまも静寂が支配し、ここに骨を埋める覚悟のひとたちを静かに見守っています。

  カラヴァオから先にはワイコル、ペレクヌ、ワイラウという深い渓谷が連なっていて、モロカイ有数の景観を堪能できます。ただし、植生は大きく変化していて、いまは9割近くが外来の植物です。半島にある教会のひとつに、生涯をハンセン病患者のために捧げたベルギー人神父ダミアン師の墓があります。

*1 2008年現在

モアウラ滝
ハーラヴァ渓谷

 幅約800m、奥行き約3kmに渡って伸びるハーラヴァ渓谷は650年頃から先住のハワイ人が住みついたと言われています。恐らくはもっとも古い時代に諸島に人が住みついた場所のひとつでしょう。ここには1ダース以上のヘイアウ跡がある他、大規模な用水路があります。

  13世紀から14世紀にかけ、この地域は諸島で最も人口密度が高かったようです。ここにはタロイモ畑も数多くありましたが、幾度となく襲いかかる津波のせいで、壊滅的な打撃を受けました。(*2)水田は大きな被害を被りますが、津波は新しい土壌を用意してくれる側面もあり、今日でもタロイモをはじめ、野菜や果実、観葉植物などが栽培されています。

  渓谷の最奥部にはヒプアプア滝(150m)とモアウラ滝(75m)があります。モアウラ滝にはモオと呼ばれるトカゲの化け物が住むという言い伝えがありますが、モオ伝説はハワイ島など他の島にもあります。

*2 最近では1946年と1957年に記録されています。

イリイリオーパエ・ヘイアウ

イリイリオーパエ・ヘイアウ
  モロカイ島中央の南海岸には、イリイリオーパエというヘイアウがあります。東西に約90m、南北に約30mもあり、島で最大最古であるとともに、ハワイ諸島で2番目に大きなヘイアウでもあります。かつては現在の3倍の規模があったと説く学者もおり、もしそれが事実ならハワイ最大のヘイアウということになるでしょう。

  イリイリとは小石、オーパエは川エビのこと。昔、モロカイの首長がヘイアウ作りをメネフネという背丈の小さな人々に頼みました。彼らは石ひとつにつき川エビ1尾をもらうのを条件に、数キロメートル彼方のワイラウ渓谷から手渡しで石を運び、一晩で巨大なヘイアウを作ったと言われます。(*3)この伝説がヘイアウの名の由来となっています。

  イリイリオーパエ・ヘイアウにはもうひとつ血生臭い伝説が残されています。ヘイアウはその目的によってさまざまな種類に分かれますが、イリイリオーパエはルアキニ型のヘイアウでした。これは人を生贄として献げるヘイアウです。伝説によれば、この土地の首長には10人の子どもがいましたが、そのうちの9人をヘイアウのカフナ(祭司)に取られ、生贄にされてしまいました。カフナが最後の子どもをも生贄に要求したとき、首長は激怒し、彼の守護神(アウマクア)に復讐を願いました。すると豪雨がテッポウ水となってヘイアウに押し寄せ、カフナは海に押し流され沖合にいたサメに食い殺されたのでした。

*3 メネフネ伝説はカウアイ島を筆頭に数多くありますが、いずれも依頼された仕事は一晩で片づけたとされています。

 トップページはハーラヴァ湾です。次回は「モロカイ島(2)」と題し、北部と西部の自然を中心にお話しします。

【ハワイの自然】
 ダイヤモンドヘッドに登ろう (1) 2002年8月1日
 ダイヤモンドヘッドに登ろう (2) 2002年8月15日
 火山と溶岩 (1) 噴火に伴う溶岩 2002年11月7日
 火山と溶岩 (2) ハワイアンと溶岩 2002年11月21日
 火山と溶岩 (3) マグマとその動き 2003年11月20日
 火山と溶岩 (4) プレートの移動 2003年12月4日
 火山と溶岩 (5) 島の誕生と消滅 2003年12月18日
 マウナケアと天文台 (1) 2003年2月20日
 マウナケアと天文台 (2) 2003年3月6日
 渓谷の魅力 (1) ワイピオ渓谷 2003年10月2日
 渓谷の魅力 (2) ワイメア渓谷 2003年10月16日
 渓谷の魅力 (3) ワイポオ滝トレイル 2005年6月16日
 西マウイ・北海岸の自然 (1) 2003年7月3日
 西マウイ・北海岸の自然 (2) 2003年7月17日
 風と雨と虹の話 (1) 2002年9月5日
 風と雨と虹の話 (2) 2002年9月19日
 マカプ・ウ岬を登る 2004年4月15日
 トレイルを歩く(1) マノア滝トレイルを歩く 2004年5月6日
 地底の世界 (1) 2004年9月2日
 地底の世界 (2) 2004年9月16日
 観光洞窟 2004年10月7日
 トレイルを歩く(2) ペペオパエ・トレイル(モロカイ島) 2004年10月21日
 トレイルを歩く(3) ナーパウ・トレイル 2004年11月4日
 滝のある風景(1) レインボー・フォールズ 2005年2月3日
 滝のある風景(2) ワイルア・フォールズ 2005年2月17日
 滝のある風景(3) アカカ・フォールズ 2005年3月3日
 キラウエア (1) 2005年4月7日
 キラウエア (2) 2005年4月21日
 キラウエア (3) 2005年5月19日
 マウナ・ロア 2005年8月18日
 ハレアカラ 2005年9月1日
 トレイルを歩く(4) メネフネ神話発祥の山に登る
(ノウノウ山イースト・トレイル)
2006年2月2日
 トレイルを歩く(5) ポロル渓谷 2006年5月18日
 キパフル・ウォーク 2006年6月1日
 温泉 2006年8月3日
 ピヘア展望台(カウアイ島) 2007年11月15日
 グリーンサンドビーチ散策 2007年12月20日
 トレイルを歩く(6) ワイアコア・ループ・トレイル 2008年6月19日
 ハレマウマウ 2008年9月18日
 > その他の特集は、こちらの「バックナンバー」からご覧いただけます。

個人情報保護の方針 クッキーの利用について
Copyright (C) 2002-2003 PACIFIC RESORTS.INC., All rights reserved.